926
「斜め上」は新用法以前から誰もが(元の意味で)使っていたので、散発的にいろいろな用法が現れて不思議ではありません。その中には現在と似た用法もあったかもしれません。しかし、一定の人数の目に触れ、新用法が広まるきっかけは、現在のところ「レベルE」以外のものを挙げにくいのです。
927
ネット上では、味方のことはすべて褒め、仮想敵のことは一言一句批判するのが「作法」になっているけれど、仮想的を褒めたっていいと思う。皮肉で褒め殺すのでなく、心から褒める。で、「あれほどすばらしい仕事をするあなたが、こんなことを言うなんて信じられません」とやると、効果的ではないか。
928
『広辞苑』の平木靖成さんのご意見は以前から拝見していますが、いつもほぼ共感することばかりです。記事中「基本的に言葉には正しい/間違いはない」とあるのも平木さんの持論で、これを「権威」と目される『広辞苑』の中の人が発言するから説得力があります。recruit.co.jp/meet_recruit/2…
929
私は「了解いたしました」なら万全だと思いますが、今では「了解しました」「了解です」と言われても気になりません(いい加減)。これは私の個人的な語感であり、「気になる」という人の語感も尊重したい。ただ、基本は「『了解しました』と言うな(or言え)」と人に強要すべきでないということです。
930
「#今年の新語2020」の選評についてのご感想を拝見しています。複数の方から疑問を呈されたのは「まである」の説明。たとえば「DVD買ったまである」を「DVDまで買った」と解釈しましたが、これを疑問視するご指摘に、ぐっと詰まりました。〔続く〕dictionary.sanseido-publ.co.jp/shingo/2020/be…
931
NHK23日(金)23:45~「不可避研究中」に協力しました。〈辞書編さんのプロ・言葉ハンターに移り変わる言葉の悩みを相談!〉という部分で、少しだけVTR出演するかもしれません。「圧」を感じずにことばを使いたいものです。▽「何かと言いにくくて...圧 表現を考える」 - NHK nhk.jp/p/fukahi/ts/MK…
932
それはないです。性俗語を他の語と同様に「使われているから」という基準で国語辞典に取り入れていくと、性俗語辞典の様相を呈してくるので(何しろいくらでもあるので)、それは別の辞書に任せるということです。 twitter.com/cryptrhythm/st…
933
おっしゃるように、「健康回復」「疲労回復」の両様があることは、「名誉挽回」「汚名挽回」の両様があることを説明するために役立つと思います。 twitter.com/Syun_Toki/stat…
934
『三省堂国語辞典』にある「難しめのことば」の読みの解答編です。①「慇懃」だけは読めるという人が多かった印象。常用漢字外ですが、ことば自体はよく聞くからでしょうか。一方、②「矍鑠」もことば自体はよく聞くけれど、分かる人が少なそうだったのは興味深いことです。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
935
最近広まった「了解は失礼」というマナーに、皆を従わせるべきか。これは無理でしょう。「了解(いた)しました」を長年問題なく使い、愛着すら抱いている人々に、「最近失礼と言われているから」というだけの理由で、使用を禁止することはできません。
936
「ことばの選択の自由」についての私の平生の主張と、今回の提言との関係について説明しました。このほか、新駅名により、「高輪」が歴史の街としての集客を妨げられるなど、いくつかの問題点を提言では指摘しています。詳しくは、やはり全文をお読みいただきたいです。cek.hatenablog.jp/entry/2019/03/…
937
辞書編纂者は、ことばの変化を観察することに徹すべきで、「いい悪い」を述べたりして、変化にかかわるべきでない――と、これは、「お母さん食堂」の議論のなかで私が接した意見のひとつです。辞書作りの上で、ことばの「いい悪い」はよく問題になります。年の初めにちょっと考えてみます。〔続く〕
938
あることばを辞書に載せたからメディアなどで使っていいとか、載せてないから使うべきでないとかいうことは、編纂者としては1ミリも考えていません。少なくとも『三省堂国語辞典』はそう。早い話が、「うんこ」は『三国』に載っていますが、「うんこ、うんこ」と連呼する新聞記事は見たくないです。
939
940
現在の私は、この本の原著者に差別的意図はなかったと思いますが、今の子どもに与えるにあたっては配慮が必要だと考えます。現代ではSamboが「(侮蔑して)黒人」の意味になることひとつを取っても、小学校高学年ぐらいから、背景説明とともに与えるのが理想的ではないか。私の考えも変わりました。
941
「キュンです」は2020年代になって若い人が多く使い出しましたが、そもそも「きゅんとする」は緊張・寂しさ・懐かしさなどによる反応を広く指しました。それが1980年代にYMO「キミに、胸キュン。」で恋愛の要素が強くなった。最近、それがリバイバルしたわけです。#じぞ恋
942
King & Princeのメドレーを必死で追いかけ、「koi-wazurai」の歌詞の「キミと何万回もLove勝負(ゲーム)」「正解(こたえ)はKissで」という2つの当て字をゲットしました。「正解(こたえ)」は嵐「GUTS!」でも採集しています。ジャニーズ用語、ではないでしょうけど。
943
ネットスラングの「おまゆう」が近いのでは、というご意見が複数あります。ただ、これだと、BからA本人に逆襲する「そっちこそどうなんだ主義」と同じで、「Cだってやってるよ」と第三者のことをいう場合をカバーできないと思うのです。
944
945
「汚名挽回」についての指摘は、国語問題協議会監修『死にかけた日本語』(1976年)が早いと思います。読者の指摘を踏まえ〈「汚名をすすぎたい」とか「汚名を返上したい」とか言うべきであろう〉と述べます。その後、メディアの反応が早かったのは、同書で例示されたのが新聞記事だったせいかも。
946
『大辞林』第4版の語句訂正、「スーダン」の項目で〈黒人〉は〈アフリカ系〉になっています。編集姿勢の一端が推察されます。「恋愛」が〈男女が恋い慕うこと〉→〈互いに恋い慕うこと〉となったのはすでに指摘されているとおり。この手入れは『三省堂国語辞典』などもすでに行っています。
947
「かたい・やわらかい」アンケートへのご協力ありがとうございました。きっかけは、ある原稿で「硬い表現」と書いたところ、編集者から「普通『堅い』ではないか」と指摘され、意外だったからです。用語集の類では「硬い」で、私も「硬質・硬派の表現」のつもりで「硬」を使います。
948
1955年の〈『広辞苑』の初版が最初に「おっぱい」を収録した国語辞典〉という説の紹介を拝見しました(1)。出所は井上章一編『性欲の研究』かな。ただ、それ以前の辞書に「おっぱい」が載っているとの指摘はあります(2)。▽(1)本しゃぶり honeshabri.hatenablog.com/entry/kanroji-… ▽(2)黌門客 higonosuke.hatenablog.com/entry/20130710
949
平成年間は私のほぼ20代から40代に相当します。50代になった今、「次の令和年間に自分は何歳になるだろう、ことによると、次の元号を見ることなく終わるかもしれないな」としんみりした気持ちになります。これは平成を迎えたときにはなかった心境です。平成元年、やはり私は若かったのです。
950