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キム・ギドクの作品の多くは映像ソフトで鑑賞可能な状況にあります(ここで「スクリーンで観る映画とソフトで観る映画は違う」云々という議論をすることがナンセンスであることは言うまでもありません)。作品の評価が「見た人に委ねられる」として、日本においてはその手段は十分存在するわけです。
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ここで持ち出されるべきは「推定無罪」(告発の詳細に触れず、このことばを出すことじたい大いに問題があると思いますが)や「作品と人格の区別」等の議論ではなく、キム・ギドクによって傷を負わされた被害者がいること、そして映画を上映することがその傷をさらに深めてしまう危険性ではないですか。
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私は「犯罪者の烙印を押されたものは社会から抹殺されるべき」とは考えておらず、「(作品を)どう評価するかは見た人に委ねられる」という点にも同意します。ただし、映画を「見せる」立場にいる者は、「観る」立場にいる者とは決定的に異なる責任を負っているはずです。 twitter.com/kkd_jouei/stat…
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また、上映館であるヒューマントラストシネマは「なぜ上映するのか」、上映中止を決めたケイズシネマも「なぜ中止したのか」を説明してほしい。もっとも重要な場面で理念やことばを堂々と発信できない者は、文化の担い手としての資質を疑われることになる。
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企画上映とは、ただ漫然と映画を垂れ流すのではなく、その作品を上映する意図・意義を問われる性質のものだ。撮影現場においても性犯罪行為に及んでいたことが指摘されている人物の作品を上映する意図・意義とは何か、今回の企画配給を手がけたクレストインターナショナルは明確に説明する責任がある。
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今回のキム・ギドク特別上映については、上映それじたいも問題だが、それ以上に悪質なのは企画配給をおこなう側が、キム・ギドクの性犯罪について意図的に(としか思えない)言及を避けていることだ。これは犯罪の隠蔽であると同時に、キム・ギドクという作家の「正確」な評価をも阻害する行為である。
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アップリンクに「行くな」と言う人間はそこで働いているひとや上映されている映画の関係者を蔑ろにしている、という主旨のツイートを目にした。僕は他人に「行くな」とは言わないが、じぶんでは行く気にならないし、ハラスメントの件を知らずに足を運んでいるひとがいたら事実を知ってほしいとは思う。
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ある時期以降、枝野氏の言動には疑問を感じることも増えたが、「憲法は必ずしも権力を縛るものではない」「それは王権が絶対的権力をもっていた時代の考え方」などと目の玉が飛び出そうな発言をする人間が率いる政権に対し、立憲主義の本来のあり方を突きつけた意義はいくら称揚しても足りないと思う。
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京都の立誠シネマでおこなわれていた労働搾取・ハラスメントについて、元スタッフであるライターの石塚就一さんがnoteに書かれた文章です(文中には劇場名は記されていませんが、石塚さんがツイートでその旨言及されています)。是非ご一読ください。 note.com/yangyang_film9…
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八代氏の政府に対する忠誠心は筋金入りだと感心する。ここしばらくの状況を見ていたら「閣議決定ほど信用ならないものはない」と思うのがふつうだもの。
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「弱者を切り捨てるような政策」という点でも「党議拘束でガチガチで、自由な空気がない」という点でも現在の日本共産党より自民党のほうがはるかに暴力的だと思う。
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第1回はこちらです。続けてお読みいただければ。 bunshun.jp/articles/-/481…
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文春オンラインで、ミニシアターのハラスメント問題にかんする記事の第2回が公開されました。是非ご一読ください。 bunshun.jp/articles/-/483…
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ハラスメントの被害者に対して、先の合意書のような代物を突きつけ、同意を迫ることじたいが紛れもないハラスメントである、という認識が決定的に欠けているばかりか、「約束をやぶった向こうがわるい」とでも言いたげな態度には、心底愕然とさせられました。
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才谷氏の取材でまず耳を疑ったのは、記事中にもある「『退職に関する事項について、今後一切口外しないことを確認し、誹謗中傷にあたるような言動はしないこと』という主旨の合意書」にかんして、今回取材に応じてくださった元スタッフの方々が「約束をやぶった」と主張されたことです。
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今回、ユジク阿佐ヶ谷およびMorc阿佐ヶ谷の経営責任者である才谷氏にも取材をおこないました。取材は約3時間に及びましたが、記事にはごく短いコメントしか反映できませんでした。理由は、才谷氏の発言の多くが、それを文章化することじたい躊躇われるような二次加害的な性質のものであったためです。
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まずは元スタッフの方々の被害の実態を知っていただいたうえで、いま現在、ユジク阿佐ヶ谷(現Morc阿佐ヶ谷)の経営側はこうした訴えになんら誠実な対応を示しておらず、ゆえに問題の解決には程遠い状況がつづいていることを多くの方に認識していただきたいと思います。
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ひじょうにつらく苦しい内容をふくめ、複数回にわたって詳細にお話しくださったユジク阿佐ヶ谷の元スタッフの方々に心から感謝いたします。元スタッフの方々の声は以下のアカウントを通じて発信されています。 @yjkstaff
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文春オンラインで取材記事が公開されました。2部構成となっており、第2回は近日公開予定です。 bunshun.jp/articles/-/481…
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10月公開予定の瀬々敬久『護られなかった者たちへ』は、棄民政策を掲げて恥じないこの国の現状にサスペンスの推進力を借りて強烈に肉薄する。日本映画のメジャーがなすべきことをなしている映画。佐藤健は映画賞を総なめにするのでは。そして、倍賞美津子に森崎映画の影を見る。
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元スタッフの方たちに取材もせず、「多くの人に愛されていたユジクは、前スタッフの方々が約5年間かけて作りあげたものです。その年月を残すためにも、館名を引き継ぐことはできませんでした」などという美談じみた話をなんの注釈もつけずに書く。記者の倫理が問われる。 timeout.jp/tokyo/ja/news/…
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「不謹慎」と批判されうる題材をなぜあえてコメディにするかというと、そこにはコメディの方法論でしか表現できないニュアンスやメッセージがあるからで、たとえばメル・ブルックスの十八番であるナチス・ホロコーストネタは彼の強烈な当事者意識に根ざした、笑いによる抵抗、批評となっている。
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「わかりあえなさ」に絶望せず、まずは認識したいと思うのだけれど、クッキーの万引きにまつわる「万引きを擁護するのか」という主張や、外国人の不法就労・不法滞在にかんするイラストへの「でも実際わるいことをしてるひとたちなんでしょ」という主張については根本的な断絶を感じざるをえない。
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被害者への対応を加害者本人にさせてはいけないと思います。 twitter.com/TomoMachi/stat…
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7月23日に開館するというこの映画館は事実上、ユジク阿佐ヶ谷の館名を掛け替えて運営される館です。先日のアップリンクのスタッフ募集の件もそうですが、ハラスメント問題について十分な発信がないまま、新たな人員を募集されていることに非常な違和感と危機感をおぼえます。 nettam.jp/career/detail.…