初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(リツイート順)

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太宰治・坂口安吾・織田作之助の対談より(「どんな女がいいか」) 太宰「おれは乞食女と恋愛したい。」 安吾「ウン。さういふのも考へられるね。」 織田「もう何でもいいといふことになるね。」 これが無頼派らしい会話なのかはよくわかりませんが、志賀直哉が読んだら不快感を催すのは確実でしょう。
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今日は二葉亭四迷の命日です。その死を朝日新聞社の同僚夏目漱石が知ったのは5月15日で、日記には「二葉亭印度洋上ニテ死去。気の毒なり。遺族はどうする事だらうと思ふ」と。漱石は葬儀後の数時間で「長谷川君と余」23枚を脱稿。これを入手した時は初めての漱石の自筆原稿だったので嬉しかったです。
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「文芸の新潮社」が森鷗外を蠅にしてしまった致命的な記事(大正5年)です。直前には「氏が一度眼を通せば、一字一画の誤植もないさうだ」とあり、偶然にせよ誠に皮肉な話ではあります。ただ、誤植で落ち込む世の編集者・校正者の皆さんの慰めにはなるかもしれません。自分のミスは蠅よりもマシだと。
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芥川龍之介は亡くなる2年半前、記者に一番懐かしい人物を聞かれ「それは夏目先生です」と。そして「先生が我儘な位正直な所も宜いですね。それから先生の趣味も好きですね。それから非常に親切だつたことも嬉しかつたですね」と語っています。2人の交流が僅か1年だったことが本当に残念でなりません。
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芥川龍之介の自殺翌日(昭和2年7月25日)の『東京朝日新聞』夕刊。24日は日曜日なので、25日朝刊が第一報でした。各種文学アルバム掲載の夕刊とは、紙面が異なる珍しい版です(26日付)。三島由紀夫を除き、作家の死亡記事で最大でしょう。
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読書週間が始まると、メディアは必ず「若者の読書離れが深刻」といった暗い話題を流しますが、たまには「文豪の小説を初版本で読みたいという若者が増えてきた」といった明るい話題も提供してもらいたいものです。
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「アベック」は既に死語だそうですが、使わなくても知っている人は多いでしょう。でも「クメル」をご存じの方はほとんどいないと思います。「失恋(する)」という意味で、久米正雄の小説『破船』に由来し、大正末から昭和初め頃まで学生の間で流行しました。この言葉に対する本人の感想は不明です。
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新婚時代の谷崎潤一郎と2人目の妻丁未子。この写真を目にされたことがある方は少ないでしょう。美貌の妻との結婚生活は、長くは続きませんでした。
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尾崎紅葉夫人によれば、関東大震災の後で紅葉の墓に行くと、倒れていたであろう石が元通りになっていました。花屋の仕事かと思ったら、実は泉鏡花が友人たちと直したのです。しかも人知れず。「力がないので定めし困つたことでせう」と笑って語る夫人は、鏡花に心から感謝していたのに違いありません。
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昭和28年の今日、堀辰雄が死去。「君にあつたほどの人はみな君を好み、君をいい人だといつた。そんないい人がさきに死ななければならない、どうか、君は君の好きなところに行つて下さい、堀辰雄よ、さよなら」師事した室生犀星の弔辞です。堀は天国のもう一人の師、芥川龍之介の所へ行ったのでしょう。
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彼の芥川龍之介に「夜半の隅田川は何度見ても、詩人S・Mの言葉を越えることは出来ない」と言わしめるのだから、やはり室生犀星も凄い詩人です。ちなみに犀星の言葉とは「羊羹のやうに流れてゐる」であります。
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檀一雄に「君は(中略)天才ですよ。沢山書いて欲しいな」と言われた太宰治は「身もだえるふうだった。しばらくシンと黙っている。やがて、全身を投擲でもするふうに、「書く」私も照れくさくて、ヤケクソのように飲んだ。」(檀一雄『小説太宰治』)身もだえる太宰も、自分で言って照れる檀も可愛いです。
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森鷗外「渋江抽斎」自筆原稿の一部見つかる sankei.com/article/202207… @Sankei_newsより
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誰も信じてくれないけれど本当の話。初版本コレクターを極めると、芥川龍之介と太宰治の初版本の匂いを嗅ぎ分けることができます。
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山の上ホテル内コーヒーパーラー「ヒルトップ」の「薔薇とライチのパフェ」と「トロピカルパフェ」です。8月31日までの限定メニュー(もう一つは「抹茶パフェ」)。お近くに来られた方は、名物の12時間かけた水出しコーヒーと一緒にどうぞ。至福の時間をお約束します。
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大正8年冬、友人宅で萩原朔太郎の『月に吠える』を手にした宮沢賢治は「ふしぎな詩だなあ」と言いながらページを捲り、目が異様な輝きを帯びてきたそうです。後に「心象スケッチ」の原稿を読んだ友人が「ばかに朔太郎張りじゃないか」と指摘したら「図星をさされた」と。『春と修羅』誕生の背景です。
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芥川龍之介の「理由は一つしかありません。僕は文ちやんが好きです。それでよければ来て下さい」というプロポーズの言葉は素敵ですが、その前の「僕はからだもあたまもあまり上等に出来上がつてゐません。(あたまの方はそれでもまだ少しは自信があります。)」も謙虚すぎて可愛いですね。 #求婚の日
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友人に「もうツイッターで(笑)を使わない方がいいよ。古いから」と言われましたが、芥川龍之介が(笑ふ。)と書いているのだから(多少違いますが)、大丈夫だと思います。
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今日は谷崎潤一郎の命日です。三島由紀夫は「これだけの作家が亡くなれば、国家が弔旗をかかげてもいいし、国民が全部黙祷してもいいんじゃないかと思いますがね」と語りました。谷崎にも桜桃忌・河童忌のような作品由来の文学忌がほしいですね。「刺青忌」「春琴忌」など皆さんも考えてみてください。
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山の上ホテル内コーヒーパーラー「ヒルトップ」の期間限定「白桃パフェ」です。中央の桃は飴細工で、中には白桃のシャーベットとバニラアイスが隠れています。ケースに入れて運ばれてきたもう一つは、マンゴーとココナッツパンナコッタの「トロピカルパフェ」。ドライアイスによる演出も見事でした。
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菊池寛は「漱石全集は文学に志す人、文学を愛読する人は一度は読んで置くべきだ」とした上で、「漱石、白鳥、秋声の作を読まずに月々出る雑誌の創作欄ばかり読んでゐるやうな人は結局つまらぬ文学青年でしかあり得ない」と断じています。漱石と並べて白鳥、秋声の名前を挙げるところが興味深いですね。
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今日は宮沢賢治の命日です。画像は最初の『宮沢賢治全集』(昭和9〜10年、文圃堂)の内容見本。あまり出てくることがなく、特に予約申込みハガキ付は稀です。賢治の名を世に広めた功労者の一人、横光利一の文章が目を引きます。
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今日、さいたま文学館を訪れ、永井荷風の机に懐かしむように触れていた高齢の女性は、17歳の時、荷風と浅草の蕎麦処「尾張屋」で会ったそうです。そこの店主が教えてくれました。「いつもストリップの帰りに来るんだよ」と。ちなみに彼女は神保町に住み、なんと古本屋の娘。ドラマのような話ですね。
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横光利一によれば、芥川龍之介は「逢ふと必ず志賀直哉を賞めてゐた人」だったそうです。太宰治が志賀の批判に過剰な反発を示した一因は、敬愛する芥川が一目置くほどの人物だからこそ、認めてほしいという思いの裏返しでしょう。「二行でもいいから讃めて貰へばよかつた」井伏鱒二の志賀への言葉です。
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今日6月13日は太宰治の命日です(戸籍上は14日死亡)。命日よりも遺体発見日(桜桃忌の19日)の方が有名なのは、世の中で太宰くらいでしょう。しかも19日は彼の誕生日。郷里では生誕祭も行われますが、墓前でも供養と共に「おめでとうございます」と言ってあげたいです。