私事で恐縮ですが、この度、結婚しました。娘と息子を授かり、2人とも今では立派な社会人です。子供達が自立し、趣味の裁縫に没頭する老後は、とても穏やかでした。娘と息子は今、孫達と共に私の周りで泣いています。そろそろお迎えが来たようです。久しぶりに夫に会えます。では皆様も、良い人生を。
「私達にも拒否権があっていいと思います!」 その一言で、業界初の、アイドル側が握手を10人まで拒否できる握手会が開かれた。ファン達は、自分が拒否られたらどうしようと、怯えながら列に並ぶ。 10人目が拒否られた瞬間、会場は安堵の息で溢れ、アイドルは叫んだ。 「すみません!追加20人で!」
『惚れ薬』をゲットした。小瓶に入った無色透明の液体だ。私はそれを、彼が席を立った隙にそっと飲み物に入れた。そして私達は付き合う事になった。でも、罪悪感から私は全てを白状し「本当に…ごめんなさい」と言って小瓶を見せた。すると、ラベルの用法欄を見た彼は言った。「これ塗るタイプだよ」
ボクシングに全てを捧げて来たが、ボクシングの神は、俺を見放した。病に蝕まれ引退を余儀なくされた俺は、生を奪われたも同然だった。しかし多額の寄付金により手術を受けられた俺は、再びリングの上で好敵手と相まみえた。ベルトを奪った後に知ったが、寄付金の殆どは、その好敵手からのものだった。
「私はランプの精。さぁ願いを3つ叶えてやる」 「お願い!私の彼氏を生き返らせて」 「うむ」 後日 「残る願いは2つだ」 「私の彼氏を生き返らせて」 「また死んだのか?いいだろう」 後日 「最後の願いを言え」 「彼を生き返らせて」 「またか?」 「えぇ。あの男は、何度殺っても足りないから」
「この度は弊社がご迷惑をおかけしてしまい…申し訳ありません…」 「誠意が感じられんなぁ…」 「誠意?」 「日本にはあるだろう?両手と頭を地面につける、伝統的な謝罪方法がさぁ…」 悔しさに歯を食いしばりながらも、俺は従った。 「この度は申し訳ありません!」 「うん、三点倒立じゃなくてね」
ふと見上げると、マンション2Fの窓から、ヌイグルミがこっちを見つめていた。窓一面を覆わんばかりの、大きなクマのヌイグルミだ。きっと親からのプレゼントが嬉しくて、通行人に見せつけたいのだろう。微笑ましいじゃないか。よく見るとクマのお腹に貼られた紙に、何か書いてあった。『たすけて』
「~以上が、御社を志望した理由です」 よし、練習通り言えたぞ。面接官は満面の笑顔だし、手応えアリだ!憧れの大企業に入れるかもしれない。ただ、面接官がずっと指で机を叩いているのが気になるな。 トン・トーン・トン…… これはまさか…モールス信号? 『ニゲロ ココ ハ ブラック キギョウ ダ』
「僕と結婚して下さい」 「嬉しい…夢みたい…」 「頬っぺたでも抓ってみるかい?」 抓ってみると、目が覚めた。 え、本当に夢? 嘘でしょ…? 抓らなければよかった…。 「起きて~!朝ご飯できたぞ~」 リビングから、夫の声がする。 もう少しあの時の幸せに浸っていたかったけど、まぁ、いいか。
私事で恐縮ですが、この度、結婚しました。娘と息子を授かり、2人とも今では立派な社会人です。子供達が自立し、趣味の裁縫に没頭する老後は、とても穏やかでした。娘と息子は今、孫達と共に私の周りで泣いています。そろそろお迎えが来たようです。久しぶりに夫に会えます。では皆様も、良い人生を。
『総プレイ時間:292時間』 これ程の時間ゲームしてしまったのか…と凹むゲーマーも多いらしい。全く共感できない。俺はむしろ「そんなに楽しんだのか」と そのプレイ時間に充実感を覚えるタイプだ。俺の目の前にケーキが運ばれる。「82歳の誕生日おめでとう!」そうか、もう、そんなに楽しんだのか。
「お前の代わりなんていくらでもいるんだぞ?」 「はい。ですので、今日は辞表を持ってきました」 懐から辞表を取り出すと、課長は悲しそうな顔を見せた。 「…でもな、俺にとってはお前しかいないんだ」 そう言って、課長は俺の辞表を破り捨てた。 「課長…」 俺は懐から代わりの辞表を取り出した。
社内のネットワーク管理者である俺には、社員が業務PCでどんな検索をしてるのか丸わかりだ。すると こんな検索結果が並んだ。 『見ているな?』 『貴様見ているな?』 『この覗き魔が』 『わかってるぞ』 『見るんじゃねぇ』 『仕事辞めたい』 『その仕事代わって』 うるせぇ。 いいから仕事しろ。
「なんだこれ?」 届いた書留を夫が開くと、中身はご祝儀袋だった。私も首を傾げた。私達はもう結婚7年目なのに。だけど差出人である先輩の名を見て、私は彼の言葉を思い出した。 『ごめん…金無くて結婚式行けない…俺が人気作家になったら、必ずお祝いするから』 ご祝儀袋には、100万が入っていた。
「お前、まだあんな陰キャとつるんでんの?悪い事言わねぇからあんなのと縁切れって。スクールカースト底辺に落ちてねぇの?最近のお前が死んだ魚の目してんのも、ぶっちゃけアイツのせいだろ(笑」 ついに我慢の限界を迎えた俺は、この男を殴った。 「友の侮辱は構わないが、俺を侮辱するのは許さん」
「博士。進化したポケモンを、元に戻す事は出来ませんか?」 「残念じゃが、それは不可能じゃ。なぜそんな事を聞く?」 「…ヒトカゲからリザードンって、大分、大きくなりますよね」 「そうじゃな」 「ピカチュウを抱っこしていると、リザードンが時々、羨ましそうな目でこっちを見ているんです」
朝登校すると、親友は裸足だった。 「…お前もしかして、イジメられてんの?」 親友は首を横に振る。 「じゃあ上履きは?」 「下駄箱、見てないんだ」 「なんで?」 「俺が確認しない限り、チョコが在るのと無いの、2つの可能性が共存するだろう?」 なるほど。 確認したら、チョコは無かった。
シゲルは、ゲームのボス戦で負けそうになると、すぐリセットする困った奴だった。 そんなシゲルが受験に落ちたらしい。家に行くと、シゲルは意外と元気そうだった。でも、机の上の新品のカッターが気になった俺は、それを盗んだ。 大人になって、同窓会で彼にこう言われた 「あの時は、ありがとう」
僕の彼女はいつの間にか、肩に僕の名前の刺青を入れていた。本人曰く、変わることのない永遠の愛の証だそうだ。ちょっと重かったけれども、それ程までに愛されるのは正直嬉しかった。 元カレの名前を消せなくなったから、同じ名前の相手をずっと探してただけだと知ったのは、彼女と結婚した後だった。
「でね、3泊4日で旅行に行くって言ったらこう言われたの『俺の飯はどうするんだ?』って」 「うわぁ出た!いるよね、そういう夫。そんなの無視して旅行いっちゃいなよ」 「うん…もう飽きたし、そうするね」 後日 彼女の家から夫の死体が見つかった。夫は首輪で繋がれ〝飼われていた〟様子だった。
私は小さい頃、ポケモンが大好きだった。将来の夢はポケモントレーナーになることだった。勿論、それは叶わなかったけど、私はポケモンから大事なことを学べた。おかげで今、ずっと好きだった人と付き合えているの。本当にゲットしたい時は、相手をとことん弱らせてから、手を差し伸べるのが大事。
「失礼、警察です。貴女の恋人に殺人容疑がかかっておりまして…」 「え?」 「逃走中の彼について、お話しを聞かせていただきたく…」 ショックで茫然とする私を見かねて、刑事達は質問もそこそこに帰っていった。 彼が…殺人鬼だったなんて……探されちゃう…彼をもっと遠くに…埋め直さないと……。
「ヤバ…鍵かけたっけ?」 家まで戻って確認すると鍵はかかっていた。よかった、これで安心して買い物にいける。 夕方、歩き疲れて帰宅する。 「……え?あれ?」 取り出した鍵が、何度やっても鍵穴に入らない。不思議に思ってよく見ると、間違って実家の鍵を持ち出していた事に気付いた。
濡れながら帰宅してると、男の人が傘を差し出してきた。 「あの…よかったらコレ使って下さい」 「え?いえそんな、悪いですよ」 「僕の家すぐそこなんで、遠慮せず。まだ歩きますよね」 「えっと…じゃあ、ありがとうございます」 傘を受け取ると、男の人は去っていった。 親切な人もいるんだなぁ。
『俺と……………付き合ってくれない?』 『その前に、言いたい事が5つあるの。 1: LINEで告白はやめようね。 2: 3点リーダで溜め過ぎてなんかキモい。 3:先月失恋して凹んでたくせに立ち直り早いね。 4:彼女作る前に部屋は綺麗にした方がいいよ。 5:送り先は確認しようね。私はあなたの母です』