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神田神保町名物T書店主の神回答(全て実話)
①「芥川龍之介とかの本はありますか?」「とかの本はない。」
②「司馬遼太郎の本はありますか?」「嫌いだから扱わない。」
③「太宰治の『人間失格』はありますか?」「三省堂にある。」
④「ガラスケースの本を見せて下さい。」「100万円。」
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多少なりとも貴重な(高額な)本の所蔵者が亡くなった時、遺族が一番気をつけなければならないのは、友人を名乗って書斎に入りこもうとする人間です。ほぼ確実に何冊も本が消えます。過去に数多くの研究者・コレクターの家がこの被害に遭いました。中でも最も憎むべきなのは、「弟子」と称する輩です。
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昔、某テレビ局から「 金魚を一匹突き殺す」で有名な「金魚」を謎解きに使うドラマのため、北原白秋『トンボの眼玉』の貸出し依頼が。復刻本で誤魔化さない態度に感心し初版函欠本を貸しました。放映を見たら、主人公が本を180度開脚するもこれは想定内。しかし本に書込みされたのは想定外でした。
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太宰治を運ぶ霊柩車のヴィンテージ・プリント。前が太宰用で、後ろが山崎富栄用です。昭和23年6月19日12時40分頃、料亭千草で検視を終えた太宰の遺体は堀ノ内、富栄の遺体は田無の火葬場へ。2階左側の部屋が太宰の仕事場でした。
#桜桃忌
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知人の老コレクターが亡くなられました。遺言状に「宮沢賢治とともに天国に行きたいから『春と修羅』を棺に入れてほしいけれど、初版本を燃やすわけにはいかないので復刻本を入れるように」とあったそうです。泣きました。
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天皇陛下が退位されたら、かつて「お供も警護もなしに1日を過ごせたら何をなさりたいですか」と問われ「透明人間になって、学生時代よく通った神田や神保町の古本屋さんに行き、もういちど本の立ち読みをしてみたいですね」とお答えになった皇后さまが、神保町を散策できる日も来るかもしれませんね。
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留年した学生に「あの夏目漱石だって、落第して進級できなかったことがあるんだよ」と言って励ますのは結構ですが、漱石がその後一念発起して、卒業まで首席を通したことも伝えるべきだと思います。
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太宰治くらい行状が批判される作家も少ないですが、「谷崎も大学除籍だし、啄木も借金まみれだし、芥川も妻以外の女性がいたし、有島も心中しています」と擁護する人には、「全部当てはまるのは太宰だけ」などと混ぜ返さないで、「小説家は小説の魅力がすべてだから気にしないで」と言ってほしいです。
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徳田秋聲は泉鏡花の没後、文豪の初期の作には幼稚なものも多いが、鏡花は例外で、「しかも其の天分は老年に迨んでも涸渇しなかつたのである。この点から言へば確かに天才だと言へる。」と讃えました(「天才泉鏡花」)。一度は絶交した同門の秋聲に褒められたことが、泉下の鏡花は嬉しかったでしょう。
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「猫の日」の画像はやはりこちら。夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』上中下編初版本の表紙・カバー・扉・挿絵・カットなど猫尽くしです(上編は8版から中段左の異装カバーとなります)。
#猫の日
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世の中は偏見に満ち溢れているもので、夏目漱石が好きと言って真面だと思われ、谷崎潤一郎が好きと言って変態と疑われ、太宰治が好きと言って軟弱だと批判され、三島由紀夫が好きと言って右翼と誤解を受けてきました。しかし泉鏡花が好きと言っても人はまず無反応です。多分よく知らないのでしょうね。