トラウマは単に心の傷といったものでなく、全身に疾病を及ぼす、複雑な病気です。 自律神経系の調整不全から、過覚醒や低覚醒、過敏さ、鈍感さ、心身症も酷く、疲労や痛みが蓄積されて、自己免疫力も相当ダウンする。 身体症状から始まり、対人関係に問題が現れ、性格や注意・集中など影響が出る。
過度の疲労状態にある人は、日々生きることで精一杯になり、あらゆる欲求が失せてしまうことがある。 恋愛や自分のしたいことや欲しいものなどを欲する気持ちがなくなり、なんのために生きているのかがわからない状態になる。
繊細すぎる人は、他者と接する際には、失敗を避けるために、シチュエーションを予測して自分の言動をできる限りコントロールしようとする傾向がある。 しかし、他者の言動が、自分の予測に反して思わぬ方向にいくと、臨機応変に対応しないといけないために、心身ともに過度の疲労を感じることになる。
繊細すぎる人は、他人から圧力を受けたときに、通常よりも強い身体反応が出る。 嫌なことに直面したときに、我慢をしてしまうことも多く、他人に気を使いながら、慎重に振舞おうとする。 人間関係が壊れてしまうことを恐れることの方を気にするために、自分の気持ちを犠牲にしてしまうことがある。
常に危機感を感じて生きている人は、不安に怯えて、他者のことも信用できず、自分を脅かしてくるものとしてとらえることがある。 慢性的な心身の緊張から不調になるために、頭の中からドーパミンが出るような何かに依存したり、不調を忘れさせてくれるような状況を作り出すことで生き延びようとする。
複雑なトラウマを持つ人は、小さな刺激でも、扁桃体が強く反応し、心臓がバクバクすることが多い。 強い刺激や複雑な場面では、感覚過負荷になり、体のリズムが崩れてイライラしたり、フリーズして心の機能が使えないことがある。 回復には、嫌悪刺激を避けつつも、外界の刺激との調和が必要である。
幼少期の頃から、親の顔色を伺い、恐れを抱きながら過ごしてきた人は、大人になってからも自分らしさを大切にすることが難しいと感じて、自己を肯定的に見れないことが多い。 自分が好きなことや目標などが分からず、楽しみを見出すことが苦手になり、自己表現をすることも苦手に感じる。
トラウマがある人は、自律神経系の調整が難しくなる。 トラウマの影響から、人の気配や音、振動、恐怖や怒りの感情、トラウマ的な記憶、空腹や疲労、痛みなどに反応して、体に症状が出る。 主な症状は、めまい、立ちくらみ、動悸、多汗、便秘、下痢、疼痛、排尿障害、瞳孔の縮小・拡大など現れる。
複雑なトラウマがある人は、とても危険を感じやすい状態にあり、耳を澄まして警戒するため、聴覚過敏になることが多い。 一方で、外の気配に対して過敏になり、耳を澄まして、情報処理が過剰になる反面、人の話がうまく聴き取れなくなる人もいて、コミュニケーションの取り方が不器用になる。
発達早期にトラウマを負った人は、痛みが体に刻まれてしまい、危険を察知する感覚が他の人よりも鋭くて、敏感な人になることが多い。 幼い頃から、自己主張や感情を出すこと、戦うことがかえって脅かされることになる場合には、我慢したり、目立たないようにすることが当たり前になり、性格を形作る。
複雑なトラウマがある人は、痛みや不快感を感じやすく、感情の浮き沈みが激しくなることが多い。 生き残る術として、周囲を観察しながら、気を張って自分を守る。 再び痛い思いをしたくないため、過去の危険だった出来事をしっかり記憶していき、記憶力が高く、悲観的な記憶が保持されやすい。
複雑なトラウマを経験している人は、強い圧力を感じており、足元が不安定な人生になる。 例えば、孤独や寒さ、暗闇、低気圧、飢え、集団などの圧力に対して、解離や離人、狂気、パニック、過呼吸、頭痛、めまい、吐き気、腹痛など原因不明の身体症状が襲う。 彼らは、目に見えない力に圧倒される。
複雑なトラウマのある人は、目的や役割(仕事や子育て、学業)があるときは、過覚醒で活発な思考や行動が取れる。 しかし、目的が無くなると、過覚醒のスイッチがOFFになり、低覚醒モードに移る。 体を休ませるために、エネルギーが切れたかのような状態になり、半分眠ったような状態になる。
複雑なトラウマがある人は、子どもの頃から、親の気配、足音、話声に耳を澄ませて、警戒心が過剰になり、過覚醒の状態の生活が多くなる。 トラウマが慢性化していくと、活発な活動と思考する過覚醒と自分の身体を自動的に休ませる低覚醒の間を行き来するようになり、中間のほど良い状態に戻れません。
現実にいることが苦痛すぎる人は、その現実に留まると、様々な心身症状が現れるために、自分の空想に耽ったり、趣味に没頭したりして自分を守る。 子供の頃から、家庭や学校で脅かされるたびに、人間へのアレルギー反応が強まり、社会の外で生きたり、家の中に引きこもるようになり、夢を諦めていく。
小さい頃から、トラウマがある子は、自然に生存戦略が身について、親の理想に応えようと一生懸命に頑張ることが多い。 しかし、どこかで限界がくると、緊張の糸が切れてしまって、体調が悪くなり、不適切な行動をとってしまうことがある。 その後も、うまくやれない自分を責めて、生きづらくなる。
複雑なトラウマがある人は、脅威に対して過覚醒を起こし、考え出したら止まらなくなり、一日中過去のことを思い出して頭から離れない状態になることも多い。 そして、エネルギーが切れてしまって、気分が落ち込み、無気力になり、全てのことがどうでもよくなる悪循環を繰り返す。
怒鳴られたり、叩かれたりして、怖い親のもとで育った子は、その恐怖をなんとか麻痺させていくうちに自分らしさが失われて、酷い解離症状が出る場合があります。 そして。他人の顔色を過剰に気にするようになり、自分の本音や本当の感情を出せず、ネガティブな感情を抱えていく人生になることが多い。
叩いたり、怒鳴ったり、いきなり何をしてくるのか分からない親の元で育った子は、気を抜けず、危険から身を守る人生になり、自分ではどうすることもできない親のことで思い悩み、虚しくなる。 自分の家族とは違う仲の良い家族に憧れ、家族に幻想を抱く一方で、家族について批判的に考える場合もある。
繊細な人は、敏感に体が反応するため、生理的に受け付けない人と一緒に過ごさなくてはならない状況になると、拒否反応が自然と出てくることがある。 我慢することができず、情けなさに涙が出て、頭痛や体調不良がでてきて、ひたすらに時間が過ぎて解放されることを祈りながら、その場を耐え忍ぶ。
人と関わりたくない人は、人と関わることで、体が過緊張状態になり、頭のセンサーが働いて、その人は何を求めているかを考えて、その人に合わせようとしてしまう。 人と関わるたびに、考えすぎたり、合わせようとしたりして、疲れてしまうから、人と関わりたくなくなり、一線を引きたくなる。
人と関わりたくない人は、いろいろなパターンがありますが、心身の状態が悪く、人と会って話すと極度に疲労を感じることが多い。 人と楽しい時間を過ごさなければと考えてストレスになり、自分自身のことを維持するだけで精一杯なため、気を使って会話するより、一人で家で過ごした方が楽に感じる。
人と関わり疲れてしまった人は、無理に相手に合わせようと思わず、一人で有意義な時間を過ごしましょう。 相手に合わせようとしすぎると、体がもたないので、嫌われてもいいやと思うことが大切です。 自分が疲れないように、人と関わる場合は、どの程度の距離感を保てばいいかを考えましょう。
毒親に育てられた子どもは、家の中で親と関わり続けないといけないので、丁寧に関わるようになり、いい子(良い子)症候群になることが多い。 小さいうちは、いい子でいることが自分の身を最大限に守る方法でしたが、大人になればなるほど、自分の感情が出し方が分からないままで生きづらくなります。
複雑なトラウマを負うと、痛みが体に刻まれてしまうために、軟弱になり、石橋を叩いて渡るような人生になる人もいて、他者の干渉や外界のストレスが苦手です。 脅かされることが続くと、性格は慎重になり、引っ込み思案で、大人しくて、外に出る勇気がなかなか持てず、生きる力が奪われていく。