101
そもそも高齢者の転倒は「事故」なのか?
病院で転ぶ人は自宅でも転ぶ。
それなのに、それが病院で起こると、病院が訴えられるのか?
転倒させないことは簡単。
ベッドの上に縛り付ければいいだけだ。
しかし、それは本人のQOL、身体機能・認知機能、そして生命予後を悪化させる。
それでいいのか。 twitter.com/tadamichi_shim…
102
旅行の支援もいい時思いますが、生存権すら脅かされている人たちへの支援を、もう少し丁寧にできないものでしょうか。
103
だれもが何らかのコミュニティに何らかの形で関わりながら、人と人とのつながりの中で生かされています。これは社会の仕組みやルールだけの問題ではない。社会を構成している一人ひとりの意識を変えていくためにどうすればいいのか。
考えているだけではダメなのは明らかなのですが。
104
誰もが健康に暮らせる権利があるし、人間の「コミュニティ」はそのためにあるはずです。
社会的な弱者が生まれるのは、彼らだけの責任ではなく、弱者を生んでしまう社会の責任。
そんなことはずっと前から社会科学的に明らかにされているのに、いまだに変わらない私たちの考え方。
105
生きていくのは自己責任。経済力、生活力、社会適応力がなければ野垂れ死にしても仕方ない。
そんな気持ちを、みんな心のどこかにもっていないだろうか。
そんな心のバリアが、彼らが支えを求めない(求められない)大きな要因なんじゃないだろうか。
自戒を込めつつ、そんなことを思いました。
106
お膳立てされた課題の中から、都合のよい案件だけを選び出し、自分にとって快適な環境に相手を適合させ、相手を丸裸にした上で、医療という価値観に従わせる。
日本の医療は、Narrative・支える医療を自任する在宅医療においても、根本的にはこの行動パターンから抜け出せていないような気がします。
107
僕はただそれを眺めていました。
自費で病院を受診する、それが彼にとってどれほどの決意だったのか。今思うと胸が苦しくなります。
あの時、自分の行動がもう少し違っていたら。
このことを思い出すたびに自身自身に対する情けなさなのか、不甲斐なさなのか、今更ながら涙が出ます。
108
きっと来ないんじゃないだろうか。
そう心のどこかで思っている自分がいました。
それでも彼がどこに帰っていくのか、それを詮索しようともしませんでした。
湿度の高い待合室では迷惑そうな顔をした患者たち。医事課の職員が渋い表情で消臭剤をスプレーし、彼が座っていた長椅子を消毒していました。
109
保険証はなく、生活保護もなく、お金もなく。診察以外に検査は一切拒否されました。福祉の手続きを提案しましたが、それには答えることなく、2週間分の利尿剤だけを手に帰っていきました。
必ず再診するよう伝えましたが、その後、彼の姿を見ることはありませんでした。
110
以前、外来診療していた足立区の小さな病院で。
土砂降りの夕方でした。
ぼろぼろの格好で、真っ黒い顔をして、強い臭気を漂わせながら診察室に入ってきた60代の男性がいました。
寝ていると息苦しさで目が覚めると。診察所見から心不全と診断し、入院が必要と説明したが、本人は頑なに拒否しました。
111
盲目的な延命治療は避けるべきです。
しかしここ20年、延命目的の胃瘻は著減、人生の最終段階に積極的治療を望まないという方も増えました。
「誰もが納得のいく人生が送れる社会」が社会保障の目的。それが胃瘻のない人生であるべきかは社会が決めることではないと思います。
112
年金を減らせば、国民の多くは消費を減らし、経済はさらに委縮していくのではないでしょうか。
高齢者も就労を継続するというのは、健康寿命の延伸という側面からも効果的かもしれませんが。
113
医療費の増大は、高齢化の影響というよりも、医療の高度化の影響がより大きいと思います。胃瘻は安価な処置なので、これを自費にしたところでさほどの削減にはなりません。
高齢化の影響で増大するのは介護と年金ですが、介護を削れば、家族の介護離職につながり、これは世帯収入を減らします。
114
「胃瘻=悪」という価値観の刷り込みにより、胃瘻という治療手段を選択しにくい状況が作られているのがとても残念です。
胃瘻は本来、栄養ルートを確保することで、リハビリを効果的に進めたり、口から食べることにこだわらない人の生活の質を高め、人生を継続させるために使用するものです。 twitter.com/hirox246/statu…
115
筋肉は減る。
40歳を過ぎると1年で1%。
食事を半分にすると1日で0.2%。
寝たままで動かないと1日で0.5%。
強い炎症があると1日で1kg、絶食+安静臥床だと1週間で35%減ることも。
筋肉は増やすのは大変だけど、失うのは簡単。
人生100年時代。
いかに筋肉を育て守るかが、健康寿命とQOLを左右する。
116
肥満はアルツハイマーのリスク要因だが、65歳以上の高齢者の場合、低体重であるほどリスクが高まる、肥満はアルツハイマーの低リスクという韓国からの報告。
高齢者の死亡リスクが最小となるBMIは25〜27(軽度肥満)とされる。年齢とともに体重を増やしていけば、認知症のリスクも下がるのか? twitter.com/YujiY0402/stat…
117
褥瘡を作る高齢者は、ここ20年で激減した。
それは褥瘡の予防に関する適切な知識が周知され、実践されるようになったからだ。
誤嚥性肺炎に対する正しい理解が現場に拡がり、適切なケアが行われるようになれば、褥瘡のようにその発生率も下がっていくのかもしれない。
118
必要なのは食止めではない。
身体機能を維持するためのリハビリ、そのために必要な栄養管理と口腔ケアが誤嚥性肺炎の治療中のみならず予防のために非常に重要になる。
「誤嚥性」肺炎は、食事の誤嚥によって起こるというイメージがあるが、実際には「低栄養サルコペニア肺炎」ということになる。
119
高齢者が誤嚥性肺炎で入院すると、禁食と安静になることが多いが、これは高齢者の栄養状態と身体機能を低下させ、入院期間を長引かせ、摂食機能を低下させることが明らかになっている。
これは低栄養とサルコペニアを進行させ、誤嚥性肺炎のリスクをさらに高めることになる。
120
「誤嚥すると、誤嚥性肺炎が起こる」という理解は正しくない。
30代の健常者も50%は就寝時に誤嚥をしているが、誤嚥性肺炎にはならない。一方、摂食機能に問題がない高齢者にも誤嚥性肺炎は起こる。
誤嚥性肺炎の主因は誤嚥ではなく、低栄養と筋量減少(サルコペニア)というのが最近の考えだ。
121
「この薬によって、患者が、あるいは社会が享受できる利益はどこにあるのでしょうか。
今回、2学会の提言により使用可能になったとしても、私は必要性を感じませんし、処方しないと思います」
塩野義のコロナ新薬についてbuzzfeedにコメントを掲載していただきました。
buzzfeed.com/jp/naokoiwanag…
122
彼らの世界には、すでに新型コロナは存在していないのかもしれない。
でも自宅で酸素を吸いながら、 救急搬送・入院できず、死の恐怖に怯えている感染者がすぐ近くにたくさんいる。
選択を尊重することは大切。
しかし、よりよい選択を共に考えるプロセスを省略してはならないとも思う。
123
新橋の居酒屋は、いつもと変わらずビールジョッキを手にした客でごった返している。
The universe is made of stories, not atoms.
この世の中は、事実ではなく物語でできている。
人間は、自分にとって都合のよい情報を集めて、自分にとって都合よく継ぎ合わせ、自分の信じたい世界を作っていく。
124
もちろん、新型コロナに感染しても多くの人は重症化・死亡することはない。しかし、そのリスクが低いものであったとしても、ワクチンの接種によることをリスクはさらに低い。後遺症のリスクなどを考えると、ワクチンを打たないという選択はあまり合理的なものとは思えない。
125
本人が本当に避けたいものは何なのか。
それはワクチンなのか。あるいは「決断すること」なのか。
人生を左右するかもしれない選択。
医療者は、打ちたくないなら勝手に、と本人の言葉を鵜呑みにするのではなく、丁寧に情報を伝えつつ、本人にとって最適な選択を一緒に考えていくことが大切だと思う。