この僅かに見え隠れするチェーンが、19世紀の男たちにとって如何に重要な装飾品であったか? それはオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を読めばよく解ります 窪田等さんのYoutubeチャンネルで朗読されていますので、ぜひご視聴ください 美しい声に聴き入ってしまいますよ ↓ youtu.be/L6lsOYbJbcI
1870年フランス 馬車の運転手が着た【コーチマンズ オーバーコート】を縫ってみました 半・分解展で本物を手にした方は、あの「驚愕の重量」を覚えているかと思います 当時の使用人がどれだけ過酷な仕事に就いていたのか、重さからも想像ができます 製作して気が付いた、興味深い特徴を紹介します
18世紀の「謎の粉」 1760年フランス貴族のコートを調べていたところ、ポケットの中から大量の白い粉がでてきました これは一体なんでしょう? 臭いはなく、舐めてみたところ舌がビリビリと痺れる刺激がありました 味の方は、初めに一瞬だけ強い甘さを感じました 体調は良好です
「半・分解展に行きそびれた」 という声がよく耳に入ります 2022年4月12日~25日まで、東京は渋谷で【半・分解展】を開催します まだまだ先ですが、良ければカレンダーにメモしてください 国内美術館に負けない、個人の熱狂から生まれたプレゼンテーションを表現します
フットマンの服は別名「リボンジャケット」と呼ばれ、ひときわ派手な装飾がつけられます 装飾のデザインは「馬車」に準じて決まりました 生地の色は馬車のボディと合わせ、リボンテープは馬車のエッジと同色に、そして釦は馬具の付属品に習います 馬車や馬具と調和するデザインにしたのです
男性使用人で唯一、バトラー(執事)のみが主と同等の燕尾服を着用することが許されました 主との相違点は袖口にあり「バトラーの袖口には、釦を2つ付ける」と1890年イギリスの製図書にあります すべてが該当するわけではないでしょうが、映画などを見る際に注目してみると面白いかもしれませんね
シャトレーヌは持ち主の仕事や嗜好によって、付属品を付け替えることができました 私が探し求めていたのは、洋裁に特化した【ソーイング シャトレーヌ】です この3点セットがソーイングシャトレーヌの基本構成です まあ、ハサミはわかりますよね では、残りの2つは何だと思います?
フランスの古城から出てきた1850年ごろのアビ・ア・ラ・フランセーズを分解しました 女性の方に「保存している半分だけ」を着ていただきました ロココの系譜を感じさせる女性らしいシルエットを描いています 昔は、これが紳士服だったんですよね 素敵です では、分解してみた内部構造を紹介します↓
私が所有するのは1880年ごろの「ソーイング・シャトレーヌ」です 文字通り、お裁縫セットが付いています さて、この3点それぞれ何だか分かりますか? 一番上の「ハサミ」はわかりますよね 「ハサミ入れ」の中にスッポリと収まります
1880年ヴィクトリア朝 超変態的な構造のコート「クリフトンスリーブ ドルマン」を紹介します このコートは完全に玄人向けです 一見すると派手な服にしか見えませんが、洋裁の技術者が視れば【変態的な構造】に気が付くはずです 婦人服の裁断方法が複雑化する19世紀末においても、際立って変な服です
さすが郵便屋さんの鞄なだけあって、小さくても容量バツグンです お散歩に必要最低限のものはスッポリと入ります そして、側面に「ペン挿し」が付いているのが、書留鞄らしいですよね かわいいディテールです 型紙はHPよりお求めください↓ d-d-pattern.myshopify.com
1820年フランス 新古典主義を体現した女性の上着【スペンサー】を紹介します 厚い生地でつくられることの多いスペンサーですが、こちらは薄い「モスリン」 モスリンとはマリーアントワネットが、田舎遊びに興じる際に着ていた「シュミーズドレス」の生地 宮廷の華やかさに対抗した【簡素の美】です
テロっとした春夏用の薄い生地でつくってみても可愛いんです こちらは、向こう側が透けるくらいに薄い生地でつくったヴィジットです 夏に向けてヴィジットをつくってみるのはいかがでしょうか? 今こそ洋裁チャレンジのときです🔥 型紙のご注文お待ちしております
懐中時計にも注目してみましょう 古い機械式時計ですので、現代の時計に比べると、その重量に驚かれるかもしれません 6時の位置にある小さな文字盤は「スモール・セカンド」と呼ばれる秒針盤です 現代のように中心に3本の針を集約することが、技術的に難しかったために別で用意されているのです
1880年イギリス 本物のバッスルドレス【ポロネーズ】を着て、座れるのか? という実験をしている方がいました 半・分解展でしかできない体験だと思います ドレスの中に着用するバッスルは、ちょうちん構造になっているので、ご覧の通り座ることが可能です パタパタと折り畳むことができるのです
1880年フランス 女性用外套【ケープコート】を紹介します 上品でしなやかなウール素材でつくられたコートです 19世紀末の女性たちのあいだで流行った、お尻を膨らます「バッスル」 その分量を覆うために、背中の布が贅沢に使われており美しいドレープがなびいています
表現するのは新古典主義から培った男の造形美です このS字に描かれたシルエットを造形するために、見えない裏側にとことん手間をかけるのです 表側にも同様に、目には見えないアイロン仕事を施します これが【テーラーメイド】という技術です 表層からは決して見えない職人技です
このカップみたいなものは「指ぬき」を入れる専用ケースです 指ぬきとは、指先に装着し針を縫い進めるために使います 縫い物をする人なら、なくてはならない道具です ケースのなかに緑色のフェルトが仕込まれており、その中に指ぬきが鎮座しています こんな待遇の指ぬき、現代にあります?
1892年イギリスの【ヨークケープ】を組んでみました 最近は、ヴィクトリアン時代の「歪な美しさ」を持った衣服を研究しています 19世紀は女性の身体を制限する「拘束着」のような上着が数多く存在しました 当時の貞操観念にも通じる興味深い衣服です
コルセットを締め上げる姿にもまた、釘付けになりました 美しかったです 本当にありがとうございました
「半・分解展ってなんだ?」 「昔の洋服を分解して展示ってどうゆうこと?」 そんな疑問にお答えしました 入場料も高く、小難しそうな展示にみえるかもしれません しかし、圧倒的な【本物】を追い求める人にとって、そこは天国です 半・分解展ってなんだ? ↓ rrr129annex.blogspot.com/2001/10/dd.html
フランスから300年前のドレスが届きました 1720年につくられた【ローブ・ヴォラント】です 深紅のサテンシルクに、流れ落ちるヴァトープリーツが美しい1着です 10月18日からの半・分解展 東京で展示いたします 半・分解展で思う存分に、本物を味わってください 各年代のドレスを展示します
【スカート・リフター】なんですね 乗馬スカート特有の長い裾を持ち上げ、歩行を可能にする優れものです これはこれで可愛いんですが、やはり布が多い分、スカートの重量が信じられないほど重いんです なので、冒頭のエプロン・トレイン のような軽量化されたモデルが台頭してきます
1890年イギリス 紳士たちが着た「ケープコート」を紹介します こちらは私の服づくり教室「デミデコラボ」で、生徒さんが縫ったものです 着物に合わせて製作されました 1890年の製図書を基に、一緒につくりあげた一生モノです 本格的な服づくりは初めてとのことでしたが頑張って完成させましたね
こちらも同じくフットマンのお仕着せです 見た目が派手あることと同時に「前世紀の恰好」をさせることも暗黙のルールでした 彼らは、前世紀ロココ貴族の象徴である半ズボン(キュロット)に白タイツを履かされ、場合によっては頭に白粉まで付けさせられました