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医者ってほんとに言うこと聞かない人種で、ちょっと油断したらみんな独自に正しいと思うことをやりたがる。あっという間にバラバラになる。それを何とか繋ぎとめる唯一の拠り所がエビデンスなんです。
どこかからこっそり指示が出て、科学的に合理性がないのに足並みが揃う可能性など万に一つもない。
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ここ数年で本当に変わった。
Twitter、インスタ、YouTube、note。「コロナウイルス」と検索すると全て公式情報へのリンクが表示される。賛否あるかもしれないが、人命に関わる情報である以上こうした操作はある程度許容されると思う。
ネット情報の管理者がいかに慎重に真摯に医療と向き合ってきたか。
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デマを信じ込んでしまった人に対し、「懸命に説得すれば改心させられるはず、何とか救いたい」という強い善意で真正面からぶつかって行くと、かえって誤った信念が強化され、人間関係も悪化して取り返しのつかない事態になることがある。
「話せば分かる」と考える、正直で誠実な人が陥りがちなこと。
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「専門的知識はないが言葉は巧みな人」が専門家と論争すると、明らかに専門家が正しくても傍目から見ると「喧嘩両成敗」的に見える現象、本当に注意しなければと思う。
自分の主張を広めたい人にとっては、「喧嘩両成敗」でも十分目標が達成できてしまう。
見る人のリテラシーが試される。
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こんな言い方は良くないのかもしれないけど、情報リテラシーが高い人ほど割りを食う状況になっているのは何とも残念。
こういう時に備えて余分に買っておくべきだったなんていうのはさすがに酷な話。
ポイント2倍の日に買おうとか、花粉症の時期が近づいてから買おうとか、そういうもんです。
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日本人が発明した、世界的に広く使われる医療機器といえば、パルスオキシメータです。
現場では決して欠かせないこのデバイス、一体何がすごいのか、開発までどんな道のりがあったのかを書きました。
(新刊「すばらしい人体」の内容をダイヤモンドオンラインで紹介です)
diamond.jp/articles/-/280…
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この仕事をしていると、昨日まで全く元気にしていた人の命が突然に奪われてしまう、そんな例を何度も目にすることになる。
「生」というのは、一見何気なく享受しているようで、実は想像以上に脆く、はかない。
「今日を生き延びた」という事実は、一見当たり前のようで、実は想像以上に尊い。
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昔ことわざや慣用句が好きで色々覚えたけど、いまだに好きなのが「三十六計逃げるにしかず」。
兵法の36種もの優れた計略をもってしても「逃げること」に勝るものはない。「ヤバい時は逃げろ」「あれこれ粘らず一旦引いて形勢を立て直せ」というのは人生における重要な教えだと思う。
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「〇〇でがんが消えた」といった科学的根拠のない民間療法の広告や雑誌の切り抜きを持ってきて相談してくださる方は時々いますが、そんなふうに伝えていただけることを心からありがたく思います。
怪しげな情報を信じて病院に来る機会自体を失ってしまう方とは、会って話すことすら叶わないからです。
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医学の歴史において、期待された薬や技術が数々の研究を経て「益が少なかった、害の方が大きかった」と後から分かる、という事例が数え切れないほどあったことを知っている人なら、ある薬や技術に対する期待が大々的に報道される時は、かえって慎重に、むしろ懐疑的になるのではないかなと思います。
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他人にあまりイライラしない人は、性格的に寛容というより、いつも「背景に自分の知らない事情があるのかも知れない」という事実を謙虚に受け入れていると思うし、何より物事をよく知っていて情報収集力に長け、「知らない事情」そのものも少ない傾向はあるように思う。
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人は信じたいものを信じ、信じたくないものは信じない傾向がある。
どれほど正確で分かりやすい情報発信がなされても、「信じたくない人」は最初から受信していない。
ニュートラルに情報収集しているつもりで、自分の観念を補強する情報のみを集めている人は多い。
もちろん自分自身も注意している。
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病院の待合室でワイドショーを流すのはできればやめてほしいと思う。
科学的根拠のない健康法とか病気の民間療法などがまことしやかに紹介され、ただでさえ病気でストレスを抱えた患者さんが不安を煽られたり、受けている治療に不信感を持ったりすることがある。
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そういえば学生時代、何となく世の中に対して斜に構えていた時期があり、「常に通説の逆張りをする識者」に強い信頼を置いていた。権威に媚びず忖度なしに真理を語る(ように見える)姿に心を熱くしたのだと思う。
今となっては恥ずかしいが、そういう経験は早めにやっておく方がいいとも思う。
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かぜの原因となるウイルスは200種類以上あるとされています。
しかし「何のウイルスが原因の風邪か」を知る意味はありません。いずれにしても自然に治る病気で、特別な治療法があるわけでもないからです。
何となく「煮え切らない」と感じる方もいるかもしれませんが…。 twitter.com/ped_allergy/st…
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怖いのは「無知」ではない。「無知であることに気付いていないこと」である。
無知の知。これがないと学びの動機すら生まれない。
これが最も恐ろしい。
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自分は「知らなくて当然」の地雷を踏んだ後輩を怒るようなことは決してしたくはないので、この種のローカルルールには努めて自覚的でありたいと思っています。
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誤解を招くタイトルだけを見てニュースの内容を誤認した人に、正確な情報を懸命に伝えても全く理解されないことがある。
「本文を読まなかったから誤認した」のではなく、「短く簡潔でないと分からない」のだ。
悪意のあるタイトルで誤読を狙うと、本当に取り返しのつかないことになる。
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この「任せろ、俺が悪者を叩きのめしてやるから」という姿勢は確かに心強く、支持も得やすい。時に市民の利益にもなる。
一方で世の中には「余計なお世話」という言葉もあって、特にセンシティブな専門領域に不十分な知識で乗り込んで刀をブンブン振り回すと、時に取り返しのつかないことになる。
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大人になってからできた友達と長く親しくできる気がするのは、おそらくお互いのことを「知りすぎない」からではないかと思う。
昔は「お互いをよく知っていること」が間違いなく親密さの象徴に思えたけど、実は大部分の人とは「知りすぎない方が良好な関係を維持できる」のだと思う。
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コロナは本当に大変だけど、現場で実感することは、コロナ以外の病気でも本当にたくさんの方々が辛い思いをし、家族との関係に悩んだり、修復したり、過去を悔やんだり、前を向いたり、色んな感情の中で人生を歩んでいて、私たち医療者もまたそれに伴走しているということです。以前と同じように。
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「自分だけが真実を知っている」と思った時は、まず自分の知識不足や無知の可能性について検討を始めた方がよくて、これが分かっていると、少なくとも「自分だけが真実を知っている」と口に出して恥をかかずには済むと思う。
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Eテレの子供向け番組が秀逸だと思うのが、「これを見ればこんなことができるようになります!」的な「分かりやすくて即時的な教育効果」を強調することなく、見ている子供の頭の中で「文字への興味」とか「科学への関心」がじんわり高まっていく仕組みになっていること。
とても丁寧な仕事だと思う。
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私の認識がずれているのか。違うものを見ているのでしょうか。さすがに参りました。
偏った報道に現場がどれほど傷つけられているかと思うのですが…。
連載中のメディアというのは、ご存知の通りオールドというかoldest mediaと言ってもいいですが、中の人は何の悪気も嫌味もないんだなと思いました。
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ヤフオクで大量のイソジン関連商品が高額で取引されています。
不確かな情報に飛びつき、大切なお金を消費してしまう。本当に残念なことです。
そのお金を自分の好きなもの、心を豊かにするものに使ってほしいです。