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1787年、パルマンティエは廃兵院(傷痍軍人のための名誉ある施設)で一大イベントを催す。
「じゃがいも尽くしです! じゃがいもにどれだけの事ができるか、ぜひ、ご賞味を!」
前菜からデザートまで全てじゃがいものフルコースだった。パルマンティエの技量はそれを可能とする域にあった。
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お昼のTIPS。
12世紀、我らがイギリスことイングランドは困っていた。
歴史がない!
当時、イングランド王国はフランスの有力諸侯ノルマンディー公の征服を受けて建国された国で、隣国フランスの格下の辺境国であり、王家からしてフランスの方の領地を本領と思う始末。
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紋章で最も人気があったのは動物で、特に鳥類の猛禽類や獅子などの肉食獣ね。
具体的にはワシ、タカ、ライオンの人気がとても高い。北の国だとクマも人気ある。
こうした人気者は紋章かぶりが発生するので、ポーズで変化をつけたり、色合いで変化をつける。だから細かなバリエーションがあるわ。
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こうして一個大隊が丸々ネギを背負った鴨のように重武装されたトルコ軍の陣地のど真ん中に迷い込み、集中砲火を受けて全滅する。
わずかな生き残りもトルコ軍はどうやら捕虜にしなかった。彼らも極限状況で戦争をしてる。捕虜を取る余裕がなかった。
「殺せ」
かくして一個大隊が僅かな時間で消滅。
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また、紅茶ブームが始まるとコーヒーの人気も衰え、熱狂的だったコーヒーブームも18世紀終わり頃にはすっかりと収束する。
再度、カフェが開かれるけど、それは女性でも安心して訪れることのできる優雅な雰囲気のお店で、かつてのわい雑なコーヒーハウスとは似ても似つかなかった。
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こうして下賤な野菜とされたじゃがいもはフランス料理に定着し、料理大国フランスが大々的に採用した事で、諸国もそれに倣ってじゃがいもを使うようになる。
やがてフランス革命が起こり、国王と密接だったためにパルマンティエは王党派と目され、命の危険にさらされる。
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グレトナは元々、親の同意なく結婚するには男女21歳以上でなくてはならぬと言うイギリス法を厭って、15歳以上なら誰でも結婚できるとするスコットランド法の下に避難する駆け落ちカップルの聖地として有名な長閑な農村地帯だったけど、拡大する砲弾需要に必須の無煙火薬コルダイトの最大の工場が建設。
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王政府もコーヒーハウスの状況に真っ青になる。最も知的な人たちが最もわい雑な言葉で日々、喧々轟々の議論をやるし、その中にはかなりの程度政権に批判的な言葉が含まれていた。悪魔の飲み物は伊達ではない。
「反体制派の溜まり場ではないか! コーヒーハウスは禁止!」
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「じゃがいもをくれ!」
パリ市民がじゃがいもに殺到する。じゃがいもを栽培してたパルマンティエの畑にも押すな押すなで人々が押し寄せた。
「ええい! 下民め! 貴重なじゃがいもを渡すものかよ!」
パルマンティエは厳重な警備を敷いて畑を守る。
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1914年、第一次世界大戦が始まると、イギリス中の男子が兵士となり、工場から男は消え、その穴埋めに女が補填される。
それは危険な物資を扱う軍需工場でも同じ事だった。前線で砲弾が大量に消費され、需要は拡大するばかり。南スコットランドのグレトナに巨大な工場が作られた。
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最早火葬を知らぬイギリス人は一人もいなくなり、火葬への切り替えが公に議論される。わずか3年後には初めての火葬が行われた。ジョークを通じて大衆を動かしたのね。
さて、一方火葬された事にされたイングランドのクリケットチームもユーモアなら負けてない。
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要するに狂ってたのはマロリーだけではなかった。国じゅうが憎悪と暴力、謀略と不信の坩堝にあった。
そんな中でマロリーが高潔な騎士道物語を完結させた心理は何となく分からなくもない。彼だって古の騎士達のように名誉のため、婦人のため、主君のため、キリストのために戦いたかったのでしょう。
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rt
イギリス史を見てると、第一次対戦前と後では断絶があることに気づく。第二次大戦は一次大戦によってもたらされたものを強化したと言う印象。
親子間ですら大戦前の世代と後の世代では価値観が共有できないのね。
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ドライス男爵が二輪の足蹴り車ドライジーネを開発して以来、自転車は産業革命と共に急速に進歩してきた。
1860年代にベロシロードと呼ばれる現代の自転車に近いものが作られるけど、このフレームは木材でかつサスペンションがないので非常に乗り心地が悪かった。 twitter.com/elizabeth_munh…
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コーヒーハウスは18世紀の中頃まで流行したものの、混沌とした空間を楽しんでいた利用者達は、やがてそれぞれの階級に相応しい方向に分化していく。高級層はクラブに、庶民はパブに。
コーヒーハウスは情報と話題の独占者であり続けるため、独自の新聞を作ろうとしたけど、それは嘲笑を買った。
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エジンバラは四日間炎上した。後にも先にもない大火災でエジンバラ大火災と呼ばれる歴史的な火災は歴史的な遺跡や史跡、政府施設、その他民間の長屋を焼き尽くす。損害は膨大なものとなった。
「消防ポンプ隊は何をしていたんだ!?」
ブレイドウッド達は批判に晒された。
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年老いて戦士として使い物にならなくなった男を養うだけのキャパシティがヴァイキングの社会にはなかった。
貧しいノルドの地に住まう彼らは近隣の誰かから略奪しないと社会が保たない。だから戦士を称揚する。戦死者のみが天国に行けると差別をする。
戦士達にとって戦場は天国行きのチャンス。
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社会の犠牲となって命を奪われる人達に、かつての人達は、天国行きと言う名誉をせめて、与えた。
今のわたし達も同じ。有事ともなれば国家のために戦死した人たちに神ではなく国家が名誉を贈る。そうやって、誰かの犠牲の上に社会というのは成り立つ物なのでしょうね。