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学術会議問題、首相・政府の学術任命に関する恣意的権力行使という政治問題こそが焦点であるのに、いつのまにか学術会議のあり方について、科学技術大臣と学術会議会長が「真摯に」話し合いを続けるさまを呈しているのは一体なんなのか。
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フランスの学者は日本の学者ほど本を買わない。共和国の大学教師は薄給だし、図書館が充実していて、もっぱら図書館を使う。日本では図書館が貧弱で、学者がずっと「舶来もの」を参照してきたので、必要になりそうな本を買い集める習慣ができたのだと思うが、いまやフランス人より薄給だからな。
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大江健三郎にしろ、坂本龍一にしろ、自分が知っている、おそらくは近代日本の一番良い時期にはっきりと刻印を残した人たちが一気にいなくなってしまった。
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この記事、文学教育擁護派さえ、エリート教育の手段位のことしか言えていない。いずれ、国文学がもはや国民的同一性の核ではないことの反映だろう。島と日本語に守られた我が国では、放っておいても国民は統治され、働くものと、支配層は高をくくっているわけだ。
diamond.jp/articles/-/245…
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京大は総長選挙、自由投票抜きで、一次選挙から選考会議が示した候補者(何かスゴいメンツである)のなかから一択の形式になったのか。「自由の学風」はどこへやら、どんどん単なるベンチャー系地方大学になっていくな。
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かつてバルトやフーコーがたびたび日本に来て「現代思想」ブームを後押ししたひとつの理由は、仲良しのモーリス・パンゲが駒場で教えていたからだった。アルチュセールとも近しかった人(学生の頃、駒場東大前の駅で見かけた。退官前の最後の年)。そんな事態は、余程の偶然がない限り再来しまい。
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以前、京城帝国大学について少し調べた。内鮮一体を謳いながら、朝鮮系は文系では教授になれず、マルクス主義系と目されると、クビでなければ、満州に飛ばされる。唾棄すべき帝国主義大学だが、いっそう切ないのは、WWII後、北に渡った朝鮮系の卒業生たちの消息が、ほとんど絶えていることだった。
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だが、アフリカ諸国が欧米諸国に奴隷制の賠償を求める運動については、いつもどうなのか、と思う。それは「とりかえしのつかない」出来事を、現在の収支の観点から、「賠償」で「なかったこと」にすることではないか? 歴史の「贖罪」=「買い戻し」は可能なのか? 悪事は金で買い戻せるのか?
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この状況で、日本でだけ検査数を減らして、感染者少ないからオリンピックできます、って主張しても通らないよな。それで通ると信じているとしたら、国内政治を夜郎自大と世論操作でやり抜ける悪いクセで、安倍政権は頭がボケてるとしか言い様がない。 twitter.com/akomaki/status…
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文学部で仕事するまで知らなかったが、実際、文学部はたくさんの小さな研究室=専門分野の寄合世帯で、哲・史・文・行動科学系の間にまず交流はない(誰も人文諸学一般のことは考えていない)。しかも(なんとなく異種だと思っていた)行動科学系でも、社会学と社会心理学では全く傾向が違うのだった。 twitter.com/yoh_heidegger/…
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ブラタモリ、お前もか。「仁徳天皇陵」などと呼ばれたのは昔、いまや小学校の教科書にも「大仙古墳」と記載されているというのに、ニントクテンノーリョー、ニントクテンノーリョーと、神話・風説の類をTV電波で垂れ流すこと甚し。NHKの忖度報道である。タモリも古墳ファンならひとことあるべきだろ。
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結局、任命問題に端を発する政府・自民党の学術会議に対する一連の攻撃、ただただ、大学における軍事研究の展開のためだったということか。きな臭い、嫌な話ばかりが続くな。
nikkei.com/article/DGXZQO…
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『蛍の光』は環境型権力の最たるもので、昨年も学園祭管理強化を進める某大学で、閉会時刻に『蛍の光』が大音量で放送されると、大半の学生たちがスゴスゴ帰り支度をするのを見て、パブロフの犬を思わされた。条件反射に陥らずにいるには一種の「狂気」がいるのだが、そんなやつはすぐ「逮捕」である。 twitter.com/zerojirou/stat…
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女性の哲学者が普通にいるフランスでも、女性の哲学者は美学・道徳哲学・政治哲学・フェミニズムに集中していて、認識論・科学哲学・形而上学となると、がくんと数が減る。逆に、圧倒的に女性が多いのが文学と精神分析。あれはどういうことなのかね。 twitter.com/gubibibi/statu…
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フランスの友人から、近年のフランスにおける大学の授業料値上げ、とりわけEU外の学生を狙ったそれは、もっぱらマグレブやフランス語圏のアフリカ諸国からの留学名義での事実上の移民を制限するという、半ば露骨な移民排外政策であると聞く。
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たしかに、福田恆存とか、江藤淳とかいった物書きや学者たちが、内調から金をもらって世論形成に励んでいたときの方が、同じ役割をメディア芸人や太鼓持ちが担っている今よりも、多少なりとも「お上品な」世界ではあった。
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これ「民営化」というから分からないが、教皇は水の「私有化」「私有財産化」一般に反対している。水道事業の民営化もダメなら、飲用水の販売もおかしい、そもそも水を私有財産にすることなかれ、だ。日本の新聞はほんとに「ブル新」である。 twitter.com/intheblue_1995…
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ちょっと真面目に言うと、文系の学者がブルジョワでなくても務まるようになったのは、70s以降のことなんじゃないかと思う。自分自身も含め、資本も文化資本もさしてないのに、学者になれるようになった。ある意味、幸福な時代。今はまた、旧体制に復しつつある気もする。
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天皇制とは、政治的対立にフタをする巧妙な装置だと思わされるのはこういうところだ。どれだけの対立があり、闘争があっても、最終的に「日本国と日本国民の統一」は「象徴」されることによって維持される。悪いのはせいぜい「君側の奸」である、と。 twitter.com/Tshmz/status/1…
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大学まで行った人間には日本語と英語以外にもう一つくらい言語を身につけておけ、というのは、中長期的に見て「国益」に適っているはずだけどな。日本語と英語だけで済む世界に住んでいる植民地エリートの言うことだけ聞いていたって、その世界がいつまでもつかは分からない。保険みたいなものである。
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少なくとも人文系で、英語で読んで英語で書けばよろしいみたいなこと言うのは、ただでさえか「恵まれた」条件を享受している、(人種・ジェンダーを問わず)「ヤンキー」どもに、もっと楽させることにしかならない。そんなことは、北米大陸の陸の孤島でやっておけばよろしい。
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『内閣調査室秘録』。協力者に福田恆存、江藤淳、村松剛等の名が見え、やはり残念。「反共」はもとより、核問題と60〜70s学生運動の比重の大きさに刮目する。批評家・評論家から、人文系大学人までが「役に立った」のは、自民党政権が激しくイデオロギー戦を闘っていた時代だったのだなと再確認する。
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木村敏死去。ベルクソンを読んでいた学部生の頃、木村敏と中井久夫の分裂病論はとてもリアリティがあった。京都に着いた頃、東一条辺りのカフェで何度か見かけたことがある。人目を引くほどエレガントな老人で、何かこちらの背筋がすっと伸びるようだった。
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浅田彰が、自分がウクライナにいたら、学生には逃げろと言うと思う、と言っていた(浅田が言うのは橋下のような議論とはちょっと違う)。自分も同じような立場に立ったら、学生には逃げろ、と言うだろうなと思う。他人に命懸けるのを強制したりできない。教師の分際であればなおさらである。
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集団安保法制の頃から、権力行使が超法規的になり、個人に具現化され、対する批判が政治家個人に集中していく一方で、政治的・法的手段による責任追求ができないなら、普通はテロかクーデタが起こるはずだと思っていた。今回のテロの動機は不明だが、日本でも物理法則は実現するんだなと感じる。