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画像生成AIと著作権の話題が続いてますね。
例えばこれは、イラストレーター等が作品をアップロードするとそれをAIが学習し、似た「作風」のイラストを自動生成する。ところが、他人のイラストを無断アップロードするケースに批判が集まり、1日でサービス停止したと。
nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/22…
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法律面をざっくり言えば、日本では、AIが国内で既存の作品を学習する行為じたいには許可は不要です(30条の4ほか)。
また、単に作風(テイスト)が似ているだけのイラストを生成するのも、法的には問題ありません。テイストはアイディアで、著作権は及ばないからです。
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これは意外な方もいるでしょうが、人間は情報を伝達し模倣する生き物なので、先人の作風を学ぶことは創作の歴史と同じだけ古いし、文化はそうして発展して来ました。
よって世界的にアイディアの模倣は可、それを超えて具体的な表現の特徴を真似るのはNG、というルールになっています。
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ただし、他人のイラストの無断アップロード自体が規約違反となることはあり得ます。これは単なる表明では足りず、拘束力のある規約の場合。
また、生み出されたAI生成物がモデルとなった個別作品に具体的に似ている場合は、(依拠性という議論はありますが)著作権侵害の可能性は十分あるでしょう。
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ところで、話題になっている画像生成AIの論点は、いずれも既視感というか、実はもう10年近く議論して来たものです。
今年登壇した人工知能学会のシンポでも、大まかな論点はほぼカバーされていますね。
ai-elsi.org/archives/1255
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これは、、特に文化・コンテンツ分野では影響大ですね。資本金1000万円以下の発注側法人に下請法を適用拡大、との報道。
実現すれば、圧倒的多数の小規模会社からフリーの方への作品・イラスト・ソフト等の発注が、下請法で守られることになります。
nikkei.com/article/DGXZQO…
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発注時の書面交付や納期、支払金額、支払日の記載も原則義務になり、違反は刑事罰の対象となります。
コンテンツ関連では発注時には確定できない場合も多く、そういう正当事由がある場合に限り、理由と確定できる時期の記載で可。
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買いたたき(著作権の不当に安い取得を含むとされます)、一方的な業務内容の変更や受領拒否、支払遅延なども禁止され、改善勧告・公表もあり。
詳細はこうした政府サイトのパンフレットに詳しく、書面無しが大半だった業界への影響は大きいでしょう。
jftc.go.jp/houdou/panfu.h…
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一点重要なのは、発注書・契約書が増えれば、それを読み、しっかり協議する力が双方に一層求められるようになることです。
書面がなければ、ある程度は民法・著作権法などの原則が守ってくれます。が、契約書面には原則を変える力があり、通常は作成者側に有利に作られやすいからです。
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あまり報道されませんが、海外プラットフォームの日本法人には、資本金が1000万円ジャスト(なので下請法で規制されない)という例が少なくありませんでした。
法改正されれば、フリーランスから成果物の著作権を取得する場合、適正な対価を支払ったかがより問われるようにはなるでしょう。
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月曜日、岸田総理と面談でき、舞台・音楽分野の公演中止の実情を伝えました。
把握するだけでも、舞台分野では7・8月で約 1,300ステージと、月間では既に多かった1~6月の4.6倍。音楽分野でも6月以降242公演が中止という危機的データを示し、状況はよくわかったということでした。
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ついに政府が、ステマの法規制を検討との報道。大きな動きですね。
広告だと明示せずに公平な口コミや意見を装って宣伝する行為について、景表法で新たな違法類型として明示。事業者名公表や改善命令に従わなければ刑事罰、と。
nikkei.com/article/DGXZQO…
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なお、TikTokステマ問題の時のツイートは下記から。
日経によれば現役インフルエンサーの約2割は依頼を受けてステマをした経験ありとの由ですが、これは「隠れた広告主」だけでなく、実行者であるインフルエンサー自身にとっても危険なリスクです。
twitter.com/fukuikensaku/s…
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無断転載が再び話題のようですね。今回は、「他人のイラストをほぼそのまま無断転載して自作と名乗る」パターンが特に多発しているようです。
この点、他人の作品の無許可利用には例えば次の①~④のパターンがあり、それによって影響や法律の扱いはかなり違います。
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もっとも現在の「自作主張」型は、匿名性の中で手っ取り早く注目を集めたいという、アテンション・エコノミーが歪んで現れたケースが多そうですね。
された側には迷惑以外の何物でもないでしょうから、このハンドブックも参考に、削除要請が一般的な対処になるでしょう。
bunka.go.jp/seisaku/chosak…
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先日のフリーランスにも下請法の保護を拡げる件、政府が概要を公表し、意見募集がはじまりました(9/27締切)。
・・・このフリーランス新法、資料を読むと、どうも日経の報道以上にコンテンツ・文化分野やネットビジネスへの影響も大きそうですね。
public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public…
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すべての仕事の発注の際に条件を記載した書面交付(メール可)を義務づけ、買いたたき、一方的な業務内容の変更や減額などを禁止。違反には改善勧告・公表があり。
ポイントは、現行の下請法は法人が発注する場合に規制対象が絞られますが、個人が個人に仕事依頼する場合も書面交付を義務づける点。
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くり返しますが、こうして発注書・契約書が増えるほど、それを読みしっかり協議する力が、双方にとって重要になります。
書面がなければ、ある程度は民法・著作権法などの原則が守ってくれます。が、契約書面には原則を変える力があり、通常は作成者側に有利に作られやすいからです。
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GoTo改め、イベント割が10/11~実施と決まりました。
ざっくり言えば、期間中に販売されるライブ・舞台・スポーツやテーマパークのチケット、配信視聴料の20%が割り引かれます。
ただし、ワクチン接種証明又は正規検査で陰性の確認が必要。主催者が登録したイベントが対象。
wakuwari.go.jp
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ただ、課題も多いですね。
第一に、他のどこでも求めていない接種証明などの確認が求められますが、混雑時のレストランや駅改札で接種証明を確認するのと同じで、現実のオペレーションはかなり困難です。解決策になるはずのアプリや電子ゲートは普及しておらず、恐らくプレイガイドも対応しません。
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第二に、多くの舞台・ライブは数ヶ月前にチケット発売し、熱心なファンほど早期購入します。割引はキャンペーン期間中に販売されるチケットだけなので、販売済み分は対象外。遅く購入する観客だけ安くなる不公平を恐れ、登録を躊躇する主催団体もいるでしょう。
キャンペーン期間(終期)も未定です。
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この映画をめぐって、中止を求めたり、中止に反対したり、かなりの論争のようですね。
私は、この映画に興味はわきませんが、一方で、この映画を批判しようとも思いません。なぜなら、作品を見ていないからです。見ていない作品を評価するには、私は(そして恐らく大多数の人は)あまりに不完全です。 twitter.com/Sankei_news/st…
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鳥獣戯画展で鎌倉時代の彫像をメモにスケッチしていたら制止され、著作権と所蔵元の意向が理由にされた件を見ました。
著作権はおかしいという意見や、チケットに模写禁止と書いてあるので違反という意見があるようですね。
館内の模写・撮影は、通常、①著作権、②入場契約、③施設管理権で考えます。
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著作権は鎌倉時代の像では切れており、また所蔵元(所有者)に外観イメージへの独占権がない点は、ほぼ最高裁で固まっています。こうしたパブリックドメイン作品は、いわば社会の共有資本ですね。
なお、著作権が続いていても、個人の勉強や楽しみのための模写ならば私的複製で許容されます(30条)。
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「チケット裏面への模写禁止の記載」は、それだけではやや厳しいでしょう。チケット販売は法的には入場契約ですが、契約の内容は販売の時点で決まり、その後で渡されるチケットの裏面やHP等の記載は、それのみでは契約内容になりにくい。
(よほど、模写禁止が常識として浸透していればあり得ます。)