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伝統的にドイツで好まれる豚肉。ドイツ行ったらソーセージやハムベーコンを見ない日がない。
そんな豚だけど、第一次世界大戦中、大変な受難に晒された事がある。それが『豚殺し』ね。
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シャーロットはロンドンの娼婦達をかき集めて非合法な娼館を組織し、オケイリーはコーヒーハウスに陣取って好き物の旦那衆を斡旋する女衒となりつつ、彼自身のビジネスである詐欺もやる。
2人は骨の髄まで悪党だった。そして、少しでも儲けられそうな事については誰より鼻が効くようになる。
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ワースはイギリスの上流階級に参加し、華美な生活を送った。彼の犯罪指揮ぶりは円熟の極みに達し、名前も顔も明かさず、言葉一つ発する事なく数多の犯罪を指揮する。犯罪ネットワークの中核、暗黒街の犯罪王と彼はなった。スコットランドヤードは何かがいる事は分かっていても、ワースの影も踏めない。
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つまり経年劣化が激しく、密集していて、おまけに管理者不在で燃えても誰も消火する義務を持たない建物だらけにエジンバラ中央部はなる。
「これは……。まずくないか?」
実際、ボヤ騒ぎは日常で、消火は民間の有志頼みだった。いつか大変な事になるかもしれない……
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エジンバラは四日間炎上した。後にも先にもない大火災でエジンバラ大火災と呼ばれる歴史的な火災は歴史的な遺跡や史跡、政府施設、その他民間の長屋を焼き尽くす。損害は膨大なものとなった。
「消防ポンプ隊は何をしていたんだ!?」
ブレイドウッド達は批判に晒された。
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もちろん爆発事故も起きた。死者も出る。
そんな危険な現場で22歳のモードもまた働く。彼女は周囲より僅かに歳上で、30人の女の子を率いる職長だった。真面目な仕事ぶりは上からも下からも評価されており、大変人気のあるスタッフで、責任感が強い模範的な労働者だった。
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陸戦でも、直接敵と対峙しない砲兵が差別的な感情を持ちがちだった一方、実際に銃火を交わす歩兵隊では日米両軍ともに敵国の国民の勇敢さに感動して差別心を捨てるケースは多い。
勇者に敬意を払うのは万国共通ね。
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さりとて船が接岸出来るくらい十分な深さを持つ優良な港はハリネズミのように要塞化されており、これを力攻めにするのはかなりの困難が予想される。そこで出たアイデアこそが、移動する港だった。
「防波堤、桟橋、道路を分割し、曳航して現地で合体させて臨時の港とする」
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しかし廃止されても男達が傭兵に志願したがる構造そのものはそのままだった。代わり映えのしない山と山羊、長閑ではあるけど退屈な村。仕事も特にない。そして家庭は貧しい。
結局、彼らは傭兵をやることにした。他の生き方を彼らは知らなかった。
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1 何も推測するな
2 直感に逆らうな
3 全員が敵の支配下にある可能性がある
4 振り返るな。完全に一人になれることは決してない
5 流れに従い、紛れ込め
6 行動パターンを変え、目立たずにいろ
7 敵を自己満足で安心させろ
8 敵に嫌がらせをするな
9 行動の時間と場所を選べ
10 選択は保留しておけ
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悪人同士、互いの才覚に惹かれ合ったオケリーとシャーロットはビジネスパートナー兼愛人関係となる。
2人はツキも良かった。国王ジョージ2世が崩御し、比較的軽微な罪を犯した犯罪者に恩赦が降りる。
釈放されると、2人は忽ち共同でビジネスを始めた。
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執念の名探偵ピンカートンが大西洋を渡ってワースの店に入ってきた。ワースは生まれて初めて恐怖する。
「絶対偶然じゃない……! 奴は俺様を地の果てまで追い詰める気だ! ねぐらを知られた以上、ここにはいられない!」
ワースは店を放棄し、イギリスに逃げる。ピンカートンは地団駄踏んだ。
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(全能の神に身を委ねます)
二人が言うべき事を言った後、村人達は静まり、やがて声が挙がる。
「牧師様に頼まれちゃ、断れねぇな」
一人がそう言うと、たちまち続いた。
「ペストは村の責任だ。シェフィールドの連中や周りの村は関係ねぇ。ここで始末をつけようぜ」
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一方、生涯を通じて炎と戦い続けたブレイドウッドの葬儀が火災後執り行われ、ロンドン中のありとあらゆる人達が葬列に並んだ。その長さは2.4キロに達する。
火災の中心にいたにも関わらず、その遺体は瓦礫で守られ、炎に晒される事はなく、安らかな表情をたたえていた。
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結局、消火にかかれたのはその1時間後で、既に建物全体が激しく炎上し、風に乗った炎があちこちに飛び火した。
「火災は初期消火に失敗した時点で敗北は確定……。あとはどれだけ被害を減らせるかだ!」
ブレイドウッド達は燃え広がる炎に後退を重ねつつ、消火を繰り返す。民間保険会社も加勢に来た
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過密状態にあるロンドンでは墓の敷地も削らねばならなかった。さもなくば、生者が住む場所は更に限られる事になる。腐敗した遺体は病原菌にもなるし、『死後の医療』として焼いてしまう方がいいとトンプソンは考える。
しかしこうした合理的な考えはキリスト教と真っ向からぶつかった。
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事の発端は1942年に実行され、完敗に終わったディエップ強襲だった。不十分な体制の中、軍の体面のために行われたこの作戦でドイツ軍に上陸側の英仏軍は射すくめられる。イギリス軍は上陸作戦の困難さを思い知った。
「たとえ部隊を上陸させても、後続が詰まれば先鋒は孤立する。各個撃破だ」
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以前、商人の中でも料理人の立場は相当に高く、家令や執事はおろか、主人その人ですら逆らえなかったと述べた事があるけど、庶民からのたたき上げでも、貴族や王侯のお抱えになれば、凄まじい栄光を楽しめた。
しかしそれは同時に大変な激務に晒されることを意味する。中には心を病む人もいた。
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そこでアメリカ人が飛び付いたのが、フランス本国では非主流派で冷や飯食いだった印象派だった。
彼らはまだ作品の点数が少ない。加えて、社会的評価も高くない。つまり贋作をつかまされる可能性が少ない。
アメリカ人が印象派の絵をフランス本国より先に評価したのは、こうした事情があったのね。
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さてそんなロンドン警視庁、誕生したのは諸外国に遅れるどころか連合王国内のスコットランド警察よりも、アイルランド警察よりも遅い。と言うのもイングランド人は警察というものが国家権力の尖兵であり、弾圧の手先だと信じて疑わなかったから。中世のまんまの自警団で十分と思ってたのね。
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村の決断に感銘を受けた近隣の大貴族デヴォンシャー公爵が支援物資を送り、また、窮状に同情した周囲の村も食糧を送る。それらは全て境界線で留め置かれ、人がいなくなってから村人が受け取った。
金銭が絡む場合はコインを水で洗い、酢で浸した穴に入れて支払いをした。
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とは言え、装備も訓練も不十分であり、迅速な消火に必要な消火栓の数はエジンバラの大きさに比してあまりにも貧弱だった。生まれたての消防ポンプ隊は市からも効果を疑問視される。
結成から僅か2ヶ月後、エジンバラを大火災が襲った。
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再度の市長選も、再々どの市長選も彼は勝ち抜き、ハートリプールの人達はドラモンド市長を敬愛する。
「ネタで投票したけど、案外いい市長なんでびっくりした」
ドラモンド市長は11年に渡ってハートリプールの市政を司る名市長となる。