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1787年、パルマンティエは廃兵院(傷痍軍人のための名誉ある施設)で一大イベントを催す。
「じゃがいも尽くしです! じゃがいもにどれだけの事ができるか、ぜひ、ご賞味を!」
前菜からデザートまで全てじゃがいものフルコースだった。パルマンティエの技量はそれを可能とする域にあった。
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味方がやられているとつい助けに行ってしまう。職場の同僚で、家族ぐるみの付き合いだったりする。
あるいは味方の弱音に共感してしまう。怒鳴りつけられない。本当の職場ではいい奴なんだ。帰った時に関係を悪くしたくない。
こうしてサンドリンガムズは凄まじく損耗した。
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こうしてサンドリンガムズはテリトリアル部隊時代の組織をそのままにノーフォーク連隊に所属した。
当時、こうして仲間同士で集まって一緒に志願した兵士は非常に多く、彼らはパル(友達)兵士と呼ばれた。気心が知れてて円滑に動ける一方、上から下まで友達なので馴れ合いもあり、実践経験は、ない。
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おはよう。今朝のTIPS。
細々しく主人の世話を焼いてくれる使用人やメイド達だけど、考えてみれば仕えられる者と言うのは同時に玉座に座って使用人に仕えている事も意味する。気を回さないとならないからね。
だからスペインにはこんな諺がある。
『使用人と言うものは、避けようもない敵』
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お昼のTIPS。
15世紀から18世紀までヨーロッパの軍隊の主力は傭兵だったけど、無頼の集団である彼らは現地でしばしば軍行動から逸脱した破壊と略奪を働いた。
こうした傭兵達の行動を掣肘し、裁くためにフランスで生まれたのがマレショーセで、元帥の指揮下にあって憲兵、即ち軍隊の警察となった。
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お貴族様のお戯れに付き合えば確かに高額の報酬はあったけど、やっぱり耐えきれなくて逃げ出した人も結構居たみたいね。
病みがちな現代人なら、代わりたいと言う人も、いるかしら?
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おはよう。今朝のTIPS。
誰でも知ってるクロワッサン。有名な話しだけど、このパンにはトルコ軍にまつわるエピソードがある。
いわく、17世紀の第二次ウィーン包囲の折、トルコ軍のもぐら部隊が地面を掘り進んで城壁を地下から迂回しようとしたところ、早起きのパン屋さんだけが掘削音に気づく。
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1914年、第一次世界大戦が始まると、イギリス中の男子が兵士となり、工場から男は消え、その穴埋めに女が補填される。
それは危険な物資を扱う軍需工場でも同じ事だった。前線で砲弾が大量に消費され、需要は拡大するばかり。南スコットランドのグレトナに巨大な工場が作られた。
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もう恥をかいてしまったのは仕方ないんだから、この上でメンツに執着する事なく、凡ミスなんです。悪意はなかったんですと釈明するのも時には大事ね。隣国とは付き合い続けるしかないんだから。
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始まるやいな、ギンと睨む目でエクリプスが走り出す。オケイリーは叫んだ。
「行けぇ! エクリプス! ボロ儲けだ!」
騎手は半泣きだった。コースは勝手にエクリプスが進む。彼に出来るのは、とにかく振り落とされない事だけ。
「何だこれは!? これは本当に馬なのか!?」
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エクリプスは無敵かつ、隔絶した馬だった。戦えば戦うほど誰もエクリプスに勝てないことが明らかになる。
やがて誰もがエクリプスとの対戦を避けた。エクリプスが出るとなればみんなして出走を拒否するので、エクリプスはやがて厄介者となる。馬主も困り果てた。
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「デヴォンシャー公爵夫人……。お前が見つけたことにして、返してくれないか? 報奨金も出るだろう。俺に回してくれ。もう、昔のように怪盗ができないんだよ……」
ピンカートンは承諾し、四半世紀も行方不明になっていたデヴォンシャー公爵夫人は再び表舞台に現れた
その一年後、ワースは亡くなる
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不潔で地価が高くて狭苦しい旧市街から余裕のある人たちは郊外に移り出し、旧市街は徐々に活力ある新市街に取って代わられるようになる。
管理者不在の建物が増えた。当時、消防は家主と契約した保険会社がその義務を負う。彼らは営利企業なので、放置された廃屋など消化する義務はない。
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王政府もコーヒーハウスの状況に真っ青になる。最も知的な人たちが最もわい雑な言葉で日々、喧々轟々の議論をやるし、その中にはかなりの程度政権に批判的な言葉が含まれていた。悪魔の飲み物は伊達ではない。
「反体制派の溜まり場ではないか! コーヒーハウスは禁止!」
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新米の航法士官が航法を誤り、何百キロも地形を誤ったまま操艦した結果、気づけばスウェーデンの軍港近くで座礁してしまったという、とんでもなくお粗末な事態だった。
言うまでもなくこれは大きな恥で、ソ連海軍の練度の低さを満天下に晒すスキャンダルだった。
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イギリスは新型ミサイルを開発した。その名も、『シビルサーバント(公務員)』
機能しないし発射もされない。
公務員いじりは洋の東西を問わないみたいね。
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「恥知らずどもをひっ捕らえろ!」
腕利きの賞金稼ぎや探偵社がジャンパーを捕まえる。ただの脱走兵よりジャンパーは憎まれており、最悪処刑があり得た。中でもピンカートン探偵は名うての追跡者で、ジャンパーを次々捕まえ、やがて彼はワースを追う。
「ちっ、厄介な奴に目をつけられた!」
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繁盛するシャーロットの娼館にはありとあらゆる階層の人たちが溢れ、寝物語に情報も集まる。シャーロットとそれを共用するオケイリーは気になる話を耳にした。
「デビュー前だが、エクリプスと言う馬が凄いらしい。ただ、とんでもない気性難で、オーナーは持て余しているとか」
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出獄後、ワースはライバルのピンカートンに連絡を取った。
「不思議なものだ。今となっては友達と言えるのはお前しかいないような気がする」
名探偵と犯罪王は和やかに語り合い、ピンカートンはワースの伝説を事細かに記録した。
「最後に頼があるんだ」
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村の仕立て屋はロンドンから取り寄せた反物を受領した時、それが湿っていて、異臭がするのに違和感を覚えた。
「オイオイ、管理はしっかりしてくれよ……。これで上等の服を仕立てるんだから。仕方ない。暖炉で乾かすか……」
しかし程なく仕立て屋は体調不良に悩まされるようになる。
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