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そして注意すべきは
やりたいことをやっているように見える状態が、実は受動的に「ハマるコンテンツ」を消化しているだけということが、現代社会では簡単に起きることです
これは「自律的にやりたいことをする」状態とは、似て非なるもので、どちらかというと依存症的な構造が発生している状態です
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今は、何をどうすれば人間の「報酬系」をハイジャックできて「ハマるコンテンツ」にすることが出来るのかがノウハウとして存在している時代です
事業者は競い合って、消費者にハマってもらうための努力をしています
そういうコンテンツはとても魅力的なエンタメなので、それがダメとは思いません
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けれども
自律的、主体的に「じぶんがやりたいことだから」と感じて、「計画的に楽しみながら取り組んでいる」という状態が全くない中で、「ハマるコンテンツ」だけを消費している状態は、とても危うい状態のように私は思っています
その体験は、「やりたいことをする」能力を育まないからです
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人の報酬系をハイジャックする「コンテンツ作り」ノウハウについては、この本がとてもわかりやすくまとめてくれています
賢い消費者になるために、これからの社会を生きていく子どもたちにはぜひ知っておいて欲しい知識のように私は思っています
amzn.to/336EGjn
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ドーパミンニューロンを中心とする、「報酬系回路」が人の人生にいかに大きな影響を与えているのか、という根本問題については、こちらの本がおすすめです。
amzn.to/3vAFNUJ
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先日、不登校児童の保護者さんが
「対応してくれた先生が不登校対応のプロの方で。親の目からもうまいなと。息子にもいろいろと関わろうとしてくれたんです。けれどうちの息子はそのプロっぽい関わり方が嫌だったようで…」という話を教えてくれました
残念ながら、それ「プロの対応」じゃないです…
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支援者の端くれで、支援者養成に長らく関わっている立場から言うと(自戒の念も強くこめます笑)
相手に合わせて方法を変えられず、いつも同じ一本調子の対応ならそれは「専門性が低い」と言わざるをえません
そして対応を変える根拠が、アセスメント(個別理解)の結果です
#よい支援者とは
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「自律的にやりたいことをする」って
究極は、「欲望や欲求」を感じながら、「現実的な調整」して動くことなので
まずはちっちゃなことからでも、この条件を満たす状況を見つけることがいいみたいです
これ食べたいから、作ろう
こんな服ほしいな、探そう
みたいなのからでいいんです
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ポイントは
義務感やさせられ感ではなく、素直な欲求に基づいているかどうかです
そして出来れば「ハマるコンテンツの消化」だけではない
自分の意志による選択と、手に入れるまでのいくばくかの負荷がかかる状況だとなおよいかと思います
スポーツの筋トレみたいな感じかもしれません
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繰り返しますが「やりたいことをする」は能力なんです。体験を繰り返すことで身につくスキルなんです。
だから支援者や保護者は
その人が「即時的に手に入るわけではないものに強い欲求を感じながら、現実検討して動いている」という時間が存在するかどうかを重視する必要があるように思います
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粘り強く頑張れる人、と言う時に忘れてはいけないのが環境との相互作用のように思います
粘り強い人とそうでない人がいるのではなく、どんな人にも「頑張れる環境」と「頑張れない環境」があるという視点です
そして一般に粘り強く頑張れる人と評価される人は「多くの環境」でそうであるということ
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覚えていてね
人がひとり、それなりに満足して生きていくのに必要な「社会」は、実はそんなに広くないし多くもないんだ
だからどこに行ってもやっていける人になる必要はないよ
必要なのは、あなたを大切にしてくれる人達を、大切に出来る人になることだけだよ
#凸凹子どもたちへのメッセージ
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「内側の人」「外側の人」のテーマ
私はこれ、いわゆる「自他境界があいまい」という表現だと表現しきれてない気がして
自分拡張と呼んでます
棒を持っってつんつんすると、その棒が自分の体の一部みたいな感覚になるでしょ
それが人間相手に起きてる感じで理解しています
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「その人に合ったやりた方が大切です」
とお話した時によくある質問、感想に
「どうやったらいいのか難しい」があり
私はいつも
「とりあえず、邪魔するなですね」
と一言でお答えしてます
当面の問題は「正しいやり方を決めつける」「本人の工夫を否定する」ことであって指導力不足じゃないんです
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「一人ひとり違うのだから、個々の特性に合わせて支援すべき」
「障害名ではなく、人として理解し向き合うべき」
これをする為には相当な専門知が必要なことは、何度でも強調したいです
専門知識は「先入観」「決めつけ」になるから、「ありのまま」理解すればよいという考え方は相当に危険なのです
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ここで大切なのは、人は「視点」なしに何かを理解することなんて出来ないという明確な事実です
残念ながら「ありのまま」見ることなんて出来ないんです
だから今自分が「どんな視点で」考えているのかを自覚する必要があるし
視点が偏らないために「妥当な多くの視点」を学ぶ必要があるのです
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「診断名でなく人として向き合う」
「ありのままを理解する」
こういった見栄えの良い発言が、支援者、教育者の不勉強を「正当化」するための言い訳でしかない場合が、残念ながら多いことを危惧しています
当事者、保護者さまにおかれましてはそのことを念頭にいれて支援者を選んで頂ければ幸いです
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きっともう誰かが仰ってると思うのですが、子どもと関わる仕事をする人は
「こどもになめられる」ことを心配するより、「子どもだと思ってなめてかかって痛い目を見る」ことを心配するべきですよねえ
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学業不振が理由の自死が多いことは、私も講演会等でよくお話します
なぜか「学習支援」って教員以外の対人支援職の中で「一段下の本質的でない支援」と思われがちなんですが、命、健康、そして人生の選択肢にまで関わるとっても大事な支援領域なんです… twitter.com/maki_hayachi/s…
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子どもたちの「学び・学業」と「自死」の問題は、とっても重要なのでデータ引用しながら、少し解説したいと思います
リンク先は令和2年度の厚労省発表資料です
最初のポイントは10代の子どもたちの自死理由、大項目第一位が「学校問題」で、家庭や病気より多いことです
mhlw.go.jp/content/R2kaku…
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そもそも、子どもたちの学びを「管理」する発想から卒業して頂きたい
デジタルツールは、子どもたちが自分のペースで、自分に合った方法で、物理的な場所に縛られず
自律的、主体的に学ぶ力を身につけることが出来る環境整備のために使ってください twitter.com/nikkei_daigaku…
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ちょうど2年前に書いた記事ですが、最近のtwitter見ているとこの記事で書いた心配が実現化してしまっている印象があります
断言しますが「認知機能トレーニング」が必要な理由を「認知の歪み」という言葉で説明する人は「認知」について何も分かっていません
inthevillege.com/ninchi-1/
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最近、よくあるこの「ずるい」という感覚についてよく考えます
「ずるい」って、他者との比較の視点でしかなくて、「何のために」という目的意識の視点ではないですよね
結局「理不尽に耐えすぎた人」ほど
ずるいと感じやすいのかなあなんて思います twitter.com/Nanaio627/stat…
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洒落にならない現実が来てしまっているようなので、論理武装に微力ながら援軍させて頂きますね
学校における認知機能トレーニングの問題点と克服のために必要であろう論点は以下の論文によくまとまっているので、こちらをベースにご説明します
以下、ここから連ツイです
ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P… twitter.com/hiyokoharumaki…
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なので、「コグトレ」を実施されて、モヤモヤしている保護者のみなさま
ぜひ、それを課題として出す人に
「このプリントはどんな認知機能を訓練する内容のもので、その認知機能は子どものどんな課題にどのように結びついているのですか?」と質問するようにしてください