召使いほど厳しく「ドレスコードと清潔感」を強いられます 彼らは場合によっては、人間ではなく主人の「アクセサリー」でした 美しい使用人を並べて置くことが、そのまま上流階級のステータスシンボルとなります いつもは地味なコーチマンも、狩猟舞踏会では魅せるためのスーツを着せられたのです
1880年イギリス お尻を膨らます補正下着【ロブスターテイル・バッスル】を紹介します 1880年ごろから、お尻部分を膨らましたスタイルが大流行します その造形を実現するため、スカートの下に装着したのが「バッスル」です 実はこれ「ちょうちん」みたいにパタパタと折り畳めるんですよ
19世紀初頭 上流階級の紳士たちに欠かせないアイテムが、鹿革の乗馬ズボンでした ナレーション付きで解説しています 2分間の短い動画ですが、お楽しみいただければ幸いです
極めつけは背面です まるで「コルセットのように絞り込む仕様」になっています ロマン主義のころには男性がコルセットを締めることもありました 【胸の造形、腰の革、背面の絞り】 上着のしたでは、こんなお祭り騒ぎが起きていたのです
この物体の正体は「シグネット」と「ウォッチキー」です つまり、印章とゼンマイ回し 印章は、現代でいうところの印鑑 ゼンマイ回しは、その名の通り懐中時計のゼンマイを締めるための鍵です この2つはアッパークラスの紳士には必要不可欠であり多くの場合、懐中時計と共に繋がれました
1890年【ヴィクトリアン ボディス】を紹介します 「漆黒の宝石」と呼ばれた「ジェット」を贅沢に縫い付けた1着です ジェットはヴィクトリア女王が喪服に合わせる宝石として着用し(写真3枚目)ヴィクトリア朝後期に流行しました このボディスは全身がレースで覆われ、その上からジェットが付きます
お尻の釦もまた、前世紀ロココ貴族を象徴とするディテールでした 19世紀になると、貴族ではなく労働者である使用人に受け継がれたのです 大抵の場合、金属釦が縫い付けられ、釦にはイニシャルや王冠マークなどのモチーフが刻印されました 釦を傷つけないように、美しく立ち続けなければいけません
お尻に隠されたポケットにも要注目です 「プレイトポケット」「けちん坊のポケット」「隠しポケット」など、さまざまな名称があります 貴族は、ここにドレスコードの手袋を入れました ところが、労働者はお酒を隠したそうです このポケットは文化史を知るうえで重要です 今後また詳しく解説します
「18世紀のドレスメイキング」とても面白い本でした 【手縫い】に特化しているのが素晴らしく、マニアックかつ解りやすくまとめられています こちらの本がお好きな方は、半・分解展で18世紀の実物をご覧になってみてはいかがでしょうか? 手に取って、縫い目の裏まで見れますよ
今回は、1890年イギリス 【イブニング・スカート】を紹介します 上流階級が履いていたスカートには、凡人には想像もつかないような秘密が隠されています 代表的なディテールが【ダスト・フリル】です 引きずるほどに延長したスカートの裾「トレーン」を守るために、裏側にフリルを縫い付けました
ちなみに「太ったお腹」は18世紀において、本当に貴族たちが求めていた美意識でした 写真1は1750年のベストです ご覧の通り、お腹が出ていますよね このシルエットがロココ朝の男性美だったのです ちなみに、ブルジョアを太っちょに描いた風刺画も、大量に存在します
ソーイングシャトレーヌには、別添えで「ニードルケース」が付く場合があります あの使い辛いピンクッションには刺しきれない針を保管しておくためのケースです 画像1枚目の左側にある筒状のものがそうです 蓋がチェーンと一体化しているので、蓋が外れて針が散乱しないようになっています
このダストフリルは、直接縫い付けられるものもあれば「取り外し可能」なタイプも存在しました 京都服飾文化研究財団の広報誌「服をめぐる 21号」にも紹介されています (写真1) 服をめぐるは、毎回とっても面白い内容です 無料でPDFで読めるので、皆さんもぜひ ↓ kci.or.jp/publication/
以上 1881年アメリカ「ドレス&クロークカッター」
馬車の運転士であるコーチマンは、装飾を省いた端正なオーバーコートを支給されました お尻の釦は、地味なデザインですが健在です 彼らのコートは、防寒性のために裏にボア生地が張られており、その重量は4.5キロにもなります 私の所蔵品のなかでも随一の重量級選手です
このチェーンは、1880年頃アメリカのものです 毛髪で編まれたチェーンは、耐久性アップのためか二重でつながれています そして中央に小さく付くチャームのなかには、妻とおぼしき婦人の写真が入っています (18世紀のフランスだったら愛人の肖像画だったでしょう)
当時「男性のパツパツズボン」は格好の風刺画のネタとなりました 1枚目は、ハンカチを落としたけどズボンがタイト過ぎて拾えない 2枚目は、理想のスタイルのためにパッドで身体をモリモリ(ふらはぎにも) このように、かなり行き過ぎた、攻めのズボンがパンタロンだったのです
半・分解展は【本物に触れる】展示です 本物の肋骨服に触れてみてください 想像を遥かに超える布の「厚み、固さ、重さ」に驚愕するでしょう 袖を通せば美しい造形美に酔いしれるはずです 入場券はHPよりご購入ください 高額な展示ですが、絶対に後悔はさせません sites.google.com/view/demi-deco…
袖口の意匠も圧巻です 複雑に交差したオーストリアンノットを良くみると二種類のロシアンブレイドからつくられています 太いブレイドの両端を細いブレイドが追従するように縫い留められます もちろん全てが手作業です また、袖口には「ベルベット」があしらわれます
海軍の為に開発された「ライフセーバーベスト」でした 英国の老舗テーラー【Gieves】が当時、大真面目につくったベストです 第一次世界大戦中の1915年につくられ、ちゃんと特許も取得しています 写真1枚目は空気を抜いた状態です The John Bright Collection所蔵 thejohnbrightcollection.co.uk/costume/life-s…
スパッツが1つあれば、お手持ちの靴がブーツに変身します 秋冬のお洒落に、お手製のスパッツを取り入れるのは如何ですか 「60cm×60cm」のハギレがあれば十分に裁断することができます 着古したデニムで作るのも格好いいかもしれません
19世紀末の3種類のヴィジットも5/2(日)まで販売しています ツリーTopのリンクから購入できます それぞれ異なる背景から生まれた同じ衣服です 完全に冬物ですが、ご興味あればご連絡ください すべて私が縫った1点物となります
今週末の【半・分解展のアトリエ】では、当時の本物を教材に、美術史/文化史を巡ります 紳士服の講義は、まだ空席がございます 肋骨服などの軍服は「ヴィクトリア・エドワーディアン」のコマで詳しく解説します 参加チケットはHPよりお求めください↓ sites.google.com/view/dd--ateli…
雨風に晒される御者(コーチマン)は使用人のなかでも重労働の仕事でした 彼らは馬の管理も任されており、他の使用人と違って馬小屋に寝室がありました また昇進を期待できるポジションでもありません そんなコーチマンの身体を守るコートは、驚くべき生地と製法で仕立てられています
フランス革命前後で紳士服は、全くちがう美意識を宿した衣服に生まれ変わります 「美の象徴」となった男たちを紹介します 革命前は、華やかな宮廷貴族が紳士服を牽引しました ところが革命後は、泥臭い田舎の貴族が「カッコイイ」とされます いったいなぜ、田舎の貴族が注目されたのでしょうか