最悪だ。貰ったチョコが先生に見つかり、没収されてしまった。 「先生!返してください!」 「すまんが、規則なんでな」 「人生初の…バレンタインチョコなんです」 「……ん?すまん装丁が可愛いから間違えた。これは〝筆箱〟だった。そうだな?」 そう言って先生はチョコの入った箱を返してくれた。
『Bot確認です。以下の問いに答えて下さい』 「なんだ?全問簡単な算数じゃないか…むしろBotの得意分野だろ」 選択肢の中から回答を選ぶ。 「…待て、全問答えがAになっちまった…どこか計算ミスってないか?」 暫く悩んでると画面が切り替わり、次に進めた。俺はBotじゃないと判断されたらしい。
「この部屋だけ家賃が高いのはなぜですか?」 「この部屋は、幽霊がいると評判なので」 「じゃあ普通、安くなりません?」 「例えば、TVが勝手についたり、流行りの曲が流れ始めたり、エアコンが適温で作動したり、明日7時に起こしてと言うと、ラップ音で起こしてくれるそうです」 「アレ○サかな?」
「おい、今度の修学旅行先の宿、すげぇぞ!」 「どうした?」 「ネットで評判眺めてたんだけど、混浴だってよ!」 「マジ!?」 渡されたURLを見てみる。 「…これ昔の話じゃねぇか。今は違うっぽいぞ」 「……マジかよ…クラスの女子と…入れると…思ったのに」 「おい、正気に戻れ。ウチ男子校だぞ」
ぐっ……滑って打った頭から、血が止まらない…。 まずいぞ…意識が薄れてきた。救急車は呼べたが、間に合うだろうか…。万が一……俺が死んでも家族が処理に困らないよう…PCや銀行のパスワードを遺さねば……ペン……無い……仕方ない、血文字で残すか……パスは…最愛の…弟の…名……『masayuki』
私が男と付き合うと、その人が死ぬ。大学の間にそれが3回起きた。私が愛する人は死んでしまうと皆に噂された。それでも恐れず私と付き合ってくれた4人目が今の旦那だ。 そして、私達の間に男の子が産まれた。でも、1年と半年後、最愛の我が子は死んだ。夫だけは今でも死なず、私の傍で微笑んでいる。
「1024円か…キリの悪い数字ですね」 「いえ、2の10乗ですので、とてもキリの良い数字です」 「では、343は?」 「7×7×7。7は神秘的な数字です」 ふと気になったので、聞いてみる事にした。 「博士の1番好きな数字は何ですか?」 「1029です」 「どんな計算なのです?」 「私と妻が出会った日です」
最後のページを捲り、溜息をついた。何度読んでも面白い。でもネットで感想を漁ると、解釈違いばかりだった。 『最後、主人公はサブヒロインとくっついたでしょ?』と指摘する度に『どう読んだらそうなる?』『国語、苦手でした?』『読解力が地獄』『半年ROMれ』と言われて凹んだ。作者、私なのに。
【お小遣い稼ぎ】 ※140字以内で完結する小説でした。 ※再掲 以下のような、10~15分で読み終える短編ミステリ小説も執筆しています! 他、色々な記事や作品も100円/月で全て読めるため、ご検討いただけると幸いです😊 hojo-kai.fanbox.cc/posts/3976704
「おいおい、なぜ俺のスープに髪の毛が入ってる?シェフを呼べ」 しかし、シェフは自分の髪だと認めず、俺の髪の毛だと宣う。上等だ。俺達はその髪の毛をDNA鑑定にかけた。その結果、シェフは、幼い頃に生き別れた実の兄であると判明した。 「弟…」 「兄さん…」 やっぱり、お前の髪の毛じゃねぇか。
「お前、逆突き以外も使えよ」 空手部でそう言われ続けて2年。それでも俺は逆突きを磨き続けた。毎日1000回の逆突きを欠かした事は1度も無い。いつしか俺の逆突きは神速の域に達し、他校からも〝逆突きの池田〟と恐れられた。そして迎えた決勝戦、あり得ないほど美しく、俺の回し蹴りがキマった。
『先輩~♪一緒に帰りましょ?』 『先輩って好きな人、います?』 『先輩ー!お弁当作ってきました!』 『今日…先輩の家行っていいですか?』 『嬉しいです…はい!私も、先輩が好きです!』 一見して普通の恋愛小説だったが、『先輩』はシーン毎に全て別人だと最後にわかった時、俺の脳は壊れた。
今日のリモート会議は空気がピリついてる。 ここは1つ、軽いトークを挟んで落ち着かせるか。 「そういえば課長のお子さん、今日は静かですね。いつも元気な声が聞こえるのに」 「……」 「課長?聞こえてます?」 「…つい先日、嫁と一緒に出ていかれたからな」 落ち着け。 まだ慌てる時間じゃない。
「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」 「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」 「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」 「そうじゃな」 「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」
ボクシングに全てを捧げて来たが、ボクシングの神は、俺を見放した。病に蝕まれ引退を余儀なくされた俺は、生を奪われたも同然だった。しかし多額の寄付金により手術を受けられた俺は、再びリングの上で好敵手と相まみえた。ベルトを奪った後に知ったが、寄付金の殆どは、その好敵手からのものだった。
ハンターハンターが連載再開されたと聞く度に、月曜日が待ち切れなくて、日曜の深夜、早くから陳列してるコンビニを友と一緒に探し回った。そして、朝まで2人で語りあった。それくらいあの漫画は魅力的だったのだ。今だからわかる。ハンター以上に、友とのそんな日々こそが、何よりの宝だったのだと。
『惚れ薬』をゲットした。小瓶に入った無色透明の液体だ。私はそれを、彼が席を立った隙にそっと飲み物に入れた。そして私達は付き合う事になった。でも、罪悪感から私は全てを白状し「本当に…ごめんなさい」と言って小瓶を見せた。すると、ラベルの用法欄を見た彼は言った。「これ塗るタイプだよ」
『俺と……………付き合ってくれない?』 『その前に、言いたい事が5つあるの。 1: LINEで告白はやめようね。 2: 3点リーダで溜め過ぎてなんかキモい。 3:先月失恋して凹んでたくせに立ち直り早いね。 4:彼女作る前に部屋は綺麗にした方がいいよ。 5:送り先は確認しようね。私はあなたの母です』
「この部屋だけ家賃が高いのはなぜですか?」 「この部屋は、幽霊がいると評判なので」 「じゃあ普通、安くなりません?」 「例えば、TVが勝手についたり、流行りの曲が流れ始めたり、エアコンが適温で作動したり、明日7時に起こしてと言うと、ラップ音で起こしてくれるそうです」 「アレ○サかな?」
2/14の朝 登校すると、親友は裸足だった。 「…お前もしかして、イジメられてんの?」 親友は首を横に振る。 「じゃあ上履きは?」 「下駄箱、見てないんだ」 「なんで?」 「俺が確認しない限り、チョコが在るのと無いの、2つの可能性が共存するだろう?」 なるほど。 確認したら、チョコは無かった。
小・中学校では、運動が出来る奴がモテると知り、俺は必死に体を鍛えた。 高校・大学では、勉強が出来る奴がモテると知り、俺は必死に勉強した。 社会では、金を持ってる奴がモテると知り、俺は必死に稼いだ。 あの世では、生前の徳を積んだ奴がモテると知ったが、もう手遅れだった。
【続き】 新人「課長は、こんな会社にいるべき人ではありません」
「ドラ〇えもん、日誌なんてつけてるのか…ちょっと見ちゃえ」 【1月5日】 の〇太君の経過は非常に順調。今回こそセワシ君の未来を変えられそうだ。タイムマシンで戻る度、〇び太君の『初めまして』を聞く事に僕はもう堪えられない。どうか…今回こそ… 「……表紙の〝81回目〟って、もしかして…」
前人未到の世界最難関の山。 その頂に俺は遂に到達した。 人類未踏の地を単独で踏みしめた栄誉と快感に酔いしれていると、視界の端に入るものがあった。 「…俺は、2番手だったのか」 そこには登山者の遺体があった。 俺は遺体から、何か名前がわかるものを探した。 生きて、彼の栄誉を伝えるために。
俺は子供嫌いだ。 常に泣くし喚くし我が儘だし、正直に言って嫌う要素の塊でしかない。姉夫婦が事故で他界して、遺された幼い姪を引き取ってからは地獄だった。 そんな日々も今日で最後だ。純白のドレスを着た姪が口を開く。 「今までありがとう、お父さん」 人前で泣いたのは、子供の時以来だった。