飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(リツイート順)

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NHK「所さん!大変ですよ」(5/30)の内容がひどいと聞きました。番組紹介ページに〈元号の「令和」を〔略〕<れえわ>と読む人が多い〉〈口を横に広げてきれいに「い」と発音することができず、「え」のように発音する人が、若い世代を中心に増えている〉とあり、確かに音韻史の常識に反しています。
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小林多計士『ごきげんよう 挨拶ことばの起源と変遷』などによれば、「お疲れさま」はもともとは芸能人の間で階級抜きの挨拶として使われ、戦後に一般に伝播したようです。ただし、島崎藤村「破戒」には〈『おつかれ』(今晩は)〉という農村の挨拶があり、起源はけっこう古いらしい。
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「事実じゃなくても、面白ければいい」「そうだそうだ」みたいな意見が普通に聞かれるようになりました。「フェイクニュース」「アナザーファクト」といった新語が出現したのと時期が重なっているようにも思います。「それは事実ではない」という指摘が軽んじられる社会にはなってほしくないです。
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「違和感を感じる」は重言だと言って、機械的に「違和感を覚える」に言い換える例が多い。表現の幅を狭めている気がします。「覚える」以外にも「違和感がある」「違和感を持つ」「違和感が生じる」など多彩な表現があるし、そもそも「違和感を感じる」や「歌を歌う」だって使っていいじゃないですか。
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おげんさんが「紅白もこれからは性別関係なく混合チームで行けばいい」。深い発言です。昔、紅白が驚異的な視聴率を誇り成功したのは、男女が互いに張り合う気持ちが今より強かったからだと、私は見ています。昔の紅白の録画を見ると、男女がマジでけなしあってるんです。今は意識は変わったかな?
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差別発言を陳謝するとき、「不愉快な思いをさせて申し訳ない」と言うことがあります。相手を不愉快にさせてはならないのは当然ですが、ポイントはそこでない。差別発言の本質は、不当に人の可能性や自由を奪ったり、奪う可能性を生じたりすることにあります。そのことについての責任を表明すべきです。
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「中抜き」は「中間業者を飛ばす」が本来で「中の者が中間マージンを取る」は誤用だという議論がSNSで盛り上がっていますが、2000年の時点での朝日・読売・毎日の記事を見ると、どちらもあります。「スリが財布の中身を中抜きする」の意味もあり、「昔からいろいろあった」と考えておきます。 twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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元日の新聞に載った三省堂の広告。4種類の国語辞典が、もし「ばえる(映える)」という新語を説明したら、どんな違いが出るか、楽しんでもらえるのではないでしょうか。「辞書には個性がある」を端的にアピールする広告です。
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10月のドラマ(複数)の画面から。終戦以前が舞台なのに、まったくの現代仮名遣い・新字体で書かれた文字に多く遭遇します。「表記を間違える」というレベルでなく、「昔は表記が違った」ということを知らないスタッフが増えている可能性があります。どう書けばいいかは、辞書でお確かめください。
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「蔑視」「差別」は発音も似ていて、混同されやすい。軽蔑の心を持ったり、ことばに表したりするのが蔑視です。一方、差別は行動や待遇の問題なので、上品な表現でも不当な扱いにつながれば差別です。差別発言はよく「蔑視でない」「悪意はない」と言われますが、礼儀正しく差別することはありえます。
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ことばの歴史が分かる『精選版 日本国語大辞典』がコトバンクで引けるようになりました。これまで、ネット上には、ことばの意味を載せる無料辞書は2、3種あったけど、歴史を載せる無料辞書がなかった。「このことばはいつから、どんな文献に現れているか」といった知識が、これで公共物になりました。
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各種国語辞典が「お疲れさま」は目上に(も)使うと記す中、『新明解』(旧版)は「目上の人には用いない」とあり、異例です。このことも記しておきます。昔の語感で説明しているのかもしれません。現在、「お疲れさま」を目上に用いてOKという辞書は多く、この用法を不可とするのはやはり酷でしょう。
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若い著者の文章で、全体としては自由なことばの使い方をしているのに、いわゆる「誤用」として有名な語句だけ、妙にマニュアルどおりに使っていることがあります。「ならば問題ないだろう」と言われそうですが、ラフなことば遣いの兄さんが、時々急に敬語になるような不思議な感じがあります。〔続く〕
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小1の時、作文で「お父さん」と書いたら、先生が「父」を漢字で書いてはいけないと赤字を入れた。「よく見る字なのに」と不満でした。今にして思う。教員の大人の事情で「教えない事項」があるのは分かるけど、子ども本人に「学んではいけないことがある」とのメッセージを与えるのはまずい。〔続く〕
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「ネギトロ」の語源は「ねぎ取る」からではない、と断言しておきます。以前「疑いの余地がある」と述べましたが、その後、ウィキペディアの記述も消えないばかりか、むしろ「通説であり」などと表現が強くなってる。通説なわけはなく、俗説を書いた本があるにすぎません。twitter.com/IIMA_Hiroaki/s… twitter.com/IIMA_Hiroaki/s…
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>RT 「チコちゃん」の放送は見ていませんでしたが、「湯船」が実は平安時代からあるというのは疑いようがないですね。「諸説あると注意書きしてるのでセーフ」という反応もありますが、こういうのは「諸説」では逃げられない。ていうか、「諸説あります」を逃げるために使ってはいかん。
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森会長の発言について「自分は女性だが、そのとおりとしか思えない」「そんなに女性蔑視かなと、女性の自分は思う」との意見があります。「友人の女性たちは、みんな長話をする」と個人が発言したのなら、必ずしも問題になりません。でも、決定権のある立場の人がこれを言うと、差別発言なんです。
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やばいでしょう? twitter.com/kaichosanex/st…
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「受け付け」「受付け」「受付」の区別について、ネット上に不正確な情報が広まっているようなので、より正確なところをまとめました。なぜか暮れも押し詰まってからの発言です。「受付け」は「受け付け」の単なる送り仮名節約であって、用法の区別を考える場合は無視してもけっこうです。
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子どもの時、本心でない、きれいごとの作文を書くことに罪悪感を持ったという人がいます。でも、きれいごとが矛盾なく書けたということは、そのきれいごとの論理を理解したということで、悪いことではありません。自分の考えと異なる考え方を理解するトレーニングになっています。
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「酒池肉林」を性的に乱れたニュアンスで使うのは誤用かどうか、という議論がありました。「辞書にないから誤用」との意見もありますが、辞書の作り手としては、むしろ「このニュアンスの用法を辞書に載せてなかった!」と敗北感に浸ります。実際には複数の用法があると理解すべきです。(続く)
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「宿題忘れてた、ガーン」のような、驚きの「ガーン」を、若い世代が使わなくなったといわれます。ツイッターで、「宿題」「ガーン」で検索すると、宿題と縁の深い若い世代の人が「ガーン」を使う例が拾われます。その件数を見ると、確かにここ数年減少しています。
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なお『三省堂国語辞典』の「眉をひそめる」を見ると〈①いやそうな顔をする。眉をしかめる。 ②心配そうな顔をする〉で、カバーする範囲は広いです。また、辞書には文字どおりの意味(「窓から手を出す」の「手を出す」など)はありません。「眉をひそめる」は単に眉にしわを寄せるときにも使います。
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新聞の読者から「日本語の乱れを憂いています」という長文のご感想。「憂え」の変化「憂い」からできた「憂いる」は『三省堂国語辞典』にも載せたし、私はOKだと思いますが、この方にとっては乱れた日本語ではないのかな?と余計な心配をしました。「乱れ」というのは本当に主観的なものです。
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6月11日 22:25~のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演します。私を含めた「辞書を作るひと」の現場がご覧になれます。「言葉の海で、心を編む」とはどういうことでしょう。予告動画では、私がちょこまか動き回る場面が集められています。本編もどうぞご覧ください。www4.nhk.or.jp/professional/x…