こちらの1880年代フランスのヴィジットは、袖も角ばっており、かなり着物っぽさを感じさせます ヴィジット(Visite)という名前の通り「訪問着」として、女性にとっては身近な上着でした 1860年後半から1900年初頭までの、ごく限られた期間に流行した衣服なのです
【半・分解展を一緒に巡りませんか?】 2021年 東京展の様子を、ナレーション付きでYoutubeにアップしました 来場が叶わなかった方は、ぜひご覧ください 100年、200年前の構造美を分解/研究し、発表する個展です youtu.be/_TPqHyh_ZKU
こちらは、以前、試作品としてつくったヴィジットです 白い布でつくってみたんですが、すごくファンタジーな感じになりました 使用する生地で、かなり雰囲気が変わると思います
このようなヘアジュエリーは、故人のみならず存命中の仲の良い友人同士で渡すこともあったそうです 写真のものは1850年ごろ「毛髪ブローチ」 V&A所蔵 ヘアジュエリーの需要は大きく、専門の業者までもが存在しました 業者は依頼主から髪の毛を預かり、保証書を付けて納品していました
こちらも使用人のお仕着せである燕尾服です 基本設計は同じですので、お尻のデザインを変更すれば、貴族の燕尾服にもなります こちら全く需要がないようで、型紙はぜんぜん売れません ただ個人的には思い入れの強い1着です 美しい造形をご堪能いただけます ↓ rrr129annex.blogspot.com/2020/03/countr…
例えば「裾のプリーツ」 貴族の服は贅沢に布を使い、揺れ動くプリーツを設けます ところが市民の服にあるのは「プリーツ風の折り目」だけです 一見するとプリーツがあるように見えますが、実は内側で縫い込まれており、貴族のように風になびかせることは叶いません
袖の構造には目を見張るものがあります ケープ状の袖かと思いきや、内側に「隠し袖」が設けられます これは「ピボットスリーブ」と呼ばれる狩猟服に見られた設計です この隠し袖があることで可動域は抜群に広がります 3枚目の写真が、当時の実物です
【ゴミドレス】 これは1863年に掲載された風刺画です 長いトレーンをゴミドレスと一蹴しています 「イギリスの高級婦人がこの世で最も汚い生き物」 「トレーンは地面を掃除し、泥、ほこり、葉巻のカス、その他あらゆる不純物を集める」 「結婚するなら立派な女性よりも分別のある女性を選ぶべきだ」
続けて、袖をめくりあげてみましょう 袖を通す穴が確認できます この穴は「アームホール」と呼ばれますが、ここの設計がヴィジットの種類によって大きく異なりました 端的に言えば「階級が上の人ほど小さい穴」になります これは、他の多くの上着にみられる構造上の特徴です
写真では絶対に伝わらないのが心苦しいです 私がこれまで触れてきた生地とは明らかに一線画す手触りです まるで、古びたダムのコンクリートに触れているような無機質で圧倒的な質量が、指先から伝わってくるのです 重さも半端じゃありません 抱きかかえるように持たないと支えられない重量です
こちらの書留鞄 明日には型紙を公開できそうです 可愛くつくれたので、興味ある方は型紙をダウンロードして縫ってみてください 距離的には、手縫いでも全然イケます🤏 twitter.com/rrr00129/statu…
写真や絵画では知る由もなかった背中には、幾重にも折られた「プリーツ」が施されていました その長さは、一周で3m80cmにもなります よく観察してみるとそのプリーツは、現代では考えられない方法で設計されていることに気が付きました
今年最後の型紙販売です 12月12日(月)までの販売となります 人気の型紙「1870年フランスのヴィジット」などが、PDFデータで登場しています お得な割引き中ですので、この機会にぜひ挑戦してみてください ご注文はHPより、お願いいたします↓ d-d-pattern.myshopify.com
ヴィクトリアン ラップを「着物」に合わせたスタイルも、とても素敵です 約150年前に西洋の女性が羽織ったラップを、日本の着物に合わせるコーディネートは新鮮です 7月4日(日)まで型紙を無料公開しておりますので、この機会に洋裁チャレンジはいかがでしょうか? rrr129annex.blogspot.com/2021/06/vr.html
半・分解展 4月14(水)、15(木)、24日(土)の3日間のみ特別展示【男たちの軍服展】をおこないます 3名の軍服マニアから、貴重なコレクションをお借りして展示します 金モール刺繍が美しいこちらは @ColonelStechkin さんの「フランス第一帝政 陸軍中将 大礼服」です sites.google.com/view/demi-deco…
19世紀末イギリス 侯爵夫人のコートを製作中です 1886年のファッションプレート(Pic2)や、1892年の製図書(Pic3)を参考にしています 振袖のように垂れ下がった袖が印象的な1着です 正式名称がイマイチ解っていません 当時の製図書には【The Duchess】と書かれています
以外に思われるかもしれませんが【戦争とドレス】にも深い関わりがあります 講義のなかでは3種類の「軍装ドレス」をお見せします 1820年、1860年、1890年と各年代の本物を揃えています 婦人服の講座は間もなく満員になりますので、お早めに
大阪も東京も、展示は中止にしました 準備してきた1780年~1930年までの「試着サンプル」を有効活用できないか?と考えています 例えば、服づくりの参考に、絵を描く見本に、衣装の撮影など に使用したい方はいますか? お求めやすい価格でのレンタルを考えています 100着ほど用意があります
3日連続で、ヴィクトリア朝のさまざまな「腰からぶら下げる装飾品」を紹介しました 皆さんは、どれが気に入りましたか? 本物を実際に見たい、触りたいという方は、ぜひ【半・分解展】にお越しください 本日13日で早割チケットが販売終了となります 購入はHPより↓ sites.google.com/view/demi-deco…
重要文化財「染分縮緬地襷菊青海波文様友禅染振袖」の修復プロジェクトに立ち合わせいただくことになりました 今週、文化庁の立ち合いのもと京都国立博物館での着物の解体作業を見学します 取材内容は来年発売のBRUTUSに掲載されます 執筆は橋本麻里さん @hashimoto_tokyo とても楽しみです
ごく細くなったプリーツは、背中に沿ってスカートへと流れ落ちていきます 背中とスカートは、ウエストで分断されておらず、驚くことに「1枚の布」で仕立てられます スカート部分には【カートリッジ・プリーツ】と呼ばれる地獄の手作業が施されます 写真2,3枚目は、必見です
【ヨークケープ】もまた、女性を拘束するかのような異質な着心地を持っています 通常のケープとは異なり、角ばったボックス状のシルエット 腕の可動域は、前後左右に設けられた4本のプリーツのみ 労働とは無縁の、特権階級のための構造です
19世紀末アメリカ ヴィクトリア時代の淑女の防寒着【ヴィジット】を紹介します 今回のヴィジットはデザインに驚愕しました なんと「小麦柄」の刺繍が大胆に施されているのです 農家のブルジョアマダムが、上流階級の仲間入りを果たすために仕立てさせたのかと想像してまう、悪趣味なデザインです
そして、イギリス陸軍の最上級連隊ハウスホールドギャバリーの肋骨服「ギャバリーフロック」は2点展示します 君主護衛の宮廷騎兵が着た肋骨服は、通常の胸飾りとは異なり「ドロップ・タブ」と呼ばれます ドロップタブは、馬の歩みに合わせゆらゆらと魅力的に揺れ動きます
私は、重衣料の専門家なので、小さい鞄を分解研究するのは初めてでした なるほど、分解してみると面白い構造にたくさん出会えました 昔の職人さんがなにを考え、なんのために縫ったのか 分解しながら対話するような感覚です ブログに詳しくまとめましたので、ご興味あればご覧ください