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フランス暴動、人種や郊外の問題として語られるが、問題はまず、マクロン政権下の警察力行使による死者の飛躍的増大だ。2017年以来86人、この2年に44人。同期間、日本の死刑執行数が各26、4であるのを思えば、フランスの警察の弾圧がどれほどひどいか分かる。
politis.fr/articles/2023/…
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この前、パリの日本人学生に聞いたかぎりでは、円安はたしかにきついが、年間50万円の学費と高い家賃を払わされる東京より、学費も安く、外国人にも居住手当が出るパリの方がまだ安くつくということだった。逆に言えば、日本(東京)で勉強を続けることがどれほど学生にとって苛酷かということだ。
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フランスの学者は日本の学者ほど本を買わない。共和国の大学教師は薄給だし、図書館が充実していて、もっぱら図書館を使う。日本では図書館が貧弱で、学者がずっと「舶来もの」を参照してきたので、必要になりそうな本を買い集める習慣ができたのだと思うが、いまやフランス人より薄給だからな。
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ラカンによれば、日本語話者には精神分析はいらない。その一つの理由が、漢字かな交じりの音読み・訓読み並列システムであり、もう一つの理由が「礼儀作法」、つまりあらゆる発話を、誰が誰に対して語るかを社会的・言語外的なコードを参照して規制するシステムだった。
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フランスの友人から、近年のフランスにおける大学の授業料値上げ、とりわけEU外の学生を狙ったそれは、もっぱらマグレブやフランス語圏のアフリカ諸国からの留学名義での事実上の移民を制限するという、半ば露骨な移民排外政策であると聞く。
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日本語では「国民nation」という言葉が人間集団を指すこと、これが「国家State」とは異なること(対立概念でさえありうること)さえ一般常識になっていない。「人民」という言葉の忌避にしても、政治的主体になりうる集団に名を与えることそのものが組織的に抑圧されているのだと思う。
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ふと思ったが、最近の英語論文がやけに平明なのは、外国語話者が英語で書いているのみならず、校正ツール導入による規格化もあるのかもしれない。ヒュームからポーコックまで、英語の文章はフランス語以上に長く複雑で(こちらの読解の技量はさておき)、本来決して平明ではなかったはずなんだが。 twitter.com/yktlavie/statu…
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いい文章だった。
大学の文学教師にできることなど、知的なすれっからしたちが生き延びていくために、つかのま同伴者になることでしかないのだから、こうして鈴木涼美に感謝されたら、教師としてはもう言うことないんじゃないかな。
@gendai_biz gendai.media/articles/-/109… #現代ビジネス
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身分制社会の解体後、近代社会で人間は「何者かになる」ことを強制される。若い人が感じるプレッシャーは大抵そこから来る。カントの教えにもかかわらず、「大人」になることは「世界市民」になることどころか、分業体制の一齣になることであり、「社会」に出ることは「会社」に入ることと同義なのだ。
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じゃあ今度一つ、自民党の党内人事に共産党から外部委員でも招いて選考してみたらいい。 twitter.com/okisayaka/stat…
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大江健三郎にしろ、坂本龍一にしろ、自分が知っている、おそらくは近代日本の一番良い時期にはっきりと刻印を残した人たちが一気にいなくなってしまった。
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坂本龍一没。
文学や哲学・思想とポップカルチャーが重なりあっていることがなんの不思議でもない、ポスト68年的風土を一人で体現しているような人だった。しかし、我が心の文化英雄たち、消え去るの早すぎる。 twitter.com/ryuichisakamot…
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結局、任命問題に端を発する政府・自民党の学術会議に対する一連の攻撃、ただただ、大学における軍事研究の展開のためだったということか。きな臭い、嫌な話ばかりが続くな。
nikkei.com/article/DGXZQO…
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この教科書でフランス語を習い、例文を丸暗記したせいで、今でも私は第五共和制憲法冒頭や、フローベールの恋人宛の書簡や、クローデルのボードレール評などを諳んじることができる。蓮實重彦担任のクラスでは、最初の第五共和制憲法の部分だけは、学生を一人一人研究室に呼んでテストしたものらしい。 twitter.com/consaba/status…
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あえて下品に状況論的に言えば、いまどきの政治勢力の「分断」は、いまや誰も、大江健三郎ほどの振り幅の広さを一つの作品の中に織り込む言葉を書けず、またそれを読めなくなっているからじゃないだろうか。その意味で「戦後」の支柱が失われたのを感じる。
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大江健三郎が「戦後民主主義」という符牒に収まりきれない人なのは小説を読むとすぐ分かるが、同時に、大江さんが極右から極左までのテロリスト的欲望の「正統性」を承認しさえしながら、「戦後民主主義者」を標榜したおかげで、「戦後民主主義」自体が随分懐を広げたところがあったと思う。
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大江健三郎没。間違いなくWWII後最大の小説家が亡くなった。でも、周期的に自殺の観念に取り憑かれていた人が、こうして天寿を全うされたのだな、とも思う。大江健三郎ほど、読むこと、書くことが生きることだと教えてくれた小説家はいなかった。
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日本語は、キャンベルさんがいう言文一致のみならず、WWII後の国語改革でも分断されていて、江戸時代はおろか、いまやWWII前の日本語を読むことも難しい。それが「貧しさ」であることさえ、今の日本語読者には感じることが難しい。
ibm.com/blogs/think/jp…
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モンテスキューとルソーを中心に、立法者の形象に焦点を当て、政治論と歴史論の核心を取り出そうとした書物です。
「気鋭」は「労作」など書かないのではないかという疑いが拭えませんが、『法の精神』、『不平等起源論』、『社会契約論』を読み直すきっかけとなれば幸いです。 twitter.com/UN_Press/statu…
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このニュースで、東京芸大の現学長が日比野克彦であることを知って驚く。
この藝大の惨状にせよ、国立大学法人の卓越大学構想にせよ、「帝大解体」はいまや国家と資本の主導で加速度的に進行している。
news.yahoo.co.jp/articles/47c2a…
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かっこよかった。長塚京三がソルボンヌで論文書いてたのは知らなかった。モリエール、ル・サージュ、ボーマルシェなんて、古典喜劇の王道だ。でも言われてみれば、留学中にフランスで役者やったりした人、ポスト68年世代の仏文学者にはちらほらいると思う。
koken-publication.com/archives/1883 @koken_Editより
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フランスの大学教員養成校ENSは、年300人程度しか入学できない狭き門だが、学費がないどころか、在学中4年間は給料が支払われる。その代わり、卒業後6年以上公職に就く義務がある。できる学生にカネ出して国家に奉仕させるので、学生に借金を負わせて労働を強いる今時の日本よりよほど合理的だ。
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女性の哲学者が普通にいるフランスでも、女性の哲学者は美学・道徳哲学・政治哲学・フェミニズムに集中していて、認識論・科学哲学・形而上学となると、がくんと数が減る。逆に、圧倒的に女性が多いのが文学と精神分析。あれはどういうことなのかね。 twitter.com/gubibibi/statu…
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昔、酒場で遭遇した西部邁が「同性愛者が隣に引っ越してきたら俺は引っ越す」と言った端からプラトンを云々するので、カチンときて、「プラトンも同性愛者ですけどね」と半畳入れて席を立たせたことがあった。褒められたもんじゃないが「俺は引っ越す」というのは、西部さんなりの慎みでもあったな。
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大学まで行った人間には日本語と英語以外にもう一つくらい言語を身につけておけ、というのは、中長期的に見て「国益」に適っているはずだけどな。日本語と英語だけで済む世界に住んでいる植民地エリートの言うことだけ聞いていたって、その世界がいつまでもつかは分からない。保険みたいなものである。