このアルスターがつくられたのは1880年代 寸法はバスト94cm、ウエスト52cmです 私はこの時代の婦人服を数多く研究・分解してきましたが、この子が断トツにクレイジーな造形を描いています さすがに「バスト-ウエスト=42cm」の数式は間違ってます 人間の数字じゃありません
この時代、女性の上半身は「ファン・フロント」と呼ばれる構造でした 理想とされた造形が、扇(ファン)のような形だったのです 扇型の魅せポイントは「細いウエスト」です 細いウエストを強調するために、他の部分をすべて巨大化させた と理解すると、19世紀中葉のドレスの見方が面白く感じます
横乗り乗馬を身に付ける以前に、この3段変形するサイドサドルスカートを美しく履きこなす必要があります 装着時・歩行時・乗馬時と、裏側の仕掛けを手際よく繋ぎ合わせなければいけません 移動手段ではない、社交として嗜みとしての乗馬が上流社会では求められるのです 一朝一夕では身に付きません
裏地には「ウールのボア」が縫い付けられています コンクリートのようなメルトンウールの表地では雨をはじくことは出来ても、寒さから身を守ることができなかったのでしょう 腰から膝下、そして背中全面をボアで覆い尽くし防寒性を高めています
ちなみに、日本製のインバネスコート(トンビ)はつくり込みが本当に神がかっています 写真はすべて日本のインバネスですが、裏地の仕立てやポケットの配置、衿のつくり込みなど本場を圧倒する完成度です 日本製の古いインバネスは簡単に手に入るので、興味ある方はぜひ
V&Aにも所蔵品を提供している、とあるおばあちゃんディーラーがイギリスにいます 彼女はドレスの専門家であり、半・分解展を面白がってくれています そして、彼女から18世紀の「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」と「ローブ・ア・ラングレース」を引き継ぎました また一緒に感動を共有しましょう
2月14日まで【半・分解展の型紙】を販売します ヴィクトリア朝の貴婦人が着た「ヴィジット」 同時期の使用人が着用した「コーチマンズオーバーコート」 など、数百年前に廃れてしまった造形美をかたちにしました 特別なセールもおこなっております HPをご確認ください d-d-pattern.myshopify.com
では、こちらのシグネットはどのように使うのでしょうか 「血の石」と呼ばれ流行したブラッドストーンが埋め込まれ、イニシャルが刻印してあります 赤い斑点模様が、血の石と呼ばれる所以です これを、どう使用するかというと・・・
このウエストコートの上に着たのが【Mノッチ】というコートです Blogにまとめていますので、ご興味あればご覧ください こちらもヤバイつくりで思わず笑ってしまいます ↓ rrr129annex.blogspot.com/2020/03/m-notc…
肋骨服は日本においての通称であり、明治時代の軍服として採用された経緯があります 人気の火付け役となったのは、言わずもがなゴールデンカムイの鶴見中尉 私の展示にも、多くの金カムファンが来場してくれました 10月いっぱいまで100話~162話が無料公開されています↓ shonenjumpplus.com/episode/139320…
「封蝋」のために使います 当時の伝達手段であった手紙が覗き見されないために、自分自身が封をした証明のために、シグネットによる封蝋が行われました 現代でも「シーリングワックス」として雑貨に売っていますよね
24日(土)は11時よりオープン 20時50分までの開催となります 夕方以降が空いています 皆さんの試着姿が、大変勉強になります ありがとうございます
10月27、28、29日に渋谷でおこなう特別講義 前売りチケットの販売は、16日(日)で終了となります ご興味ある方は、お忘れなく 18世紀半ばから20世紀初頭までの歴史と文化を「衣服」で辿る体感型の講義です こちらは女性用の横乗り乗馬スーツ チケット購入はこちらです↓ sites.google.com/view/dd--ateli…
ほとんど知られていない技術ですが、縫い目ひとつとっても、現代とはまったく違うんです 例えば、端の縫い方 19世紀の外套などは「突き縫い」という技法を用います 写真2,3枚目で解説をしていますが、これをやろうと思うとめちゃくちゃ難しいんですよ 技術者ならわかるはず...
私のツイートをジャンルごとにまとめました ロココ貴族の宮廷服や、ヴィクトリア朝の軍服 召使いのスーツに、女性の乗馬服などなど 皆さまのクリエイティブや研究のお役に立てば幸いです rrr129annex.blogspot.com/2018/12/m.html
こちらはFIDM museum所蔵のティーガウンです 藤の蔓と花が刺繍されています ウエストは、ゆるやかにフィットしており、着心地は良かっただろうと想像できます それにしても素敵な色です
半・分解展では、この「サイドサドル」の展示が大人気でした 学芸員、縫製士、コスプレイヤー、どんな方が手にとっても初見でサイドサドルスカートを正しく履けた人はいませんでした それくらい着用が難解ですが、その体験はとても面白いものです 視覚のみならず「触覚」で歴史を味わえます
【半・分解展の型紙】では、洋裁初心者に向けた「変わった型紙」も用意しております こちらは昭和40年頃に郵便屋さんが使用していた「書留鞄」です 縦長のサイズ感はスマホを入れるのにもピッタリ ちょっとレトロなデザインが今見ると新鮮です 型紙の購入はHPよりどうぞ↓ d-d-pattern.myshopify.com/collections/%E…
偉大な作曲家「ベートーベン」 馬に跨るナポレオンの肖像画を描いた「ダヴィット」 1800年ごろに活躍した芸術家たちが着用したコート【Mノッチ】を紹介します Mノッチは、新古典主義やロマン主義を体現した「過剰造形」の衣服です イギリスがつくりあげたテーラーメイド(仕立て)の原点といえます
4月15日、16日に渋谷にて「小学生限定」のワークショップを開催します ドレスなどの洋服はもちろんのこと、天然繊維についても学びます 見て、触って、嗅いで、西洋服飾史・文化史を一緒に楽しく巡りましょう 教材となる衣装は、すべて100年、200年以上前の「本物」を使用します 詳細はまた後ほど
10月24日から開催する【半・分解展 大阪】では、フランス軍の肋骨服は展示しません ロサンゼルスに送ってしまいました その代わりに、若かりし頃のチャーチルも着用したイギリス軍のパトロールジャケットを展示します 前売り券を発売中ですので、HPよりお求めください↓ sites.google.com/view/demi-deco…
構造の変化は、並べてみれば一目瞭然です 左:フランス宮廷ドレス 右:イギリス簡素ドレス 豪華なフリルやトリミングは姿を消し、身体に沿った造形が際立ちます 1783年に出版されたLe Tableau de Parisには「女性の服装が、これほど簡素化されたことはない」と書かれます
お金はここから入れるんです 中央にはリングが2つ それを片側に移動することで、口が開きます(写真2) そしてお金を入れて、リングを端まで寄せれば完了です お金が、落ちずらい(取りずらい)構造になっており、けちん坊の財布と呼ばれたとも言われています
氏名とか入れるのヤダ!という方には、Googleドライブにも同じ仕様書をアップしています お好きな方から、ご自由にDLしてください↓ drive.google.com/drive/folders/…
2つめは【発達した胸】です 筋肉質の人もまたロココ絵画のようにタスキじわが出やすいです 原因は、発達した胸の筋肉に洋服の寸法が追いついていないのです 結果、布が突っ張ってしまいタスキじわが発生します では、18世紀ロココも上記2つと同じ理由でシワが出ているのでしょうか? 答えはNOです