初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(リツイート順)

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坂口安吾が語る永井荷風。「荷風の部屋へ行くと惨憺たるものださうだ。二ケ月くらゐ掃除をしてをらんのだ。それでずゐぶん散らかつてゐる中に住んでゐて、部屋がない、部屋がないといつて、部屋を探しに歩いてゐるさうだ。さういふのは趣味だと思ふね。」荷風も安吾にだけは言われたくないでしょうね。
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6月13日は太宰治が山崎富栄と入水した日です。太宰の服装は白のワイシャツにねずみ色のズボンでした。長雨により、太宰の捜索は難航を極めました。そして三鷹は今日も雨。富士には月見草がよく似合いますが、やはり太宰には雨がよく似合う気がします。
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93年前の今日、芥川龍之介は自らの命を絶ちました。この年は暑い日が続いたものの、昭和2年7月24日の東京は終日雨でした。友人知人達は降りしきる雨の中を駆けつけたのです。ちなみに芥川を敬慕した太宰治の遺体が発見された昭和23年6月19日も雨。稀代の天才作家達の死に天も涙したのかもしれません。
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久米正雄によれば、芥川龍之介は関東大震災の直前に、天変地異が来ることを何度も繰り返し予言していたそうです。虫の知らせの一つでしょうが、予言したのが芥川だと、そこに何かある気がしてしまいます。
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梶井基次郎について、萩原朔太郎は「稀れに見る真の本質的文学者であつた」、横光利一は「静といふものをこれほど見極めて描いた作家は、まだ日本に一人もゐなかつたと思ふ」、川端康成は「その文業は不滅の輝き」と語っています。夭折が惜しまれる小説家は数多くあれど、樋口一葉と双璧でしょう。
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今日は田山花袋の命日です。島崎藤村は死の床の花袋に「この世を辞して行くとなるとどんな気がするかね」と尋ね批判も受けますが、これは「もう自分も死を覚悟しなければなるまい」という花袋の言葉を受けての言葉でした。そして2人は、藤村が『春』の初版本を完成直後に贈る古い関係でもありました。
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若き日の文豪が、ある女性に恋したことを友人に告げた手紙の一節を紹介しましょう。「僕は其の人に欺かれてもよい、弄ばれてもよい、殺されてもよい。」「其の人の夫となれずば、甘んじて其の人の狗、其の人の馬、其の人の豚とならう。」文豪の名前は書くまでもありませんね。もちろん谷崎潤一郎です。
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夏目漱石(左)と芥川龍之介(右)の書斎。よく似た佇まいが、師を敬慕する芥川の思いを伝えている気がします。
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今日が川端康成の命日であることを思い出し、何か初版本をアップしようかと。お問い合わせが多い『少年』(昭和26年、目黒書店)にします。BL文学の傑作として有名になりました。
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第1位 石川啄木『一握の砂』署名本 ヤフオクで商品説明に「見返し紙が表紙の裏に貼付」とあったためか、格安で落札。剥がしたら憲政の神様尾崎行雄宛献呈本でした。啄木の署名本は超稀で、『一握の砂』は3冊のみ現存を確認。署名が姿を見せた瞬間の感動と興奮は忘れられません。#私が掘り出した初版本
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今月で定年退職する知人の大学教授が研究室の本(約800冊)を売却するために古本屋を呼んだところ、「値が付かない本ばかり」との査定で、逆に処分代金(手間賃+運送費+潰し費用)として10万円を請求されたそうです。近年しばしば耳にする話で、「思ったよりも高く売れた」という声は滅多にありません。
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今日は宮沢賢治の命日です。賢治の最後の言葉は「ああ、いいきもちだ。」オキシフルを付けた消毒綿で手と首と体を拭き、この言葉を繰り返しました。そして潮が引くように、呼吸が途絶えたそうです。享年37歳。苦しまずに旅立ったのが、せめてもの救いだと思います。
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伊藤整は「鏡花を読みこなせなければ明治は分らなくなり、明治という時代の中に封じ込められた人間の生命が分らなくなる。やがて鏡花を読むために辞典が作られるような時があっても、鏡花が忘れられる時はないであろう」と。明治150年の今こそ、本格的な「鏡花を読むための辞典」がほしいものです。
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太宰治と情死した山崎富栄の父親は、遺体発見前も当日も、太宰夫人への謝罪の言葉を中心に新聞でコメントしました。娘が悪者扱いされることへの憤懣遣る方ない思いを、押し殺しての発言でしょう。画像は富栄の前に佇む父親の珍しい写真です。心中察するに余りあり、見る度に涙を抑えるのに苦労します。
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「初版本はどのくらい広げてもよいのか」という質問の回答。本の綴じ具合でそれぞれ異なります。一般的に角度で表現しますが、わかりやすく画像で説明すると、例えば『月に吠える』(左)は4本の指が半分くらい入るまで大丈夫です。しかし『みだれ髪』(右)は中指が少し入る程度が限界となります。
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太宰治・坂口安吾・織田作之助の3人は、織田が亡くなる2か月前に対談しています。その最初の話題が「小股のきれあがつた女」。「小股といふのはどこにあるのだ?」という安吾の問いに、太宰は「アキレス腱さ」と答えています。今はほとんど使われない表現ですが、興味のある方は調べてみてください。
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大正時代の「文壇人女見立之図」(その二)です。谷崎潤一郎ーダンサー、佐藤春夫ーショーガール、近松秋江ー老妓、泉鏡花ー義太夫、芥川龍之介ー殉教徒、菊池寛ー令嬢、里見弴ー踊りの師匠、志賀直哉ー貴婦人とあります。芥川の助を介に直したり、菊池の服に将棋の駒をあしらうなど中々芸が細かいです。
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坂口安吾は「芥川は太宰よりも、もつと大人のやうな、利巧のやうな顔をして、そして、秀才で、おとなしくて、ウブらしかつたが、実際は、同じ不良少年であつた」「芥川も、太宰も、不良少年の自殺であつた」と書いています。太宰はともかくとして、芥川を不良呼ばわりできる安吾は凄いです。
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坂口安吾と中原中也は酒場の同じ女給を好きになり、安吾によれば彼女は彼に好意を抱き、それを知った中也は「ヤイ、アンゴと叫んで、私にとびかゝつた」そうです。ところがこれが切っ掛けで二人は親密な中に。安吾は「彼は娘に惚れてゐたのではなく、私と友達になりたがつてゐた」と。本当でしょうか?
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これで印刷ミスではないのだから驚きます。内田百閒の第一創作集『冥途』の初版本(大正11年、稲門堂書店)です。この本はノンブルがないので、落丁や乱丁の確認も大変。ちなみに、本書は関東大震災で紙型が焼失し、初版限りで増刷されませんでした。あれこれ怪奇幻想文学に相応しい話ではあります。
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戦前に検閲で文字を削除された小説です。「。」がポツンと残っているのが不気味。検閲の不条理さを際立たせています。
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稀覯本や貴重本に触れる時、いまだに手袋をしている人を目にしますが、素手の方が良いです。手の汗や汚れは洗えば問題ないけれども、手袋に付着した埃は目立たず、またページを捲る時に紙を痛めるリスクがより大きくなります。手袋のメリットは「本を大切に扱っている」というアピールくらいでしょう。
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大笑いする谷崎潤一郎。文豪に恐縮ではありますが、可愛いですね。
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今日3月1日は芥川龍之介の誕生日であるとともに久米正雄の命日です。ちなみに芥川の命日7月24日は谷崎潤一郎の誕生日。久米の誕生日11月23日は樋口一葉の命日です。
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公務員のフォロワーさんが異例の人事異動で文学館の配属に。狭き門すぎるので、異動の希望は出していなかったそうです。ではなぜ?思い当たることは唯一つ。前に提出書類の趣味欄に「太宰治や坂口安吾の初版本を集めている」と。何と素晴らしい人事課でしょう。もちろん今後はこの文学館を応援します。