初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(いいね順)

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某スポーツ新聞社から、昨日逮捕された女優が映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」に出演していたことについて電話取材を受けました。「天国の太宰はどう思いますかね」というくだらない質問があったので、「太宰は天国にいるとは限らないでしょう」と答えておきました。記事にはならないと思います。
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「太宰治は不倫ばかりして人妻と心中までしたのに、なぜ小説が教科書に載っているのですか」と質問が来ました。「作品に罪はないという考えでしょう」と答える前に、正確を期して知人の教科書調査官に確認したところ「作家の人格や行動歴は調査の対象ではありません」と。間違いではなかったようです。
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長年、高校で国語を教えている知人によれば、かつては『山月記』の授業の前に中島敦を知っている生徒はほとんどいなかったそうです。しかし近年は、『山月記』の授業を楽しみに待つ生徒が各クラスに必ずいるとのこと。漫画・ゲームをきっかけに近代文学に慣れ親しむ実例として、興味深いと思います。
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某テレビ局の報道部から「古本屋の現状を知りたいので、今、危ない所を教えてほしい」と聞かれたので、「それは神保町のA書店の主人でしょう。今も昔も危ないですよ」と答えたら、「そういう危ないではなくて」と説明し始めたので黙って電話を切りました。「無礼者!」と言ってから切るべきでした。
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小学校3年生の時、夏休みの自由研究で「覚えやすい麻雀の点数計算法」という苦心の作を提出したら、中身を読みもせず「子どもが書くものではありません」と突き返されました。「賭け麻雀の必勝法」ではないのに。それ以来「自由」研究とは名ばかりの「不自由」研究は大嫌いです。私憤でゴメンナサイ。
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知人の老コレクターが亡くなられました。遺言状に「宮沢賢治とともに天国に行きたいから『春と修羅』を棺に入れてほしいけれど、初版本を燃やすわけにはいかないので復刻本を入れるように」とあったそうです。泣きました。
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岸部四郎さんはその昔、夏目漱石や永井荷風の初版本を熱心に蒐めるコレクターでした。神保町で何度か話しましたが、「初版本いいよね」が口癖で、「初版本からは時代の雰囲気が伝わってくるんだよね」と。背が高くて、飾らない人柄で、優しい笑顔が忘れられません。心よりご冥福をお祈りいたします。
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フォロワーの学生さんから「ゼミの先生が女子だけに深夜のオンライン面談を求め困っています。大学に訴えたけれど対応してくれません」と相談が(事実確認済)。先生がゼミでここを紹介したと聞き調べたらフォロワーでした(面識なし)。都内の私立大学教員で身に覚えのある方は止めた方がよいと思います。
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昭和50年2月14日、中学生の男の子が図書室で「斜陽」を読んでいると、机の上にチョコレートの箱が置かれ、見上げると同じクラスの女の子の恥ずかしそうな顔が。彼は天にも昇る心地でした。告白はまだだけれど、彼女が大好きだったからです。あれから43年。女の子は今朝もチョコレートをくれました。
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三島由紀夫の「僕は太宰さんの文学はきらひなんです」は有名ですが、太宰が亡くなった年に「太宰が何故死んだかといふ問題だが、民衆にうつかり白い歯を見せてしまつたので、民衆が寄つてたかつて可愛がつて殺してしまつたんだと僕は思ふんだ」と語っているのはご存知でしょうか。意味は不明です。
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森鷗外の最高傑作と評する人も多い(私もその一人)史伝『渋江抽斎』の自筆原稿の一部が発見されました。没後100年での出現はまさに奇跡。数多くの推敲の跡もうかがえます。文京区から依頼を受け、鑑定書と評価書を書くことができて光栄でした。10月に同区立森鷗外記念館で特別公開予定です。
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12歳の芥川龍之介と中原中也の習字です。芥川の16文字と中也の14文字の内、8文字が同じで嬉しくなります。芥川が、後年忌み嫌った「龍之助」と署名しているところにもご注目ください。
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山の上ホテル内コーヒーパーラー「ヒルトップ」の期間限定(数量も限定)「デコポンのパフェ」です。デコポンを模した中央の飴細工を壊すと、中に2種類のシャーベットが隠れていました。楽しく美味しいダブルで素敵なパフェであります。
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行きつけのコーヒーパーラー「ヒルトップ」(山の上ホテル内)が、復刻版プリンアラモードなどのインスタ映え効果で、最近若い女性客に大人気です。ホテルの常連客だった三島由紀夫は苦笑しているでしょう。「ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」と書いていますから。
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記者会見に参加した知人によると、今日の最大のサプライズは『渋江抽斎』の原稿の出現ではなく、「森林太郎って誰ですか?」と囲み取材で学芸員に質問をした新聞記者がいたことだったそうです。 twitter.com/signbonbon/sta…
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夢野久作『ドグラ・マグラ』初版本(昭和10年、松柏館書店)の函の裏面に印刷された「梗概」と「主要なる人物」です。レイアウトに作品の狂気の一端が窺える気がします。
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もう一つ想定外なことがあって、本に架空の蔵書印が捺されていました。中学校の図書館の蔵書という設定だったからです。蔵書印がテレビに映ったのは1秒足らずで、捺されたページの裏からの撮影でした。そこまで演出に拘るのは立派だと思いますが、借りた物であることだけは忘れないでほしかったです。 twitter.com/signbonbon/sta…
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フォロワーさんが就職の面接試験で趣味を聞かれ、「推しの作家の」と言いかけたところで「差別用語はダメだよ」と怒鳴られました。「『好きな作家』であれば誤解されなかったのでしょうが、自分的にはかなり意味が違うので。ただ全く想定外の言葉でした」とあります。ちなみに内定は辞退したそうです。
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太宰治の長女である津島園子さんがお亡くなりになりました。平成27年に太宰治展を開催した折、事前に許可をお願いしたら(法的には不要)、喜んで快諾してくださいました。母の美知子さんの後を継ぎ、父の顕彰に努めた功績は大きかったと思います。ご冥福をお祈りいたします。
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昔は「あー、啄木が死んだ年齢を超えてしまった」という感慨があり、その対象が中也になり、芥川になり、太宰になったものですが、漱石を超えたあたりからは何も考えなくなって、気がつけば朔太郎も超え、鷗外すら射程内に入りました。誠に少年老い易く学成り難しであります。
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フォロワーさんから「学校の図書館に近代文学の本が少なくて」という嘆きの言葉が届いたので、「伊達直人」で送ろうかと。でも善意の押し付けは迷惑だと思い、本人の了解の下で学校に連絡したら「いりません」の一言。しかも全クラスのホームルームで「犯人探し」まで。本の寄贈の難しさを学びました。
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明日の夕方、近代文学に関する重大発見のニュースが各メディアで流れるので、関心のある方はどうぞお楽しみに。
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「能力のある者は退社しろ、能力のない者は残れ」文藝春秋社が傾きかけた時の菊池寛の言葉です。能力のある者はどこでも働けるからでしたが、普通の経営者ならば逆でしょう。誰一人辞めなかったのは、こんな素晴らしいオーナーから離れたくなかったのだと思います。そして会社はすぐに立ち直りました。
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他人に理解されないと思い悩む時があったら、「我といふ 人の心は たゞひとり われより外に 知る人はなし」という歌を思い出してください。自分を知るのは自分だけ。理解されないのではなく、他人には理解できないものなのだと。少しは気が楽になるかもしれません。歌の作者は谷崎潤一郎です。
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昔、某テレビ局から「 金魚を一匹突き殺す」で有名な「金魚」を謎解きに使うドラマのため、北原白秋『トンボの眼玉』の貸出し依頼が。復刻本で誤魔化さない態度に感心し初版函欠本を貸しました。放映を見たら、主人公が本を180度開脚するもこれは想定内。しかし本に書込みされたのは想定外でした。