作画マッドや原画集で扱われる華やかで見栄えのするカットはアニメーターの仕事のごく一部。地道で果てしなく根気の要るカットをこなす人こそアニメーターの主役と思っています。そういう方をこれから育てたいのでどうか勢いだけで飛び込まないでください。皆で曼陀羅や絨毯を編むような仕事なのです。
動画の待遇の悪さが1番のネックではありますが、絵が達者でもルールを知らないまま原画になる人ばかりにならないように。5年後、10年後に最低限のルールを身につけたアニメーターを増やせたらと思います。さりげない当たり前の歩きや動きを描ける人を育てるのが目標です。よろしくお願いいたします。 twitter.com/sasayuricafe/s…
ササユリカフェで始まった『この世界の片隅に』の展示ではコピーではない直筆のアニメーション原画を見る事が出来ます。生の鉛筆の線で描かれた原画やレイアウトがファイル越しですが堪能出来ます。この展示の後は倉庫にしまわれてしまうそうなので最初で最後のチャンスと言えるかも。この機会に是非。
片渕監督が先ほど雑談の中でお話されていたのですが、音でイメージしてカットの秒数が決まるのだそうです。楽曲や声にこだわる監督ならではの創作の秘訣のひとつですね。良いお話なのでお裾分け。
本日から新たに公開です。公開一週目の動員数が映画の運命を決めます。人気があるからずっとやるなどと思わず、可能な方は第一週目に是非お運びください。 twitter.com/HideMatsubara/…
『江口寿志アニメーション背景原図集』これから背景原図を学びたい方におすすめしたい本です。キャラクターだけでなく背景を描く事も学ばないと、と繰り返しお伝えしているのは、原画マンに成るためには必ずこんな大変な背景原図を描く事もセットで求められるからです。玄光社刊、2700円(税別)。
「動物画の描き方」K・ハルトグレン著。マール社。1078円。日本語版は1978年が初版の古典的なアニメの教本です。賛否ある本ですが、動物を描くのが苦手な方に1冊丸々模写してみる事をオススメしてみます。これを実行して主な動物をソラで描けるようになった若者がいたので。何事も物は試しです。
「薄暮」平松禎史さんによるラフレイアウトの一部。手の表情が秀逸。指が美しい。楽器の演奏シーンはアニメーションで表現する至高の贅沢のひとつです。#薄暮 #ササユリカフェ
10月号ですが注文すればまだ入手できます。アニメーターを目指す若者でこれからパースや背景原図の勉強をしたい方に良い入門書かと思います。苦手だからキャラばかり練習していませんか?伸びる人はキャラと背景込みの絵を描く練習をしています。背景原図をさくっと描けたら必ず現場で尊敬されます。
明日11月2日は「なつぞら」のスピンオフドラマが夜7時からBSプレミアムで放映されます。当時、本編と並行して過密なスケジュールの中撮影されました。「なつぞら」の世界ともこれでお別れです。見ることのできる環境の方や録画可能な方、明日のご視聴まで、どうぞおつきあいよろしくお願いいたします。
観客としての視点は大切。絵が超絶素晴らしくても心に響かない場合もあれば、絵は多少見劣りしても脚本、構成、表現力で強い印象を心に刻んでいく作品もあります。絵の魅力、お話作りの力。どうしたら面白くなるかは絵描きでも考える習慣があって良いはず。やがて来るかもしれないチャンスのために。
動画の基礎も学ばないまま力まかせの全原画で原画を描いてしまう人々が増えています。でも最高峰のアニメーション作品はプロの原画と技術のあるプロの動画が力を合わせてこそ光り輝くもの。楽をした分のツケは取り返しすらきかない。現場が動画の仕事を軽んじていたら滅び廃れていく未来しか見えない。
ササユリカフェにいらしたお客様から「なつぞら」お疲れ様、半年間楽しかった、とねぎらいのお言葉をいただいています。直接言えないけれどそう思ってくださる方や会えない場所でそういう気持ちでいてくださる方、静かに応援してくださっていた皆様にも心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。
「なつぞら」最終話。協力してくださったたくさんの仲間にこの場をお借りして御礼申し上げます。空に昇られた方々から助けをいただいたような御縁を何度も感じる不思議なお仕事でした。素晴らしい作品を残してくださった先人の方々への尊敬を忘れないとお伝えしたい気持ちです。心からの感謝を込めて。
動物に出演してもらうための手続きに加えて衛生的な規制や制限もあり、牛さんの出演の度に担当の方々は大変だったとうかがっています。だからタイトルバックで野生動物と触れ合ったりする表現は危険度も含めて色々な意味でアニメーションだから出来た事、と磯プロデューサーに喜んでいただけました。
実写で酪農を扱うのは役所などに手続きや申請が都度必要で、牛や馬が頻繁に出るドラマの撮影スタッフはさぞかし大変だった事と思います。アニメで動物を描くことは実写よりは融通が効くとは言え、ソラの最終話は納品がギリギリになりもっと手を入れたい思いがありつつも時間切れ。これもお仕事の宿命。
「大草原のソラ」のキャラクターデザインは刈谷仁美さんです。名作劇場の特定のキャラに似せすぎず、しかし雰囲気は寄せてという難しいオーダーによく応えてくれたと思います。大人のソラとレイの体型が骨太でがっしりしているのも開拓者らしく純朴な味わいがあります。媚びない絵の魅力を感じます。
朝日が昇るのに、なぜ影が長くなるのか?山に囲まれた地域では山間の奧から太陽が昇って来るので、太陽が見える瞬間、日差しが麓まで差し込んでいき、影が長く伸びる現象が起きます。過去のアニメーションでも用いられている表現で、その後太陽は上昇していくので影は次第に短くなっていくそうです。
不眠不休が続いてしまうと常識でしょ、が出来ない時もあります。カット袋の中身バイクの荷台からばら撒くとか、電車の中に置き忘れるとか、絵を折って運んでしまうとか、実話です。水濡れの描き直しも程度の差はあれど何度か経験しました。アニメ会社の修羅場では普通の会社員の常識が通用しません。
劇中では触れられないので補足を。暴れ牛は迷い牛で、大地主のものでした。牛を連れ帰ったため牛泥棒の嫌疑がかけられますが、ソラ達が大地主のピンチを救ってなんとか和解。大地主から土地を借り受けソラ達一家は丘の上の土地に落ち着く、という裏設定がありました。キクさんは大地主の雇い人です。
アニメ制作をモチーフにドラマを作る企画は制作統括の磯智明プロデューサーが長年温めてきたもの。子どもの頃近所の仕上げの会社に見学に行った時にセルをいただいた思い出があるそうです。なつがもらったウサギのセルや千夏ちゃんがもらったソラと妹のセルの場面には特別な思い入れがあったのです。
なつぞら放映もあと少しで終わりますが最終話までおつきあいいただけたら嬉しいです。俳優さんが全て撮影アップしてもドラマ制作の現場ではまだまだ作業が残っていて実はスピンオフ作品にも違うアニメーションが少し出てきます。本編が終わっても、まだお楽しみが残っている事をお伝えしておきますね。
「大草原のソラ」のOPがフルバージョンで公式さまから公開いただきました。デジタルでチョチョっと直せるだろうと誤解されていますが、背景美術は「アナログで!」全カット新作されております。観る目のある方にしかわかりません。美術に合わせて色指定も変わるプロのこだわりの一端を感じてください。
明日はもう少し長いバージョンが流れます。才田俊次さんは暴れる牛と野犬。佐藤好春さんは牛をなだめるソラやビリビリのレイ。柴田由香さんは冒頭の馬車や雲雀。丹羽弘美さんはソラの手を振り払うレイ。石田祐康さんは明日までのお楽しみにとっておきましょう。明日の視聴もよろしくお願いいたします。
戸田恵子さんは現在では俳優としてご活躍ですが、わたし達おたく世代にとっては声優時代と、それから「伝説巨人イデオン」のエンディングテーマ曲の「コスモスに君と」の素晴らしい歌唱の記憶が強く残っています。今聴いても涙が出てきます。大草原の少女ソラの歌を歌っていただけるなんて夢のよう。