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兎も角、日本の研究者が、というより日本語の話者が、日本の資本主義同様、日本語という最大最強の非関税障壁に守られているのは確かで、グローバル資本主義は必ずこの非関税障壁をぶち壊しにくるし、現に来ている。アメリカ人みたいに英会話ができるようになりましょう、みたいなのはその尖兵だろう。
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ともあれ、ゴーンの逃亡・私闘で日本の司法がより「人権尊重」するようになるなら(しかしどうしたらそんなことが可能だろう)、けっこうなことだろう。悲しいかな、「人権尊重」と資本主義のグローバル化が手を携えて進むことのこの上ない例証でもある。
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かっこよかった。長塚京三がソルボンヌで論文書いてたのは知らなかった。モリエール、ル・サージュ、ボーマルシェなんて、古典喜劇の王道だ。でも言われてみれば、留学中にフランスで役者やったりした人、ポスト68年世代の仏文学者にはちらほらいると思う。
koken-publication.com/archives/1883 @koken_Editより
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坂本龍一没。
文学や哲学・思想とポップカルチャーが重なりあっていることがなんの不思議でもない、ポスト68年的風土を一人で体現しているような人だった。しかし、我が心の文化英雄たち、消え去るの早すぎる。 twitter.com/ryuichisakamot…
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思想・文学研究で「最新の研究」を参照せよとはあまり言わない。特にこの20年は世界中、粗製濫造論文が多いし、そもそも見ておかなければ成り立たない「最新の」論文などそうない気がする。むしろある問題について、どれくらいの「幅」と「深さ」で考えられるかが勝負だろうと思ってきた。
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実際、合衆国やオーストラリアでは、先住民に対する「賠償額」を決定するために、歴史学者や法学者が動員されたりしている。そこで歴史学は過去の事実の探求というより、現在における「条件の平等」を整えるための、補助金支給額決定のための「計算」である。
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話題の東出昌大、なにしろ絵に描いたような善人顔の美男なので、コノヤローと嫉妬をたぎらせる向きがあるのも分かるけど、父親の不倫を絶対許せぬという女を妻にしながら、フラフラッと則を超えてしまうところ、実に人情味があってむしろ愛すべきだと思う。さすが落語ファン、とでも言いたくなる。
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小松左京は、山村工作隊の武装闘争路線時代に共産党にいたので「傾倒した」どころじゃないんだか、小松と同時期の京大伊文というと、後にグラムシやマキャヴェリ研究で知られる藤沢道郎がいる。56年のスターリン批判後、小松がSFに「転向」する傍ら、藤沢はイタリア共産党流の構造改革路線に移る。 twitter.com/ven12665/statu…
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京大「変人講座」。京大ではしばらく前から電通入れて広報戦略練っており、あれもまたどうせその辺の入れ知恵である。一方で広告代理店介して「変人」ぶりを売りにしつつ、他方で、教員や学生を公然・隠然に処分するのが、今風の「自由の学風」だ。実に自由闊達な権力行使である。
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京都で戦争と言えば、WWIIではなくて応仁の乱、とかよく言われるが、私が京都で聞いたことのある「戦争」と言えば、蛤御門の変と、会津小鉄vs.山口組の「京都戦争」である。「応仁の乱」云々は、いずれも現実の武力闘争を隠蔽するためのダミーだと思う。
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学術会議任命問題。法的に学者の代表権を持たされている団体が会員に推薦した人間を、政府が従来の法解釈、内閣答弁も無視して、任命しなかったとなると、この事実だけとってみても明らかな学者共同体に対する挑発である。
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司書は国家資格なのに、本当にひどい扱われようだ。特に司書には極端なほど女性が多く、大学卒の女性たちの一定層にとって、マッチョな日本の企業文化とは離れたところで一定の収入が見込める「よい仕事」だったんだと思う。そのままでいいとは言わないが、司書の削減はそういう仕事の削減でもある。
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京大人文研図書室には西川長夫・祐子夫妻が68年5月にパリで立ち会って収集した、当時の機関誌・新聞・ビラetc.が所蔵されており(「パリ五月革命文庫」)、ウェブ上で全頁閲覧可能(仏語)。各媒体については市田良彦の周到かつ簡潔な解説も。zinbun.kyoto-u.ac.jp/~archives-mai6… …
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「若者が先達の営為を知ろうが知るまいが、それでも、若者は、いかなる人文知よりも思想史研究よりも文学が大切なものであることを銘記しておくべきである。学問も政治も、人生に寄生するものにすぎない。学問も政治も、人生の前に跪くべきものなのだ。・・・
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かくして、文明開化の論理の終焉とともに、我らが極東の島国の大学は、もはや御雇い外国人さえ雇えない後進国への「逆コース」をひた走るのであった。ーこれ何の弁証法?
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ひとり司祭が、残念なことだが、しかし現世的なモノには起こることで、だからこそ、キリスト教では「人こそ礎 pierre humaine」と言うのです、とコメントしていて、ちょっと心を動かされる。
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この前、パリの日本人学生に聞いたかぎりでは、円安はたしかにきついが、年間50万円の学費と高い家賃を払わされる東京より、学費も安く、外国人にも居住手当が出るパリの方がまだ安くつくということだった。逆に言えば、日本(東京)で勉強を続けることがどれほど学生にとって苛酷かということだ。
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クレーマーの言った者勝ちを許してはならない。津田大介の話は今こそ聞く価値があるに決まっているじゃないか。 t.co/LYwp4HBfN4
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政府答弁の如何にかかわらず、ここで実際になされているのは、政府と相容れない政治的立場に立つ学者たちに対する「嫌がらせ」であり、学者たちに対する「見せしめ」「威嚇」である。つまり国家による学問・言論の世界への露骨な権力行使である。
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しかしなあ、大江健三郎は、たしか小林秀雄伝来の、ある作家を読むときには全部読め、という教えも忠実に守っていたのだから、そこいらの下手な専門家などとても立ち打ちできないくらいたくさん本を読んでいるんだよな。 twitter.com/kunitachiman/s…
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いい文章だった。
大学の文学教師にできることなど、知的なすれっからしたちが生き延びていくために、つかのま同伴者になることでしかないのだから、こうして鈴木涼美に感謝されたら、教師としてはもう言うことないんじゃないかな。
@gendai_biz gendai.media/articles/-/109… #現代ビジネス
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あえて下品に状況論的に言えば、いまどきの政治勢力の「分断」は、いまや誰も、大江健三郎ほどの振り幅の広さを一つの作品の中に織り込む言葉を書けず、またそれを読めなくなっているからじゃないだろうか。その意味で「戦後」の支柱が失われたのを感じる。
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だが今般の円安のせいで、日本の大学の給料は私学でも、比較的低給で知られるフランスの大学より低賃金になった。レーヴィットのように今の日本に亡命してくる人も少なかろうし、「シーニュの帝国」流の神秘化のオーラもいまや昔。こうなると、日本で優れた外国人学者が教えるのはどんどん難しくなる。
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共産党政権崩壊後、かつてナチに担がれた昔の王様が帰ってきて、こいつが旧共産党と組んで政権を握ったという、驚くべきブルガリア現代政治の話も。空港までの幹線道路を走りながら、八九年にはここに百万人も人が出たんだ、としきりと言っていた。
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フランスの大学教員養成校ENSは、年300人程度しか入学できない狭き門だが、学費がないどころか、在学中4年間は給料が支払われる。その代わり、卒業後6年以上公職に就く義務がある。できる学生にカネ出して国家に奉仕させるので、学生に借金を負わせて労働を強いる今時の日本よりよほど合理的だ。