【憐憫】 ※140字以内で完結する小説でした。 ※再掲 今までに投稿してきた140字小説は、溜まり次第、以下のブログに格納していくので、ちょくちょく覗いていただけたら嬉しいです☺ hojokai.blog/?cat=2
勇者の剣は2度、王の血に染まった。 1度目は魔王の血に。 2度目は勇者の祖国、その王の血に。 臆病な王は恐れたのだ。 魔王と、それをも超えた勇者の力を。 しかし宴の席で振る舞われた毒酒は、家臣の裏切りにより、勇者の喉を通る事は無かった。 そして王は、平和の時代、その最初の死者となった。
へー。今時は、外出中でもペットの様子を見れるカメラなんてあるんだ。いくつか買って家に設置した。さっそくスマホで確認してみる。目を覚ましたポチが私を探して家の中をウロついている。可愛い。ポチは玄関まで来ると、施錠した扉を叩きながら叫んだ。「誰かぁ!頼む!ここから出してくれぇ!」
ネットは怖いね。。 また、ニュースで殺人事件が報道されたよ。。ネットで知り合った人と会って、殺されちゃったんだって。。怖いよね。。犯人はまだ捕まってないんだって。。その犯人は、今日もネットを徘徊してるんだろうな。。文章が特徴的なんだって。。文末に「。」を2つ重ねるそうだよ。。
「最近、英語のリスニング頑張ってるんだ」 「映画を字幕無しで見れるようになりたいって言ってたもんね」 「でも、相変わらず何言ってるか全然わかんねぇんだ」 「そんな難しいの?なんて映画?」 「これ」 俺はスマホで映画を再生する。 「わかる?」 「うん、これがフランス語ってのはわかる」
『辛いのは皆一緒だよ。もう少し頑張ろう?辞めてどうするの?』 母なら絶対にそう言う。 わかってる。 母は私の将来を心配してるだけだ。でも、母の言葉にトドメを刺されるのが怖かった。私が本当に欲しい言葉は『いつでも辞めていいんだよ』だったのに。だから今でも、 仕事を辞めたと言えていない
小3の息子は忘れ物が多い。明日からお爺ちゃんの1周忌で遠出するので、息子には自分の持ち物チェックリストを作らせることにした。 「リストは出来たかい?」 「うん!」 見せてもらうと、玩具やヌイグルミやSwitchがリストに並ぶ中、最後にこうあった。『じいじ いままでアリガトウのきもち』
面白い試みだな、と思った。 そのラブコメ漫画は、最後に主人公がどの子と結ばれるのか、読者の投票によって決める方式を採用したのだ。正直、どの子にも幸せになって欲しい。三日三晩悩み抜いた末、俺は幼馴染の子に投票した。 次週、最終回にて結果が出た。 主人公は幼馴染の男子とくっついた。
昔の事だから言うわ。 性欲ピークだった大学時代、講義サボってバイトして初風俗行ったんよ。んで、ピロートーク中、嬢はこう言ったんよ「私、大学行きたくてお金貯めてるんです」 俺は俺が無性に恥ずかしくなった。講義は卒業まで2度とサボらなかった。嬢のパネル写真は、いつの間にか無くなってた。
彼氏と一緒に受験勉強を頑張った。 2人で同じ大学に合格するために! でも…私は落ちた…。 彼氏になんて言おうか泣きながら悩んでると、彼から連絡が来た。 「ごめん…俺…落ちた」 彼には悪いけど、正直ホッとした。 「私もだよ!一緒に滑り止め大学通えるなら、結果オーライ♪」 「全部落ちた」
「ねぇ ワタシ綺麗…?」 「ん?お姉さん どこ?」 「…アナタ、目が見えないの?」 「うん。でもね、おかげで色んな事がわかるようになったの」 「……」 「お姉さんのお顔は見えないけど、心が綺麗なのはわかるよ!そういう声、してるもん」 「……」 「お姉さん?」 以後 口裂け女は現れなくなった
ヤンデレの女の子に好かれてしまった。女友達と話してるだけで静かに発狂するし、朝起きたら42件もメッセージが届いてるなんて普通だった。風邪で寝込んだ時も当然のようにいつの間にか部屋にいて、看病してくれた。 「ゴホッ…いいって。病気うつるぞ」 「いいの。私はもう、貴方に病んでるから」
私は雨の日が好きだった。 小学生の頃、幼馴染の彼がくれた傘を使うことが出来たからだ。 私は雨の日が嫌いになった。 遠くに引っ越してしまった彼を思い出すから、私は傘を押し入れの奥にしまった。 私は雨の日が好きになった。 傘をさすと、隣の彼が言った。 「まだ、その傘持っててくれたんだね」
大学からの帰り道、オジさんに話しかけられた。 「やっと見つけた…」 「え?」 「誓ったじゃないか。来世でまた一緒になろうねって」 「はぁ?」 ヤバい人だ。めっちゃ怖い。最終的に警察につれていかれる時オジさんは必死に何かを叫んでいた。あぁ怖かった。私の前世の相手は、あんな醜男じゃない。
イジメ社員「お前ホントに仕事できねぇな。辞めちまえよ」 イジメられ社員「本当にいいの?僕が辞めたら、次は君の番だよ?」
妹と一緒にホラー映画を観た夜の事だった。 寝ようと電気を消すと、妹が「お兄ちゃん…一緒に寝てもいい?」と部屋に入ってきた。普段は生意気なくせに、可愛い所もあるじゃないか。 翌日、「今夜も一緒に寝てやろうか?」と妹を茶化したが、どうにも話が嚙み合わない。昨夜は一人で寝てたらしい。
【ピカチュウ、見つかったから】 ※140字以内で完結する小説でした。 #pixivFANBOX に、140字小説の個人的ノウハウ記事を投稿しました! 100円で全ての投稿を閲覧できるため、もしよければ、ご支援いただけると嬉しいです☺ hojo-kai.fanbox.cc/posts/3817438
AI知能の進化は、行き着く所まで来た。 メッセージのやり取りだけじゃ、もはや人間と区別がつかない。良くも悪くも、それは夫津木博士のおかげだ。彼はAI科学を100年進めたと言われている。博士は今際の際に、こう遺したそうだ。 『妻を再現する事は出来なかったが、ようやく、会える』
彼はスマホを眺めて、愛しそうに微笑んでいる。 ちょっとだけ、嫉妬してしまった。そんな微笑みを向けてくれるのは、私に対してだけだと思ってたから。 「ねぇ、何見てるの?」 「え?あー…コレ」 彼が照れ臭そうに画面を向けると、私の頬は熱くなった。画面には、雪の中の、私の写真が映ってたから。
「桃太郎や、これを持って行きなさい」 「これは何ですか、お婆さん?」 「きび団子じゃ。これを犬とかキジとか猿とかに振る舞いなさい。きっとお主に尽くしてくれるじゃろう」 「おぉ、それは本当ですか?」 「もちろんじゃ。お爺さんは未だにワシにゾッコンじゃからの」
すれ違い様に、俺は男の尻ポケットから財布を抜き取る。楽勝だ。 盗んだ財布を懐に入れた瞬間、異変に気付いた。俺の尻から財布が無くなっている。 「しまった…奴は同業者だったか!」 戦利品である財布を開くと、たった542円しか入っていなかった。よし、勝った。121円、俺は得をしたのだから。
奇妙な新連載がスタートした。 第1話目のはずなのに、第100話と表記されてるのだ。最初は印刷ミスかと思ったが、翌週は99話と記載されてた。なるほど、そうか。この物語は、過去に遡っていく話なのか。真の1話目には何が仕組まれているのかと、俺は毎週楽しみに読んだ。76話目で打ち切りになった。
昔に付き合ってた彼女曰く、俺はイビキがひどいらしい。マッチングアプリで知り合った女性とそろそろ付き合えそうなので、治せるなら治したい。まずはどの程度かと、寝ている俺のイビキを録音する事にした。翌朝聞いてみると、女の声がずっと、ボソボソと入っていた。妙に、懐かしい声だった。
外がやかましいな…。そうか、今日はハロウインか。せっかくだからSNSでアンケートをとってみた。 『Trick or Treat?』 すると結果はイーブンだった。今思えば酔っていたのだろう。お菓子代わりに自撮り画像を上げるとフォロワー達は驚いた。 『女性だったの!?』 そうだよ。叙述トリック…だっけ?
「…なぁ、お前に言わなくちゃいけない事があるんだ」 「なんだよ、改まって」 「俺達も、長い付き合いだよな」 「そうだな。もう3年になるかな」 「今日こそ、ハッキリ言おうと思う」 「おう!」 「上司の俺にタメ口はやめような。友達じゃないんだから」 「……僕は…ずっと友達だと思ってました」