秋の中東の市場には、収穫されたばかりのイチジクが並ぶ。柔らかく鮮やかな色彩で明るくなる。冬に備えて乾燥させればさらに柔らかな自然色になる。硬さはいろいろで、円形にパッケージされるとアート作品のようになる。トルコ東南部マルディン、イラン北西部タブリーズ、シリア首都ダマスカスにて。
京都の高瀬川沿いに5月、レバノン料理店がオープンしていた。「汽」といい、ファラーフェルやシャワルマなどがある。オーガニックの野菜やハーブをふんだんに使っているのが売りのようだ。ヴィーガニズムとも親和性が高いスタイルの新アラブ料理。公式サイトにメニューあり。 gojyorakuen.com/menu/ twitter.com/nano_723/statu…
アラブ圏でシャワルマ、トルコでドネルケバブと呼ばれる回転する肉塊をそぎ切ってパンなどにはさむ軽食。シリア圏では薄焼きパンに巻いて、それを鉄板で焼いて完成というスタイルもある。パンのパリパリ感が独特。同じ起源でも、地域で独自の変化を遂げているので、街歩きの楽しみのひとつになる。
中東でクルミは、とても存在感がある。シリア・ダマスカスの市場にところ狭しと並ぶ実を見れば明らか。トルコ・アナトリア高原の街カマンに立つクルミの像をみても明らかだ。デーツなど他の食材と組み合わせれば、不思議な化学変化を起こして、相手の良さを引き立てる。脇役の役割をしっかり果たす。
チュニジア・チュニス旧市街にあるカフェの、赤と緑を基調にした独特のインテリア。北アフリカ先住民族のベルベル人の伝統らしい。他のアラブ諸国では見かけない雰囲気。靴を脱いでじゅうたん敷きの床に座り、日本のお膳のような小テーブルにミントティーやコーヒーのカップなどをのせる。
真っ赤な生デーツは、シャリシャリ感がありジューシー。それを乾燥させていくと干柿のようなもっちりとした食感になり、さらにカラカラにすると甘い干し魚のような凝縮された味わい。保存食ナツメヤシの実のめまぐるしい変化は、乾いた空気によって作られる。中東の人々の生活の知恵。
柿や栗が店頭に並んで、秋の空気を漂わせるのは日本だけではない。柿は「kaki」と呼ばれるところもある。エジプトなどの中東でも結構見かける風景。少し冷たくなった風に乗って、焼き芋の香ばしい匂いが運ばれてくる。カイロで季節の移り変わりを感じさせる風景。
冬が近づいて、朝夕の冷え込みに備えるかのように胸毛を充実させていくエジプト生まれの元捨て猫、ヨシミ。日本での暮らしにも適応していく生存本能はさすが。岩手で2回目の越冬。
秋に収穫された果物やナッツが、中東の乾燥した空気にさらされて凝縮されたドライフルーツ・ナッツに進化していく。長く保存するための生活の知恵とはいえ、鮮やかな色彩や香りに旬の食べ物のようなインパクトを感じる。モロッコ、トルコ、イランにて。
パセリを中心に、トマト、玉ねぎなどをみじん切りにし、ひきわり小麦ブルグルをあえてレモンジュースとオリーブオイルをたっぷりかけた「タッブーレ・サラダ」。シリアの代表的サラダ。イタリアンパセリではなく普通のパセリでも美味しい。日本でも手軽に楽しめる中東の味。時々無性に食べたくなる。
中東の食は、カリッとしたクリスピーな食感を大事にする。炊き込みご飯に、ピーナッツやカシューナッツを入れたり、クリームコロネにクラッシュ・ピスタチオをまぶしたり。サラダに揚げた薄型パンをふりかけたり。味が深みを増すので一石二鳥とも言えそう。シリア、ヨルダン、イランにて。
トルコ・イスタンブールの旧市街の市場周辺。「ナルニア国物語」に出てきた伝統菓子「ロクム」(ターキッシュ・ディライト)や、配合の妙がポイントのスパイス、花や果実もふんだんに使うオリジナルハーブティー。味だけでなく、色彩に工夫が凝らされている。異国の街の店を渡り歩くのは、やはり楽しい。
中東、特にシリア地方のご飯料理「マクルーベ」(マクルーバ)。カルディには「マクルーベの素」が売られていて、これを使って初めてアラブ料理作りにトライする人が増えている。雑誌「日経トレンディ」に、「秋冬シーズンにヒットする商品」と取り上げられた。日本の食の風景は大きく変わりつつある。 twitter.com/jinder_jindest…
日本ではマグロのテールステーキぐらいでしか見かけない魚の輪切り。中東では、割と普通に見かける。分厚い肉を焼く感覚に近いのだろうか。市場でも、サーモンや大型魚は輪切りタイプが多いかも知れない。トルコでは、小さいサバのような青魚を網焼きにして出されたこともあった。みた目にも面白い。
どろりとした独特なトルココーヒーを入れるための屋台は金属製。専門店では、コーヒーのカップ以外の食器類にも金属製が使われることがある。中東の旧市街に行くと、金属細工の職人さんが槌音を響かせている風景によくでくわす。トルココーヒーは、そうした中東の手仕事も組み合わされた文化遺産だ。
秋のシリア・ダマスカスの市場。山の恵みのクルミ、オリーブの実、色鮮やかな野菜ピクルスが豪快に盛られて売られていた。秋が、乾燥による栄養や旨味の凝縮を存分に楽しめる季節であることは、中東も日本も変わりがない。
コメダ珈琲の名物シロノワールに新メニュー「 #ぜいたくピスタチオ 」登場。甘めのピスタチオクリームとクラッシュ・ピスタチオがかかっている。中東では、アイスクリームとピスタチオの組み合わせは鉄板。最近はコンビニアイスでも見かけるし、日本にもそんな時代が来たということなのだろうか。
ピスタチオの本場イランでは、とれたばかりのものを生で食べることも多い。中部ラフサンジャンなどの産地では収穫期の9月ごろ、赤紫色の実が道路脇で袋に入って大量に売られていたりする。乾燥ものの香ばしさとは違うまろやかなナッツ感。食感は柔らかく、まるで別の食べ物のよう。
東京・新大久保のハラール系焼肉店「アリババ」(パキスタン系)の店先にトルコ系のファストフード店が。薄焼きピザ「ラフマジュン」や、松屋銀座への新規出店が話題の中東菓子バクラヴァもある。甘くないヨーグルトドリンク「アイラン」もたっぷり入って200円、チャイは100円。手軽にトルコを楽しめる。
東京・新大久保「イスラム横丁」に少し前にオープンしたパキスタン系食材店「ナショナルマート」。ウリはフードコート。ハリーム、サモサ、焼き鳥まである。パキスタン菓子もよりどりみどりで、日本の既存のスイーツに飽き足らない人におすすめかも。店内は近隣の食材店よりかなり広々としていて整然。
トルコのドーナツ形のパンというと、シミットという歯ごたえがあるやつが有名。カフェにいると売り子が、かけ声とともにかついできたりする。もっとフンワリとしたドーナツ形の「アチュマ」というパンもあることを知る。埼玉・狭山なかあるキプロス島出身者が営むハーセルフーズ社製。発送もある。
東京・小岩駅前にイラン料理デリカテッセン「ヴィーナスデリ」がある。イランス式サンデヴィッチ(コッペパンサンド)が本格的っぽい。イランで「トルコのケバブ」と呼ばれるドネルケバブも、松屋銀座に新規出店で今話題の中東菓子バクラヴァもある様子。下町の雰囲気に、イラン軽食店はとても合う。 twitter.com/YamayaT/status…
イラン特産の高級食材というと、キャビアとサフラン。サフランを入れたアイスクリーム(バスタニ)というのもあって、これまたイラン特産のピスタチオをふりかければ、彩りも美しい。日本だと、横浜・生麦のイラン料理店「カスピアン」などにある。ちなみに店名の由来のカスピ海の南岸は、イラン領。
東京・浜松町のアラブ料理・菓子テイクアウト店「ビブロス」。店には行けていないけど、#文学フリマ東京 のため上京した時、差し入れをもらって初めてお菓子を食べた。レバノン出身の店主ナジーフさんは、東京・中井のアラブ料理店「シュクラン中井」のシェフだった人。軽食も含めて確かな味との評判。
日本の食卓に定着しているポテトサラダ。大正時代に帝国ホテルのシェフが考案した説があるという。とはいえ、そもそもは帝政ロシア時代の19世紀、モスクワのシェフが生み出した「オリビエサラダ」が起源ともいわれる。西アジアのイランにもオリビエサラダがある。伝播ルートを究明できたら面白そう。