ふざけて変な名前でギャルゲをプレイしてると、最後に奇妙な映像が流れた。暗い山中に主人公がヒロインの遺体を埋める映像だった。どうやらその名前限定の隠しイベントで、俺が最初の発見者だ。 調べると変な名前は実在した。 ゲームの製作者に。 ヒロインの名前も実在した。 行方不明者のリストに。
俺のクラスの生徒は忘れ物が多過ぎる。明らかに俺はナメられている。ここは一発、厳しさを見せねばなるまい。 「皆さん。今日から、忘れ物をした人は廊下に立ってもらいます」 教室からブーイングが巻き起こるが、無視して続ける。 「では、出席を取ります」 出席簿を忘れた俺は、廊下に立たされた。
ウチのPS2はすっかりボケてて、毎日勝手に起動する。だけど今日はやけに静かだ。1度も起動しない。 「PS2…?」 そして、PS2が起動する事は二度と無かった。もしかしたら、PS2は最期に遊んで欲しかったのかもしれない。だから俺は、せめてPS2と一緒に遊んだ日々を、心のメモリーカードに保存した。
「マッチ…いりませんか…」 マッチ売りの少女に、淑女が声をかける。 「マッチくださります?」 「はい!おいくつをご希望ですか?」 「30前後で」 「では、こちらへ」 少女は淑女の手を引き 待合室へと連れて行く。そこには1人の紳士がいた。 「どうぞ、ごゆっくり」 そして少女は街道に戻っていった
「やべ 終電無いわ。お前ん家泊めてくんね?」 「いいけど…引くなよ?」 友人の部屋に上がると、壁という壁に知らないアイドルのポスターが貼られていた。 「おぉ…」 「実は俺 このアイドルと付き合ってるんだ」 「…お前の妄想じゃなくて?」 「俺はまともだ。このポスター貼ったのも、その子だし」
「あ~あ…やっちまった」 足元に缶珈琲をこぼしてしまった。ふと『珈琲は飲むよりこぼした方が目が覚める』というネタを思い出し、1人で笑った。また2人で笑える日は来るだろうか。病室のベッドで横になる妻に目を向ける。すると、妻はその目をゆっくりと開いた。2年ぶりに、妻は目を覚ましてくれた。
気が狂いそうだ。 もう何時間も、ベルトコンベアーの上を流れてくるペットボトルを眺めている。100本に1本くらい、倒れてるのを直すのが俺の仕事だ。こんな単純作業、人間のする事じゃない。機械にでもやらせせせせせ世せ世せseesese逕溘″縺溘> 「おい、K-203がまた故障したぞ。早く技術者を呼べ」
結婚を前提に付き合ってる彼女を呼んで、家でパーティーを開く事になった。彼女がミステリ好きなのもあり、俺が死体役になって、ちょっとしたサプライズを仕掛ける事にした。 弟と彼女が帰って来る。 血まみれで床に転がる俺を見るなり、彼女は弟に叫んだ。 「ちょっと!まだ殺るには早いでしょう!?」
家に見知らぬ女物の下着が落ちていた。夫が浮気をしているのは間違いない。私は現場を押さえようと、今日は友人の家に泊まると嘘をついた。隙を見せれば必ず連れ込むはず。そして日も暮れたころ、LINEも送らず、私は家のドアを開けた。そこには、女装している夫と、夫とキスしている見知らぬ男がいた。
俳優の夢を諦めた時、人生が一気に色褪せた。 どうやって死のうかと毎日考えてた俺に友人が言った。 「死ぬ前に、この漫画読んどけ」 それが、尋常じゃないくらい面白い。あっという間に最新刊まで読んだが、まだ完結してないらしく、親友に聞いてみた。「なぁ、HUNTER×HUNTERの続きいつ出るんだ?↓
「こら!パパのお供えモノ食べちゃダメでしょ!」 翔子は仏壇から豆大福をとって食べた息子を叱った。 生前、夫の大好物だったものだ。 シュンとして、息子が呟く 「パパならきっと、わけてくれたモン…」 「……そっか、そうだね」 遺影に目を向けると、夫は笑っていた。
慚愧に耐えませぬ。 よもや影武者たる私が生き残り、殿が暗殺されてしまうとは…。 「やむを得なし。影武者よ、今日からそなたが殿として生きるのだ」 「出来ませぬ!影武者である私に、殿の代わりなど!」 「なに、心配はいらぬ」 重臣は笑いながら言った。 「先代の殿も、全く同じ事を申しておった」
ゲーム配信をしていると、毒舌アンチに粘着された。調べると、そいつもゲーム配信者らしい。悔しくて、俺はとっておきのプレイ動画の録画を配信した。 『うっわ下手すぎ…ホント才能無ぇな…死んだ方がいいよマジ』 今日も奴の毒舌が冴え渡る。まぁ、その動画、昔のお前のプレイ動画なんだがな。
すれ違い様に、俺は男の尻ポケットから財布を抜き取る。楽勝だ。 盗んだ財布を懐に入れた瞬間、異変に気付いた。俺の尻から財布が無くなっている。 「しまった…奴は同業者だったか!」 戦利品である財布を開くと、たった542円しか入っていなかった。よし、勝った。121円、俺は得をしたのだから。
「俺達、親友だよな」 「どうした改まって」 「戦場に行く前に、お互いだけの秘密を共有しないか?」 「いいぜ」 「じゃあ俺からな。実は俺の姉、血が繋がってないんだけど、好きになっちまったんだ」 「マジなのか?」 「あぁ。次は、お前の秘密を教えてくれ」 「お前の姉ちゃんと付き合ってる」
ある、雪の日の事だ。 チャイムに出ると、お隣の奥さんが立っていた。 「あの…作りすぎちゃったんで、よければ」 そう言って奥さんは、抱っこしている赤ちゃんを僕に差し出した。 「はは…冗談ですよね?」 「……」 「冗談ですよね?」 奥さんは俯いて、無言で帰っていった。 もう、5年も前の話だ。
「今日は皆に転校生を紹介する…が、その前に転校生の鈴木さん、君に言っておく事がある」 「なんですか先生?」 「パンを咥えながら登校するな。朝食は家でとりなさい」 「はぁい」 「あとバイク通学は禁止だ。いいな?」 「はぁい」 「よし。じゃあ君の席は、今朝病院に運ばれた安田の隣だ」
「昔、元カレから貰った贈り物って、なんか捨てらんないんだよね」 「わかる!私も捨てられないもん」 「例えば何貰ったの?」 「包丁」 「えぇ…変わってるね」 「うん。『もし俺が浮気したら、これで刺していいよ』ってくれたの」 「捨てなよそんなの…」 「でも…捨てたら証拠隠滅罪になっちゃう」
こんな惨めな新郎がいるだろうか。 なぜかって、俺側の友人席は、全員レンタル友達だからだ。席を埋める程の友人なんて俺にはいない。スピーチをしてくれる親友もレンタルだ。俺との架空の思い出を語る姿に、涙が出そうになる。結婚2年目にして知った事だが、妻の側も、全員レンタルだったらしい。
「失礼、警察です。貴女の恋人に殺人容疑がかかっておりまして…」 「え?」 「逃走中の彼について、お話しを聞かせていただきたく…」 ショックで茫然とする私を見かねて、刑事達は質問もそこそこに帰っていった。 彼が…殺人鬼だったなんて……探されちゃう…彼をもっと遠くに…埋め直さないと……。
「ねぇ、この前ノートPCをバスタブに沈めてたよね?」 「ん?あぁ、もう捨てるからな」 「どうしてそこまでしたの?」 「そりゃ当然だろ、個人情報の塊なんだから」 「実は復元できたのよ。貴方の浮気データも一緒にね」 「は!? 嘘だろ!?」 「えぇ、嘘よ。でも、間抜けは引っ掛かったみたいね!」
初めて彼氏の家に行ったらなぜか洗面台の鏡にキスマークがついてて、口紅も置いてあって「なんなのこれ?」って問い詰めたら慌て始めて、余計に怪しくて強く聞いたら「初キスで緊張しないよう、女装して鏡の自分と向かい合ってキス練してた」って白状されたんだけどキスは死ぬほど下手だった。
デートで終電が無くなった私は、彼氏の家に初めてお泊まりする事になった。 そしたら、まさかの実家。 まぁいいか。 と思ってあがると、居間に服を着たマネキンが2体座ってた。顔にはクレヨンで笑顔が描かれている。額にはそれぞれ、父・母とあった。立ち尽くす私の後ろで、チェーンを閉める音がした。
こんな惨めな新郎がいるだろうか。 なぜかって、俺側の友人席は、全員レンタル友達だからだ。席を埋める程の友人なんて俺にはいない。スピーチをしてくれる親友もレンタルだ。俺との架空の思い出を語る姿に、涙が出そうになる。結婚2年目にして知った事だが、妻の側も、全員レンタルだったらしい。
「ドラ〇えもん、日誌なんてつけてるのか…ちょっと見ちゃえ」 【1月5日】 の〇太君の経過は非常に順調。今回こそセワシ君の未来を変えられそうだ。タイムマシンで戻る度、〇び太君の『初めまして』を聞く事に僕はもう堪えられない。どうか…今回こそ… 「……表紙の〝81回目〟って、もしかして…」