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だがこの「サンデル教授がリベラルか否かという謎の論争」ってのは本当に謎の論争だな。こういうのは異端審問の類いではないのかね。つまり、この「リベラルか否か」というのは、すなわち「(内容以前に)この人間に発言権を与えても良いか否か」という意味なのだものな。
twitter.com/shotichin/stat…
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ただ、これは読む前から心配しても仕方ない話なのだけど、「能力主義と言いつつ実際には能力でない要素が大きいものを事後的に能力差ということにしているだけじゃないか」という批判を受けた人々が「能力の評価方法が間違っているのだ。評価をもっと正確にすべきだ」という方へ行かないといいのだが。
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バブル以後の日本がずっとそうだったでしょう。「今こそ真に能力主義に変わるべきだ」と言って、上手くいかないのをずっと「能力主義が徹底されていないからだ、評価方法が不適切だからだ」と言われて騙され続け、「より適切な評価方法」に改められるたびに報われる人が少なくなっていったわけで。
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だけどもし本当に、こうした権威に指摘されるまで問題点に自力で気付けなかったのだとしたら、そのような人に己をリベラリストだと考えて欲しくない、と考えてしまうな。そのような自己点検ができない、批判的な目線を自分たちの側に向けられない人々の「リベラル」は、端的に言って危険だと感じる。 twitter.com/aruto250/statu…
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「アジア人はツリ目とエラを強調したメイクが自然だよ!黄色い肌に誇りを持って!」という「ナチュラルアジアンビューテイー」観は本当に大きなお世話というか、「大きな目や色白という美しさは我々白人のものだからアジア人はそれを用いるな」と言っているようなものだと思うがそれで良いのだろうか。
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逆に「欧米人はフレグランスで体臭を隠さない方が自然だよ!無理に若く見せなくていいんだよ!」と言って納得してもらえるとは思えない。「美しさ」という領域における領土争いというか、領有権の主張が行われているように見えるし、そう考えるとアジアンメイクは文化的隷属の証にも思えてしまうな。
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幼く見えず威嚇的にも見えるアジアンメイクは「わきまえない」タイプの人々に歓迎されがちだけれど、アジアンメイクはむしろ「わたくしめは手前に相応の美の領分というものをよくわきまえております」という態度にも思え、つまるところ「わきまえてみせる相手を乗り換えた」だけなのかも知れないな。
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社会の能力主義は止められないにせよ、ならば尚更、能力で序列化される社会で下位に押しやられる人というのは「誰かが引き受けなければならない損な役回り」を嫌々であれ引き受けているのであって、社会はそうした人々へ後ろめたさや感謝を抱くべきと思うのだが、実際には罵倒や嘲笑が与えられている。
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現代的リベラルにとってインフラたる資本主義が地方を見捨てるから、地方で「イエ」のシステムが息を吹き返してしまっているぞ、という記事と読んだ。
だがそれでリベラル資本家が「地方を救わねば」と思うかというとそうではなく、地方蔑視と切り捨てが加速するのだろうな。
shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/sach…
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「人間関係が嫌なら逃げていいんだよ」「仕事が嫌なら逃げていいんだよ」という話には人気が集まるけど、最近ようやく「逃げていいとか囁く人間は逃げた後のことに責任を取ってくれない」という気付きが出るようになった。そろそろ「男性性が嫌なら逃げていいんだよ」にもそうした気付きが要るのでは。
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夫に偽って浮気相手の子を産む、いわゆる「托卵」を良い話風に描いた漫画が流れてくるのだけど、この漫画の衝撃を女性に伝えるなら「産科で子供の取り違えをしてしまったスタッフが『どの子も命は平等なのだから幸せに子供を育てて欲しい』とキラキラしたことを言って締める」くらいのものだろうか。
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その夫の造型は明らかに「理解のある彼くん」であり、good dad戦略しか取れない男性の宿命が表現されているようにも思える。浮気は夫がgood dadとして要求水準を満たさないせいと説明されており、good geneはgood geneであるだけで価値があるのに対し、good dadは行動で価値を証明し続ける必要がある。
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「日本のクリエイターが作るものは世界のスタンダードから遅れている」という話、現に世界で通用しているものがそうではないように見えているところが興味深いのだが、これは「こんなものでは私が認めてもらいたいと思っている相手には評価してもらえない」ということで、見ている先が違うのだろうな。
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要は「私が評価されたいと思っている人々から、あなた方の作ったものによって私が評価されたいので、そのようにできるものを作れ」という注文なのだろうが、まあ創作のできる人に纏わりついて「私の思い付いたものを作って欲しい。いや作るべきだ」と言い募るのは十代のうちだけにしておきたいな。
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90年代に蛇蝎のごとく嫌われ、誰からも何一つ同情されず無制限に攻撃して良いものとされていた「マザコン男」が、30年の時を経て再び産み出されようとしている。「母親の彼氏」として調整された少年達が、10年後20年後に異性からどのような評価を受けることになるのかを憂いてしまうのだが…。 twitter.com/ponyobeginners…
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「母と息子のお泊まりデート」「息子はママの小さな彼氏」は冗談だからセーフでも「父と娘のお泊まりデート」「娘はパパの小さな彼女」は冗談でもアウトになるのだろうな。
しかし息子を小さな彼氏に仕立てたがる女性ほど、異性としてのマザコン男に対する攻撃性が高そうな気がするのは偏見だろうか。
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今更だけど、今すぐリタイヤしても生活に何ら困らないプロスポーツの60億円プレイヤーがうつで広く同情を集める一方、生きるために仕事をやめるわけにいかない収入の人間が、うつになっても誰にも同情されず責苦を負って働き続けていることを考えると、人間の価値の差とは一体何なのかと考えてしまう。
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「現金の入った給料袋をドンと置く姿に夫の威厳を保つ効果があった」という話を「そんなことで威厳が変わるわけがない。情けないのは本人の問題だ」とバカにするような人の中にも「クレジットカードはお金を使っている実感がないのでつい使いすぎてしまう」という警句に同意する人は少なくないのでは。 twitter.com/Sapiensism/sta…
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@wak 個人的には言語化して共有したくないというより、言語化することによって失われてしまう何か、言語(日本語)という箱に納めるために削ぎ落とされてしまう部分に含まれる何かを大事にしたいのだと思っています。これは共有しなくとも内心で言語化するだけで起きてしまうし、まして借り物の言葉では。
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昨日あたりから、性交同意年齢の引上げに反対する人間を「顔を上気させ目を血走らせ息を荒げた髪の薄いおっさん」として描いた絵が回ってくるのだが…これはどちらの側にも言えるけれど、対立する意見の持ち主を(自分が)嫌悪や軽蔑を催すような人物に仮託する主張は、自分の言葉の価値を下げますよ。
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脳に電極を刺して刺激することで重度の鬱からでも「喜びに満ちた状態」になることができ「安定した精神状態を維持し、両親の介護を精力的に行っている」という記事を見たのだが、この「治療」が自由にできるようになったとして、是正されるべきは「鬱になるような状況」と「鬱」のどちらなのだろうな。
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例えば脳に電極を刺さなくてもヘッドギアみたいな装置で同様の「治療」ができるようになったとして、その装置を付けた状態で(装置がなければ鬱になってしまうような質や量の)労働に従事することが当然な世の中が来るだろうか。この装置で競争に有利になるならみな装着してしまうのではないか。
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イメージとして念頭にあったのはアメリカの学生やビジネスマンの中にはSSRIやらアンフェタミンを服用してハードワークに耐えることが常態化してしまっている人がいるという話なのだけど、人間が何というか「競争の器」になってしまう、しかし社会がそれを求めれば応じざるをえないという構造を感じる。
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まあ、もし本当に簡易な装置で実現できるようになった場合、まずは前線の兵士から恐れを取り除いて適切な行動を取れるようにする、といった軍事的な分野から適用されていくのだろうけれど。「薬漬け」のイメージもないしな。幸福感に満たされて戦う恐れを知らない兵士のニーズは強かろう。