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知ってるか…ジョニィ。北海道の秋にはな、金木犀もないし彼岸花もないんだ。あいつらは寒すぎて自生できないのさ。オレたちは金木犀の香りも知らないし、彼岸花の鮮やかさだって知らない。枯れ落ちていくシラカバとイタドリの風景と、一雨ごとに寒さが濃くなることしか知らない。静かな秋さ…。
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この北の地では寒さに適応できないやつは死ぬしかない。幸い人は寒さに抗い、暖をとる技術を生み出した。だからオレたちは「ここ」で「生きている」。だが、色の無い中にも、秋の色っていうのは意外に多い。北方だからこそあるものもある。オレたちは…「雪の匂い」を知っている。
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暦ってもんを誰が決めたかはしらねェ。オレたちは運動会は5~6月にする。10月には冬タイヤにする。そして…真冬は暖房をガンガン焚いた部屋で半袖でアイスを食う…。一歩外に出りゃ-10℃なのにな…。ジョニィ、LESSON1。『妙な期待はするな』
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本当に北国民の「暦」との感覚のズレは絶望的だ。たとえば卒業式や入学式の「桜」だ。「なんで3月4月に桜咲いてるんだろう。桜は5月に咲くものだろ…。そうか!これは『日本人が門出の場でこうであってほしい』と願う心象的風景なんだな!武士道!九段!」と本気で思っていたくらいなのだ。
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そんな北の秋でも、秋鮭やナナカマドの実は煌めくような赤色を湛えている。森に行けばラクヨウキノコやボリボリが生えるし、ヤマブドウやコクワだってなる。例によって寒いのでアケビはないが…。雪虫も煩わしいし。北の秋は静かで短いが、しっかりと秋なのだ。ただ…本当に短いというだけで…。
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根雪が降り積もる12月頃、真っ白に覆われた北の大地に、赤い煌々とした実をつけたままのナナカマドに雪が積もっている風景は本当に美しい。この気候は生物を簡単には寄せ付けない。毎日毎日寒いし、雪は邪魔で苦労しかない。それなのに、たまに見える美しさと情緒深さで報われた気がしてしまう。謎だ。
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ミーム汚染とは恐ろしいもので、私はすでに「ある男の娘」という文を見れば「あるおとこのこ」と読み下してしまうし、「イヤー!!!」はニンジャスレイヤーだし、「お兄さん許して!」は甲高い中年男性の声で再生されてしまう身体になっている。
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すぎやまこういち氏、森繁久彌氏、藤村俊二氏、笹野高史氏、桂歌丸氏あたりは、子どもの頃に見た初期状態が「おじいさん」だったおかげで、「おじいさんの姿をした不老不死の存在」だと思っている節があった。
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エキノコックス症は北海道土着の風土病(寄生虫病)だと思われがちだけど、もともとは北海道にもなかったんです。明治以降、散発的に千島や樺太方面からエキノコックスに感染していたキツネが毛皮をとったりする目的で人為的に移入されて広がったんです。そう…知らないうちに、全道へ…。
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私が子どもの頃は北海道でエキノコックス教育や血液検査がされるようになっていた。中学の頃、「…待てや。だったらアイヌの人ってどうやって生きてたのよ。沢水飲んだり生の山菜食べたら感染して死ぬやん」と思ったが明治以前はエキノコックスそのものがいなかったんだからそりゃあ発生しないわけだ。
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私は仕事柄趣味柄、山の中によく入るうえ、街中でも地面や植物によく触れるので、今でも2~3年に1回はエキノコックスの血液検査してますね。北海道の自治体はたいてい自治体主催の健康診断でエキノコックス検査してくれるし、無料だったり格安だったりもします。
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根絶するのはかなり難しい。北海道では1980年代以降の爆発的な拡大以降、「沢の水飲むな」「キツネに触れるな」「生で山菜食べるな」「地べたに近いもの触ったらとにかく手を洗え」「不安なら保健所か自治体でタダ/格安で血液検査するぞ。小学生は一回学校で検査するぞ」などの対策が取られて来た。