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⇨市民の人が研究をされるのは大変結構なことです。しかしそれを認めてもらおうとするなら、その研究成果を論文にまとめ、しかるべき学術媒体(査読付き学術雑誌など)に公表しなければなりません。そうした媒体に発表した成果ならば、同等の学術的価値を持つものとして扱われます。これがルール。
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⇨「バブル期に銀行が無謀な不動産融資」の理由について、自分の銀行員としての体験を述べると「『証拠が無い』で片付けられてしまいます。・・まさに『大学の常識は、世間の非常識』・・(笑)」などと言っている。これも、学問ないし論文を甘く見ていますね。⇨
news.yahoo.co.jp/articles/005fa…
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実は「アステカ王国」ってのも適当じゃないんですよね。あの部族は北方からの「チチメカ族」の一派で、「自分たちは『アストラン』というところからきた」と伝えていた。これを採ってヨーロッパ人が「アステカ族、アステカ王国」と呼んだ。しかし彼らの自称は「メシカ」。だから「メシカ王国」がいい。
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市史編纂の時に史料を収集する。本の刊行が終わった後、集めた史料をどうするか。せっかくこれだけ蓄積ができたのだから、これを基礎にして博物館を建てよう、というのは上策。博物館は将来としても史料収集は続けていこうというのが中策。最悪なのは、市史編纂室が解散すると史料が散逸するという場合
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ただ、もうひとつの下策があるのですよね。せっかく博物館を造ったのに、財政難なので資料収集事業はストップ、ということ。そんなアホなと思われるかもしれませんが、実はかなりの博物館で「資料購入予算ゼロ」という事態が起こっています。予算ゼロでは身動きがとれない。博物館が緩慢に死んでいく。
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総研大(総合研究大学院大学)、各種の国立研究所を基盤として研究者養成するユニークかつ高水準の大学。しかし知名度は低いかも。秋篠宮文仁親王殿下がここで博士(理学)を取得しているが、その時「秋篠宮が聞いたことない大学で学位をとった」とクサした週刊誌があり、記者のレベルの低さが露呈した twitter.com/Morimori_Phys/…
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⇨「大学は存在目的が不明確」も不見識。大学は「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」(教育基本法)という存在目的を持っています。
news.yahoo.co.jp/articles/005fa…
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⇨コレ、昔からある「詩を作るより田を作れ(詩のように実益にならないものをやるより、カネになることをせよ)」という話の焼き直しにすぎないんですよね。反論としては「詩を作るより田を作れという諺があるが、健全な人間は詩も作りたし田も作りたいんだ」(長与善郎)
twitter.com/kasumi_girl/st…
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私は1992年から平清盛の「福原遷都」は「遷都」ではないと主張し続けてきたのですが、河内祥輔『頼朝の時代』が文庫(文春学藝ライブラリー)になったので改めて読み直してみたら、1990年初版の同書で著者が「福原遷都」ではなく「福原への天皇連行」と呼んでいるのに気付き、氏の過激さに改めて驚いた
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これはちょっと言っておかねばならないと思うのですが、邪馬台国の候補地のひとつとして有名な奈良県の遺跡を「纏向遺跡」だと思っている人がいるのですが、そんな名前の遺跡は存在しないのです。あれは「纒向遺跡」なのです。どうか考古学に関心のある人は間違えないようにしてください。
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博士の学位取得についてですが、大学院博士課程(博士後期課程ともいう)に進学して指導を受け、そこで博士論文を提出して博士号を受ける、という他に、日本には「論文博士」という優れた制度があります。大学院に進学しなくても、博士論文をまとめて大学に提出して審査を受け、合格したら学位授与。
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⇨そういえばエジプトの遺跡発掘で、「クレオパトラより古い時代の遺跡発見!」という報道がなされていて、ひっくりかえりそうになったことがあります。クレオパトラ7世は独立古代エジプト王朝最後の王。もちろんそれより新しい遺跡もありますが、普通エジプトの遺跡といって思い浮かべるのはそれ以前
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⇨東アジアの私たちは拓本ができる、しかし欧米人はできない。これは技量ではなく、資材の問題。要するに、拓本に最適の紙(画仙紙)と墨があるかどうか。強く、しなやかで、水を含ませると繊維が伸びて資料に沿い、乾くとそっと剥がれる紙。これは洋紙では不可能なんですね。東アジアの紙はすばらしい
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一次史料・二次史料についていくつかつぶやいてきましたが、史料批判の根本は実は変わらないのですよね。史料を書いた人に対して「この人、なんでそのことを知ってるのだろう?この人自身が体験したの?それとも他人から聞いたの?情報源は何?」と問いかける、という姿勢。
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古文や漢文は大事だというと、「愛国」とか「保守」とか「うるわしき日本の伝統」とか言っている人たちから「そうだそうだ!」の大合唱が沸き起こって当然だと思うのですが、ぜんぜんそういうきざしが見えないのはなぜなんでしょうね。愛国者は日本の古典には関心がないのかな。 twitter.com/info_history1/…
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なんかピントがズレてる。英文学や歴史学、哲学、社会学を専攻することがイコール「リベラルアーツ」だなんていうのは明らかに誤解。リベラルアーツは「幅広い教養」。教養の中にはもちろん英文学や歴史学や哲学もあるだろうが、科学・技術・工学・数学もある。
news.yahoo.co.jp/articles/84e69…
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「教員免許更新制」が、やっと廃止。末代まで日本教育史に悪名を残すであろう天下の愚策であった。教員の資質向上は自らの不断の努力によってなされるものであり、10年ごとの講習で保証されるわけがなかった。この制度の導入を推進した政治家や官僚は恥を知れ。
news.yahoo.co.jp/articles/7f7e7…
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世間には時々誤解があるので注意喚起しておきますと、書店に並んでいる本は(ごく少数の例外をのぞいて)書店の所有物ではありません。書店は、出版社から本を「お預かりして」売っている。したがって、売れなかった本は出版社に返品ができます。本が痛むと、その分は出版社の負担となります。 twitter.com/SIOJIEISOU/sta…
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これ、大いなる皮肉と反語ですよね。「選択と集中(≒当選する宝くじだけ買えば大儲けができるに違いない!)」に主原因があるというのは、研究者であれば一般的な認識ですからね。 twitter.com/toxtoxtoxtk/st…
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⇨室町幕府の三管家とは、足利将軍を補佐する「管領」をだせる、細川、斯波、畠山の三氏。いわば足利幕府のNo.2。そして、この畠山氏の跡目争いが11年にわたってグダグダグダグダ続いて京都に大きな打撃を与えた応仁・文明の大乱の主原因となります。
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⇨「市民の研究なんて、権威主義的な学会が認めるはずはないし、学術雑誌に載せてくれることなんてあるはずない」と思っておられる方もいますが、そんなことありませんよ。専門研究者であろうとなかろうと、良い研究であれば掲載してくれます(その学術雑誌を出している学会の会費は必要ですが)。
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石原慎太郎氏といえば、「日本橋」の景観が問題となった時、「橋をどっかに移したらいい。俺は作家だからこういうすごい発想ができる」と言ったことを思い出しました。「『あの場所』にあるからこそ日本橋」なんだということが理解できてなかったようで、なんだかなぁこの人、と思いました。