651
親に「見守ってもらっている」のは、安心感がある。
親が味方だから。
だが、親に「見張られている」のは苦しい。
そもそも自分を信じてもらえていない、認めてくれていない、監視されているから自由に動けない、批判されるかも…という不安や恐怖が付きまとう。
自分で決断することさえ怖くなる。
652
愛情を受けて「いいこ」になる子がいる。
心が満たされてそうなる。
一方で、愛情を受けるために「いいこ」になる子もいる。
心を満たすために、誰かに認めてもらうために、相手が離れていく不安や恐怖から、自分の気持ちを抑えて「いいこ」になる。
この場合の「いいこ」は、自分を苦しめてしまう。
653
「急がなきゃ」という思いを抱えたまま、大人になることがある。
相手が良い意味で言った「マイペースだね」が、「遅い」「早くしろ」という指摘に聞こえてしまう。
「丁寧だね」という誉め言葉でさえ、「遠回しに遅いと言ってる?」と感じることもある。
子どもの頃に親が言った言葉は、心を縛る。
654
655
「他責では、幸せになれない」と言われることがある。
だが、これまで必要以上に自責してきた人たちには「いったん他責にする」が必要なことがある。
自分が分からなかったり、自分なんてと思ったり、自分のために動けないなら、「実は自分のせいではなかったこと」を見つける過程が必要となる。
656
楽しく過ごしていても、ふと不安になることがある。
「今は楽しいけど、明日は仕事だ」「今は一緒にいてくれるけど、いつか離れていくかもしれない」と。
過去の「嫌だった記憶」がそのまま残っていると、不安になりやすい。
頭の中の過去が不安を膨らませているだけで、あなたの性格のせいではない。
657
こんなに頑張っているのに。
こんなに気を遣っているのに。
こんなに我慢してくれるのに。
こんなにしているのに、誰も自分を受け入れてくれないと感じることがある。
「そのままの自分では誰にも愛されない」という思いが過去に植え付けられていると、何をどれだけ頑張ってもダメに感じてしまう。
658
自己肯定感が低い、と自分を責めてしまう人がいる。
だが、生まれながらに自己肯定感が低い赤ちゃんはいない。「自分なんて」と思っている赤ちゃんも、いない。
「自分なんて」と思ってしまうに至る過程がある。
性格のせいではないし、そもそも自己肯定感が低いのはダメということもない。
659
頑張れない時は「どう頑張るか」ではなく、「どうやったら頑張らずに済むか」を考える。
減らせる家事はないか、やらなくても何とかなることはないか、手を抜けるものはないか探す。
愚痴を聞くか迷ったら「聞かない」、自炊か総菜で迷ったら「総菜」という具合に。
初期に休んだ方が、回復は早い。
660
いじめられる方が悪い、なんてことはない。
相手をいじめて攻撃するかどうかは、「相手が自分で決める」のだから。いじめると決めたのは相手で、あなたが決めさせたのではない。
あなたが何か変えなきゃいけない、なんてことはない。
あなたはそのままで、環境を変えるだけでいいのかもしれない。
661
662
親の理想を押し付けられることが多いと、「ありのままの自分は愛されない」と感じ取る。
○○すれば認められる、つまり「ありのままの自分ではない方が認めてもらえる」と、無意識に思う。
子どもがその家で生きていくための生存戦略だから、この影響はとても強い。大人になっても影響を与える。
663
理不尽な思い出が、心にべったり貼りついてあなたを苦しめることがある。
「なぜ?」という疑問、「なんであんなことを」という怒りや悲しみが、頭の中で何度も再上演されてしまう。
その当時は理不尽さに気づかなかったり、無理やり納得したり、我慢するしかなかった時にそうなりやすい。
664
容姿の批判は、心に深い傷を残す。
冗談だとしても、ふざけていただけだとしても、些細な一言だとしても、心はズタズタに傷ついてしまう。
言った本人は覚えていないこともあるが、言われた方は一生心に傷を負う。
子どもの頃、親に言われたことに何十年も苦しみ、自分が好きになれないこともある。
665
親との問題に直面した時、「いつまで逃げるつもりなの?」と言われることがある。
だが逃げではなく、やっと自分と向き合えるようになった段階。
「子どもじゃないんだから」「向き合うべき」と言われることがある。
だが、向き合えないこともある。簡単に向き合える相手なら、こんなに苦しんでいない
666
あなたは頑固なのではなく、
大人の言う通りにならなかっただけなのかもしれない。
あなたがダメなのではなく、
大人の思い通りにならなかっただけなのかもしれない。
あなたはワガママではなく、
素直な気持ちを言っただけなのかもしれない。
幼い頃の人格否定は、大人になっても心に傷を残す。
667
子どもの頃から頑張るのが当たり前だった人の「これしかできなかった」「頑張れていない」は、そうではない人たちの「すごく頑張った」に近い。
「最低限のことしか出来ていない」と落ち込む人が多いが、実はそうではない人たちの「あれもこれもやってる」相当をこなしている。
668
669
ACは、大切な人との関係を自分から壊すことがある。
好きなのに傷つけたり酷い部分を見せて、試し行動をとる。不安から、関係を自ら壊して「ほら。こんな私なんて好きになる人はいない」と妙に納得することもある。
でも本当はそんな部分も含めて受け入れてほしい。だけど、受け入れられるのも怖い。
670
誰かのワガママにイラッとくることがある。
心が狭いのでは、こんなことでイラッとするなんて…と自分を責めてしまうことがあるかもしれない。
ワガママにイラッとくるのは、子どもの頃からずっとワガママを抑えてきた人。我慢してきたからこそ、気付いてしまう。
あなたがずっと頑張ってきた証。
671
誰かを喜ばせても良いし、喜ばせられなくても良いし、喜ばせる方法が分かっても「あえてしない」時があっていい。
気の利いたことを言っても良いし、言えなくてもいいし、言えたとしても「言わなくても」いい。
つい気を遣ってしまう人は、できても「しない」時があっていいし、あった方がいい。
672
他人のことばかり気になるとしても、どう思われているのか不安だとしても、そんな自分を否定する必要はない。
「色々気になる」からこそ、あなたの気遣いや優しさは磨かれたのかもしれない。
「いつも不安」だからこそ、できるようになったこともあるはず。
悩んでいる時点で、あなたは頑張っている。
673
親を助けたい、親に笑ってほしい、そう思って頑張ってきた子どもほど、『親の表情や様子』をよく観察するようになる。何十年も一緒にいれば、自然と察するスキルが磨かれる。
大人になると、その対象が他人にも広がる。
生まれながらに察する力が高い人もいれば、成長過程で高くなることもある。
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親を助けたいと思って、子どもなりに頑張ることがある。
だが子どもだから当然、できることは限られる。
逆効果になったり、怒られたり、失敗したりする。この時、責任感の強い子ほど助けられない自分を責め、自分に無力感を抱きやすい。
これが、「何をやってもダメだ」と思うきっかけのこともある。
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