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コラムを書きました。
コロナで壊滅の危機に瀕した文化芸術のために、国をあげて空前の規模の支援を展開した独・仏・アメリカなどと、日本の共通点は何で、日本の文化支援はどの点が極めて特異であったのか。ご興味あれば。
kottolaw.com/column/220510.…
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文化庁・獨協大の共同調査で、現早稲田大の秋野有紀さんや作田さんが参加した詳細な報告書。
特に「各国が従来の文化活動の継続支援と手続きの簡易化に力を入れたのに対して、日本がコロナ下で新たな取組みと成果を求めた点が特異だった」という指摘は、重いでしょう。
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先日、AV被害映像の拡散を止める著作権の知恵を求められて各党ヒアリングに出ましたが、出席した各団体は AV 被害を防止したい点では一致しているように見えました。
しかしその後、#AV新法に反対します というハッシュタグが拡散されていると聞いて、少々驚きました。 twitter.com/fukuikensaku/s…
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AV被害を止めたいが法案に問題があるというなら、正しいハッシュタグは「AV法案を変えてください」ではないでしょうか。
例えば「解除できる」だと契約の有効性を前提にしているから問題だというなら、代わりに「無効を確認する」等の修正があり得ます。それが法技術であり、対話だと思えます。
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なぜ、論点を過度に単純化して二極対立を煽るようなハッシュタグになってしまうのか。置き去りにされているのは被害者たちではないか、気になりました。
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米国でディズニーの著作権を「はく奪」する法案が提出された、と話題のようですね。
整理しておくと、まず米国法では、オリジナル・ミッキーの著作権は放っておいても公表から95年後の来年末には終了します。もともと、以後は誰でも自由に使えますね。
gigazine.net/news/20220513-…
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そして今回の法案は、ディズニーに限らず企業の著作権の保護期間を、56年間という半世紀前の水準に短縮しようというものですね。
通る可能性は低そうですが、著作権の期間が適正であることは、権利者不明のオーファン作品を減らし、デジタルアーカイブなどで作品に光を当てる意味でも大切なことです。
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また、以上は米国での保護の話で、日本でのミッキーマウス(オリジナル・ミッキー)の保護は、実はもう一昨年に切れた可能性があります。この点は、このコラムなどを。
よくある誤解ですが、商標登録がされていても、著作権保護のような力はありません。
kottolaw.com/column/190913.…
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声優が、自分の声を無断でボカロAIに利用したTikTokを訴えた裁判。
一方、研究者は、AIの作品に対して「創作者:AI、著作権者:AIの保有者」とする著作権登録を認めるよう米国政府を提訴。ロイターの記事ですね。
jp.reuters.com/article/tech-e…
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さて話題のこれ。たしかに原作『プー』の米国での著作権は公開後95年の今年から切れ、利用は自由になりました。
ただしこの映画、恐らく見られる国と見られない国が出て来ます。 twitter.com/denfaminicogam…
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文化庁が、創作者などに向けた海賊版対策のポータルを開設しましたね。
「初めての削除要請ガイドブック」もあり、被害にあった方が自分で削除要請もできるよう、窓口の探し方やメール文案など、かなり一般向けになっています。 twitter.com/prmag_bunka/st…
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ウマ娘の二次創作ガイドラインを守らない海外の二次創作勢と、日本のファンの間で対立、というニュースを見ました。
ここで、二次創作ガイドラインには二種類あることは、念頭において置くと良いでしょう。「本来できないことを許すガイドライン」と、「本来自由なことへのお願いの表明」です。
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例えば漫画・アニメの二次創作の場合、著作権がありますので、日本では少なくないケースが(法的には)本来できません。
権利者がそのガイドラインを出す場合、ガイドラインに従えば許諾する、という意味ですから、従わなければ著作権侵害で違法になってしまいますね。
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ゲームのキャラも多くの場合、こちらでしょう(馬名の商標登録は、あまり関係ないと思います)。
この辺りの議論は、例えば下記コラムや、そこで触れている『ウマ娘の二次創作にガイドライン「暴力や性的描写はダメ」守らなかったらどうなる?』に詳しいので、そちらを。kottolaw.com/column/220331.…
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他方、例えば古い仏像の場合、もはや著作権はありません。パブリシティ権的なものも最高裁に照らして無理でしょう。よって、法的には二次創作は誰でも自由なのですね。
この場合のガイドラインは、管理者などによる希望の表明、となります。性格が、大きく違いますね。
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問題はここからで、海外の場合、国によってはフェアユースやパロディ規定が著作権法にあって、二次創作は「法的にも」かなり自由なのですね。
つまり、たとえゲームのキャラでも二次創作はある程度自由で、そういう場合には同じガイドラインが、「権利者の希望の表明」に変わります。
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更にカルチャーの違いも影響します。
日本では多くの場合、二次創作の根底には原作愛があります。政府の規制には全力で立ち向かうが、作家が嫌ならすぐにやめる、そういうカルチャーを強く感じます。
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もちろん、欧米のファンアートにも原作愛は大いにあるでしょう。
ですが、一方で彼らにとってパロディとは、先人が時の権力者から首を切り落とされながら勝ち取って来た、批評や風刺の自由です。怒られてやめる精神性は、概して少ないでしょう。
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この辺りは『著作権とは何か』(集英社新書)でも書きましたが、カルチャーの違いであって、どちらが正しいというものではないでしょう。
ただ、そんなことも念頭に議論に加わると、良いかもしれませんね。
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ネット上では今日も、多くの「告発」を目にします。「告発の拡散」をお願いするものもあります。
告発じたいは、正当な理由があって自己責任で行うなら社会の重要な営みです。ただし、第三者が信頼性も確認せずにそれを拡散する行為は、たとえ単なるRTでもリスクを伴うことは、知っておくべきです。
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たとえば告発内容が事実でなかった場合、拡散に手を貸しただけでも名誉棄損などの犯罪にあたる場合があります。法的な責任には発展しなくても、不確かな情報を拡散している姿を人が見れば、無責任で愚かな人物という評価を受ける可能性もあります。
何より、虚偽を拡散された相手の生活を破壊します。
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情報の出所はどんなアカウントで、信頼できるのか。リンクなどで裏付け情報やことの背景を十分に把握できるか。相手方はどう言っているのか。そもそも、あなたが拡散すべき問題か、第三者が介入できない問題か。
拡散する前に、その辺りも考えると良いですね。あなた自身のためにも。
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ネット上で最近、「当社の画像の無断複製・SNS転載は著作権侵害で、刑事罰もあります」という注意喚起のツイートが、大量拡散されているのを見かけました。
狙いはよくよくわかりますが、正確には、「著作権法が認める例外を除いては」ですね。この10年で最も、法改正で拡充された部分です。
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以前からある代表例は、「引用」(32条)です。人の作品を批評や報道、教育などのために紹介することは、一定の注意点を守れば、可能です。
許可を得ないと批評や報道が出来ないようでは、社会は窒息してしまうからです。(出典の明示や、借りた部分がメインにならないなどに注意。)