飯間浩明(@IIMA_Hiroaki)さんの人気ツイート(古い順)

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「やぶ医者」のフェイク語源については、ながさわさんの文章が詳しいです。「この差って何ですか?」以外にも、BSジャパン「空から日本を見てみよう+」、NHK「チコちゃんに叱られる!」で放送されたようですね。fngsw.hatenablog.com/entry/2018/05/…
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語源については複数の説があるのが普通です。明らかに非合理な説は排除する一方、合理的なものはそれなりに評価するのが学問的態度です。テレビ番組で、その合理性の評価を放棄し、「※諸説あります」と表示してすますことがありますが、事実を探求する姿勢ではない。語源の話にとどまりませんね。
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ネットでの議論は、罵倒や嘲笑など、話を前に進めるのを妨害する要素が混じりやすい。そういう要素は「贅言(ぜいげん=むだなことば)」として消去するのが有効です。要は「悪口は無視しよう」ということなんですが、大切な手続きであることを強調するため、「贅言消去」と硬く表現してみました。
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「贅言(ぜいげん)」というのは、本来は「理由については贅言を要しない」のように、「わざわざ言わなくていい、むだなことば」の意味です。罵倒・嘲笑などを「贅言」というのはやや変かもしれませんが、「議論に必要のないことば」という意味で、そう名づけました。
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時事問題などに関するSNS上の発言を読みながら、罵倒・嘲笑などの「贅言」を消去していくと、後に何も残らない、という発言も多くあります。そうした発言を読むのは、まさしく時間の浪費です。「贅言消去」の習慣が身につけば、有益な議論を選んで読むことが自然にできるようになります。
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〈カレー問答〉1 「カレーライスを作りたいのですが、ご飯がどうしても軟らかく炊けてしまいます。もっと固めに炊きたいのですが、どうしたらいいでしょうか」 「あなたは軟らかいご飯を否定するんですか。世の中には、固いご飯が食べられない人だっているんですよ」
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6月11日 22:25~のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演します。私を含めた「辞書を作るひと」の現場がご覧になれます。「言葉の海で、心を編む」とはどういうことでしょう。予告動画では、私がちょこまか動き回る場面が集められています。本編もどうぞご覧ください。www4.nhk.or.jp/professional/x…
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子どもが作文嫌いになる理由のひとつに、書いてはいけない(と本人が思う)ことが多すぎる、ということがありそうです。学校行事のことを書くにしても、「つまらなかった」なんて書くのはとんでもない。空気を読み、優等生的な文章を書きたい。でも、書けない。それで悩む、という子が多いのでは。
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作文教育では、子どもが思ったこと、考えたことを素直に書かせようとします。「何を書いてもいいんだよ」と。空気を読まず、教師や友だちの評価を気にせずに、考えたことをどんどん書けば、それはとてもいい訓練になります。でも、「空気」に支配されている子どもに、そんなことができるでしょうか。
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作文を書くのは苦手だという人でも、学校外では、進んでSNSに書き込み、言いたいことを言う、という人も多いはず。皮肉にも、学校の外で文章修業をしているわけです。匿名で書けるとか、成績に関係ないとか、いろいろ理由が考えられます。この雰囲気を文章教育の場に持ち込めないでしょうか。
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作文には、何も本心を書く必要はないので(!)、ひたすらきれいごとを並べるのも、文章の訓練法としてはアリです。「思ったことを書きなさい」と言われて困る子に、「じゃあ、いかにもいい子ちゃん的な文章を書こうか」と、いい子キャラになりきらせる方法もある。これで成功したこともあります。
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子どもの時、本心でない、きれいごとの作文を書くことに罪悪感を持ったという人がいます。でも、きれいごとが矛盾なく書けたということは、そのきれいごとの論理を理解したということで、悪いことではありません。自分の考えと異なる考え方を理解するトレーニングになっています。
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自分の意見と正反対の意見を言ったとして、その論理に破綻がなければ、それもまた、自分の力で作り上げた自分の意見です。ある学校行事を無意味と思う人が「有意義だった」と書くためには、「これこれの点でたしかに有意義だ」と認める必要がある。それはつまり、物事を多角的に見るということです。
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『朝日新聞』に国語辞典に関するロングインタビューが掲載され、さっそく読者の方から反応をいただきました。中に、「自分は日本語を正す活動をしている。ぜひご協力を」といった内容のものが複数。「日本語を正す」という考えに疑問を呈したはずなのですが、そこを読解していただけなかった模様です。
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新聞の読者から「日本語の乱れを憂いています」という長文のご感想。「憂え」の変化「憂い」からできた「憂いる」は『三省堂国語辞典』にも載せたし、私はOKだと思いますが、この方にとっては乱れた日本語ではないのかな?と余計な心配をしました。「乱れ」というのは本当に主観的なものです。
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私は「難しいことをやさしく」述べることを目標にしていますが、それを実現するのは本当に難しいですね。自分では「これでいい」と思っても、なお「難しい」と言われる。難しいことを難しく述べるのは誰にでもできます。分かりやすく述べるのは書き手・話し手の義務だと、自らに言い聞かせる毎日です。
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ウィキペディア「エモい」に、「『ヤバい』と似た使われ方をされる」と飯間が言っているような記述があります。「そんなこと言ったかな」と思いました。どうやら元記事をウィキペディアの書き手が誤読したようです。「ヤバい」は新用法にも「危ない」の意味が残っていて、「エモい」とは異なります。
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『サクっと書けちゃう!文章レシピ60』が新星出版社から発売されました。山田由佳さんとの共著です。メールや企画書、報告書など、業務でやむを得ず書く文章も、ちょっとした工夫で格段に伝わるようになります。どうぞ、寝転んでぱらぱら眺めてください。『「伝わる文章」を書く技術』の新装版です。
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10月のドラマ(複数)の画面から。終戦以前が舞台なのに、まったくの現代仮名遣い・新字体で書かれた文字に多く遭遇します。「表記を間違える」というレベルでなく、「昔は表記が違った」ということを知らないスタッフが増えている可能性があります。どう書けばいいかは、辞書でお確かめください。
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ドラマの美術スタッフに望みたいのですが、ぜひお手元に国語辞典を備えて、終戦以前が舞台のドラマで文字を書くときは、そのつど確認していただきたい。便利なのは『角川国語辞典』です。1969年の初版以来、内容をほとんど変えていない大胆な辞書ですが、旧表記の表示がたいへん親切なのです。
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昔のドラマに出てくる文字を旧表記に忠実に書けば、時代考証的に正確になるだけでなく、ドラマの昔っぽい雰囲気を大いに盛り上げるはずです。衣服や家具調度とともに、文字というものは、その時代を明らかに映す大事な小道具です。ちょっとした表記も重要視してほしいのです。
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「地下鉄」の「鉄」は、昔も略字の看板がありえたのでは、というつぶやきを目にして確かめたら、実例がありますね。たとえば、下は昭和3年の東京地下鉄上野広小路駅入口の写真(「大林組百年史」)。「地下鉄」の例は私のフライングだったと、おわび申し上げます。 obayashi.co.jp/chronicle/100y…
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戦前の横書きで左から書く例(左書き)はあるのか。これは多かったようです。浅野信『巷間の言語省察』(1933)は、街で左書き・右書きが混在することを批判します。ただ、丸ビルの窓の文字は、同書執筆の4年前には両方式が混在していたが、執筆時点では「皆一様に右書きになつてゐる」とのことです。
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郷里の香川県にある高松東高の新聞研究部から依頼を受け、「辞書の使い分け」についてコメントしました。私の話はともかく、全体として貴重な記事なので、ご関心のある方にご覧いただきたいです。生徒氏名を削除した版の公開許可を得ました。東高新聞研究部のみなさん、ありがとうございました。
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戦中のドラマに「地下鉄」(鐵でなく)とあるのを批判したところ、「戦前も『鉄』の例はある」とご指摘を受けました。戦前の漢字の多様性は知っているつもりでしたが、「手書きや広告はともかく、公共の表示は正字だったろう」との思い込みがありました。公共の表示でも略字があったことを学びました。