276
ふざけて変な名前でギャルゲをプレイしてると、最後に奇妙な映像が流れた。暗い山中に主人公がヒロインの遺体を埋める映像だった。どうやらその名前限定の隠しイベントで、俺が最初の発見者だ。
調べると変な名前は実在した。
ゲームの製作者に。
ヒロインの名前も実在した。
行方不明者のリストに。
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俺のクラスの生徒は忘れ物が多過ぎる。明らかに俺はナメられている。ここは一発、厳しさを見せねばなるまい。
「皆さん。今日から、忘れ物をした人は廊下に立ってもらいます」
教室からブーイングが巻き起こるが、無視して続ける。
「では、出席を取ります」
出席簿を忘れた俺は、廊下に立たされた。
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ウチのPS2はすっかりボケてて、毎日勝手に起動する。だけど今日はやけに静かだ。1度も起動しない。
「PS2…?」
そして、PS2が起動する事は二度と無かった。もしかしたら、PS2は最期に遊んで欲しかったのかもしれない。だから俺は、せめてPS2と一緒に遊んだ日々を、心のメモリーカードに保存した。
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「マッチ…いりませんか…」
マッチ売りの少女に、淑女が声をかける。
「マッチくださります?」
「はい!おいくつをご希望ですか?」
「30前後で」
「では、こちらへ」
少女は淑女の手を引き 待合室へと連れて行く。そこには1人の紳士がいた。
「どうぞ、ごゆっくり」
そして少女は街道に戻っていった
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「やべ 終電無いわ。お前ん家泊めてくんね?」
「いいけど…引くなよ?」
友人の部屋に上がると、壁という壁に知らないアイドルのポスターが貼られていた。
「おぉ…」
「実は俺 このアイドルと付き合ってるんだ」
「…お前の妄想じゃなくて?」
「俺はまともだ。このポスター貼ったのも、その子だし」
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「あ~あ…やっちまった」
足元に缶珈琲をこぼしてしまった。ふと『珈琲は飲むよりこぼした方が目が覚める』というネタを思い出し、1人で笑った。また2人で笑える日は来るだろうか。病室のベッドで横になる妻に目を向ける。すると、妻はその目をゆっくりと開いた。2年ぶりに、妻は目を覚ましてくれた。
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気が狂いそうだ。
もう何時間も、ベルトコンベアーの上を流れてくるペットボトルを眺めている。100本に1本くらい、倒れてるのを直すのが俺の仕事だ。こんな単純作業、人間のする事じゃない。機械にでもやらせせせせせ世せ世せseesese逕溘″縺溘>
「おい、K-203がまた故障したぞ。早く技術者を呼べ」
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結婚を前提に付き合ってる彼女を呼んで、家でパーティーを開く事になった。彼女がミステリ好きなのもあり、俺が死体役になって、ちょっとしたサプライズを仕掛ける事にした。
弟と彼女が帰って来る。
血まみれで床に転がる俺を見るなり、彼女は弟に叫んだ。
「ちょっと!まだ殺るには早いでしょう!?」
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家に見知らぬ女物の下着が落ちていた。夫が浮気をしているのは間違いない。私は現場を押さえようと、今日は友人の家に泊まると嘘をついた。隙を見せれば必ず連れ込むはず。そして日も暮れたころ、LINEも送らず、私は家のドアを開けた。そこには、女装している夫と、夫とキスしている見知らぬ男がいた。
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俳優の夢を諦めた時、人生が一気に色褪せた。
どうやって死のうかと毎日考えてた俺に友人が言った。
「死ぬ前に、この漫画読んどけ」
それが、尋常じゃないくらい面白い。あっという間に最新刊まで読んだが、まだ完結してないらしく、親友に聞いてみた。「なぁ、HUNTER×HUNTERの続きいつ出るんだ?↓
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「こら!パパのお供えモノ食べちゃダメでしょ!」
翔子は仏壇から豆大福をとって食べた息子を叱った。
生前、夫の大好物だったものだ。
シュンとして、息子が呟く
「パパならきっと、わけてくれたモン…」
「……そっか、そうだね」
遺影に目を向けると、夫は笑っていた。
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慚愧に耐えませぬ。
よもや影武者たる私が生き残り、殿が暗殺されてしまうとは…。
「やむを得なし。影武者よ、今日からそなたが殿として生きるのだ」
「出来ませぬ!影武者である私に、殿の代わりなど!」
「なに、心配はいらぬ」
重臣は笑いながら言った。
「先代の殿も、全く同じ事を申しておった」
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ゲーム配信をしていると、毒舌アンチに粘着された。調べると、そいつもゲーム配信者らしい。悔しくて、俺はとっておきのプレイ動画の録画を配信した。
『うっわ下手すぎ…ホント才能無ぇな…死んだ方がいいよマジ』
今日も奴の毒舌が冴え渡る。まぁ、その動画、昔のお前のプレイ動画なんだがな。
289
すれ違い様に、俺は男の尻ポケットから財布を抜き取る。楽勝だ。
盗んだ財布を懐に入れた瞬間、異変に気付いた。俺の尻から財布が無くなっている。
「しまった…奴は同業者だったか!」
戦利品である財布を開くと、たった542円しか入っていなかった。よし、勝った。121円、俺は得をしたのだから。
290
「俺達、親友だよな」
「どうした改まって」
「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」
「いいぜ」
「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」
「マジなのか?」
「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」
「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
291
ある、雪の日の事だ。
チャイムに出ると、お隣の奥さんが立っていた。
「あの…作りすぎちゃったんで、よければ」
そう言って奥さんは、抱っこしている赤ちゃんを僕に差し出した。
「はは…冗談ですよね?」
「……」
「冗談ですよね?」
奥さんは俯いて、無言で帰っていった。
もう、5年も前の話だ。
292
「今日は皆に転校生を紹介する…が、その前に転校生の鈴木さん、君に言っておく事がある」
「なんですか先生?」
「パンを咥えながら登校するな。朝食は家でとりなさい」
「はぁい」
「あとバイク通学は禁止だ。いいな?」
「はぁい」
「よし。じゃあ君の席は、今朝病院に運ばれた安田の隣だ」
293
「昔、元カレから貰った贈り物って、なんか捨てらんないんだよね」
「わかる!私も捨てられないもん」
「例えば何貰ったの?」
「包丁」
「えぇ…変わってるね」
「うん。『もし俺が浮気したら、これで刺していいよ』ってくれたの」
「捨てなよそんなの…」
「でも…捨てたら証拠隠滅罪になっちゃう」
294
こんな惨めな新郎がいるだろうか。
なぜかって、俺側の友人席は、全員レンタル友達だからだ。席を埋める程の友人なんて俺にはいない。スピーチをしてくれる親友もレンタルだ。俺との架空の思い出を語る姿に、涙が出そうになる。結婚2年目にして知った事だが、妻の側も、全員レンタルだったらしい。
295
「失礼、警察です。貴女の恋人に殺人容疑がかかっておりまして…」
「え?」
「逃走中の彼について、お話しを聞かせていただきたく…」
ショックで茫然とする私を見かねて、刑事達は質問もそこそこに帰っていった。
彼が…殺人鬼だったなんて……探されちゃう…彼をもっと遠くに…埋め直さないと……。
296
「ねぇ、この前ノートPCをバスタブに沈めてたよね?」
「ん?あぁ、もう捨てるからな」
「どうしてそこまでしたの?」
「そりゃ当然だろ、個人情報の塊なんだから」
「実は復元できたのよ。貴方の浮気データも一緒にね」
「は!? 嘘だろ!?」
「えぇ、嘘よ。でも、間抜けは引っ掛かったみたいね!」
297
初めて彼氏の家に行ったらなぜか洗面台の鏡にキスマークがついてて、口紅も置いてあって「なんなのこれ?」って問い詰めたら慌て始めて、余計に怪しくて強く聞いたら「初キスで緊張しないよう、女装して鏡の自分と向かい合ってキス練してた」って白状されたんだけどキスは死ぬほど下手だった。
298
デートで終電が無くなった私は、彼氏の家に初めてお泊まりする事になった。
そしたら、まさかの実家。
まぁいいか。
と思ってあがると、居間に服を着たマネキンが2体座ってた。顔にはクレヨンで笑顔が描かれている。額にはそれぞれ、父・母とあった。立ち尽くす私の後ろで、チェーンを閉める音がした。
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こんな惨めな新郎がいるだろうか。
なぜかって、俺側の友人席は、全員レンタル友達だからだ。席を埋める程の友人なんて俺にはいない。スピーチをしてくれる親友もレンタルだ。俺との架空の思い出を語る姿に、涙が出そうになる。結婚2年目にして知った事だが、妻の側も、全員レンタルだったらしい。
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「ドラ〇えもん、日誌なんてつけてるのか…ちょっと見ちゃえ」
【1月5日】
の〇太君の経過は非常に順調。今回こそセワシ君の未来を変えられそうだ。タイムマシンで戻る度、〇び太君の『初めまして』を聞く事に僕はもう堪えられない。どうか…今回こそ…
「……表紙の〝81回目〟って、もしかして…」