19世紀初頭、男たちはパツパツのタイトフィットズボン【パンタロン】を履き始めます 古代ギリシャ彫刻のような、重厚な筋肉質のシルエットをお手本にしたのです とりわけ紳士服の【ふくらはぎ信仰】は16世紀から続く男性美の象徴でした
たくましい胸板に縫い付けられた「ロシアンブレイド」は、胸を越えて袖にまで縫い込まれています 身軽さを重視した軽騎兵が、重い鉄の鎧を脱ぎ捨てる代わりに、内蔵損傷を守るためにロシアンブレイドが発明されました 19世紀に入るとナポレオンがこのデザインを他の制服にも取り入れ幅広く普及します
サイドサドルのエプロン・トレインは【半・分解展の仕様書】で詳しく紹介しています こちらは右足に巻き付けるタイプです スカートの構造ですが、乗馬時だけは右足がズボンに変形するのです 何を言ってるのか分からないと思いますが、ご興味あればDLして読んでみてください d-d-pattern.myshopify.com/collections/%E…
ちなみに、1850年ごろまでは「男の内ポケット」はタブーです 現代のジャケットでは当たり前の内ポケットですが、胸の造形が崩れるという理由で当時はNGだったのです その代わりに、紳士服のポケットは伝統的に尻尾に隠されていました
100年前の乗馬用スカート「サイドサドル」の動画をアップしました このスカート、構成はシンプルですが構造が複雑です やっと動画で解説することができました 動画を見ていただければ、ヴィクトリアンやエドワーディアン時代の女性たちの美意識が伝わるはずです youtube.com/watch?v=nq9fRI…
すでに動画ではサイドサドルの解説をしております このスカートの履き方は、動画を視ていただくか、できれば実際に履いてもらわないと解らないと思います 「右足だけズボン」になるんです ご興味ある方はご視聴ください youtube.com/watch?v=nq9fRI…
200年前の紳士のズボン【ブリーチズ】 乗馬用ズボンとして流行し「男性美の歴史」にその名を刻みます 私が手に入れた1着は、1810年イギリスのブリーチズ(未使用)です 極厚の鹿革を、繊細な手縫いで仕立てています 男性美の歴史は、下半身にあります その意味と構造を解き明かしていきます
まず袖です 以前皆さんから「振袖のようだ」とコメントがありました 19世紀末の製図書をみると「ジャパニーズスリーブ」と紹介されているのです 恐らく19世紀の英仏万博において注目された「ジャポニズム」が影響を与えたことは何なく想像できます テーラードスリーブと振袖を足した構造は複雑です
素晴らしいアビ・ア・ラ・フランセーズを見せていただきました 手のひらサイズ、ポケットもプリーツも完全再現 @rabbitgrave1 さん 活版型紙をご購入いただき、ありがとうございました😀 本当にすごい
裏側を見てみましょう 恐らく、写真だけでは余計に構造を理解できないかもしれません 大きな特徴は「脇の下」 和服のように隙間が空いています 19世紀末の製図書に「間違いなくヴィジットは裁断士にとっても縫製士にとっても、最も困難な衣服だ」と書かれる理由に頷けます
以前、製作したヴィジット(侯爵夫人) 写真1、2枚目 今回、製作したヴィジットと型紙を比べてみるとアームホールのゆとり設計が全く違いました(3枚目) 技術者として大変興味深い点です ちなみに今回のヴィジットは「フローレンス」と名付けれたモデルです イタリア風なのでしょうか
「軍服の造形美」では、圧倒される異常構築を表現しています ただ戦うためだけの服ではなく「魅せるための服」としても機能する軍服は、内部構造に秘密が隠されます 分解して露になった異常とも思える服のつくりこみ 縫いが生み出す造形は、袖を通す全ての人を勇ましく仕立てあげるでしょう
サイクリングスカートは、如何に普通のスカートに見せれるか?が最大のキモでした 正直、構造的には「ズボン」なのですが、女性が股の割れたズボンを履くのはNGだったのです ヴィクトリア朝の貞操観念に沿うように、慎重にデザインされたのが伺えます ご覧の通り、普通のスカートに見えますよね
1780年の「カラコ」を本気で着せ付けました👏
メンテナンスがし易いように、裏蓋は簡単に開けることができます 基盤をよく見ると「SLOW」「FAST」と書かれています これは緩急針と呼ばれ、文字通り「時間の進みを遅くしたり早くしたりする」ために使います 機械式ならではの機構ですね 24時間を正確に刻めないので、緩急針で調整したのです
【【【東京展の開催が決定しました】】】 2023年10月18日~31日まで、渋谷にて「半・分解展 東京」を開催します 半年先の予定ですが、ぜひ手帳にメモをお願いします また会場で私とお話ししましょう 18世紀、19世紀の仲間と待ってます HPはこちら sites.google.com/view/demi-deco…
1900年初頭アメリカ エドワーディアン期の女性用乗馬服【ライディング ハビット】を紹介します ヴィクトリア朝とは異なる「メンズスーツ」の影響を受けたテーラードタイプの乗馬服です ドレスメーカーでなく「テーラーの技術」で仕立てられており、内部には固い麻芯が仕込まれた重厚な1着です
小さな釦を留めるために、女性たちは専用の器具を使いました それが「釦フック」です ホールの中にフックを通して、釦を引っ掛けて使用します 上流階級にもなると、釦フックにもこだわりました シルバーに意匠を凝らしたデザインや、宝石を埋め込んだものなどが存在します
今年買った本で、1番良かったのが【華麗な革命】です こちらは、京都服飾文化研究財団(通称:KCI)が1989年におこなった衣裳展の図録です 美しい写真の数々と、詳細な解説に何度も読み返しています KCI関連の本は、どれもとても面白いのでオススメです 日本語で書かれた貴重な資料になります
しかし、馬から降りた後が大変です 丈の長いスカートの裾は、地面について汚れます そこで地上を歩く際に、通常のスカートのように履ける工夫が生まれました この手のサイドサドルは「エプロン型」と呼ばれ重宝されたそうです しかし!複雑怪奇な構造になってしまい、職人泣かせのスカートでした
19世紀、室内でくつろぐ際の羽織りとして「ドレッシング・ガウン」という衣服がありました そして、KIMONOをドレッシング・ガウンとして着用する日本かぶれな人たちも存在したのです 写真1枚目は、ロサンゼルスカウンティ美術館が所蔵するドレッシング・ガウンです
1800年イギリスのシュミーズドレスを補修しています この時代の女性たちは、新古典主義の影響を受け、ありのままの身体の美しさを表現しました そのため衣服は、透けるほどに薄いコットンで仕立てられ、身体が露わになります あまりに繊細な生地のため、現存しているドレスは極わずかです
まず驚いた点は、身頃とプリーツが「1枚続きで裁断」されていることです ウエストに切り替えがあると思いきや、ほとんどのウクラニアンコルセットにはありませんでした つまり「超贅沢に生地を使う構造」なのです 切り替えを入れて上下を分断すれば簡単なのに、そうはしないんですね
2月6日(土)渋谷にて【半・分解展の器】をオープンします 今回のテーマは「美しき拘束着」 19世紀末ヴィクトリアンの淑女が羽織った不思議な衣服VISITE(ヴィジット)の研究経過を展示します ヴィジットの着心地と構造をお楽しみください 詳細はHPをご確認ください sites.google.com/view/dd-utsuwa…
例えば、この3枚はNYのMETミュージアムの所蔵品です すべてクリノリン期につくられたドレスです 共通するデザインは「ブレード」と呼ばれる胸飾りや、縁取りです 鮮やかな生地の上に走る一文字の黒いブレードが、独特な魅力を放つ、力強いドレスを生み出します