初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(リツイート順)

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泉鏡花は純和風のイメージですが、里見弴によれば意外なほどハイカラだったと。帽子はクリスティー、練歯磨はクロノス、タバコは葉巻・紙巻共に外国製の上等品を愛蔵し、湿布薬も国産品は気に入らず舶来品を使用。洋酒にもこだわりがありました。弴の言葉を借りれば「『鏡花世界』らしくない」ですね。
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今年没後10年×α(5≦α≦12)の近代作家の例(同年は五十音順)。何かのご参考にどうぞ。 120年ー正岡子規、110年ー石川啄木、100年ー森鷗外、90年ー梶井基次郎、80年ー北原白秋・中島敦・萩原朔太郎・与謝野晶子、70年ー蒲原有明・久米正雄、60年ー正宗白鳥・室生犀星・柳田國男・吉川英治、50年ー川端康成
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『将棋と文学』(仮題)を秀明大学出版会から出版することになりました。将棋と文学研究会編で今冬刊行予定。漱石、芥川、菊池、乱歩、川端、横光、太宰、安吾、織田作、澁澤などの将棋が登場する小説のアンソロジーで、それぞれに解説が付きます。どうぞお楽しみに。
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坂口安吾の写真が入った初版本です。順番に『教祖の文学』『不連続殺人事件』『保久呂天皇』。やはり最初の写真のインパクトが大きすぎます。
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谷崎潤一郎『春琴抄』(昭和8年、創元社)の朱漆表紙特装本(極美)です。表紙の題名と見返しの署名・花押は金蒔絵により盛り上がっています。両見返しは緞子を使用し、桐箱の題名と署名は谷崎の自筆。この超豪華本は朱黒両表紙あり、昔から計3冊製作と言われますが、6冊実見したので間違いです。
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ある高校の国語教師が、『羅生門』の授業で生徒を校庭に連れ出して、突然松の枝を折って燃やし、文中の「火をともした松の木片」を実演。インパクトはあったでしょうが、意図したように、生徒の作品への興味を引き出せたのかは存じません。ちなみに、教師は校長から始末書の提出を命じられたそうです。
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第2位 萩原朔太郎『月に吠える』無削除版 ネットで「月に吠える、無削除版」を検索したら、近代文学専門ではない仙台の古本屋の目録がヒット。安すぎるけれども注文すると、確かに本物でした。しかもカバー欠なのに完璧な極美本。近代詩書の横綱が出会いを待っていてくれました。#私が掘り出した初版本
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太宰治の初版本で著者の写真が入っているのは、第一小説集『晩年』から昭和24年6月刊行の『グッド・バイ』まで9冊です。同じ写真は一度も使われていません。最初は太宰の希望でしたが、没後の5冊は出版社の意向が働いたのでしょう。ちなみに国立国会図書館収蔵の『晩年』の写真は破り取られています。
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永井荷風の誕生日にアップする初版本は、この2冊しかないでしょう。発禁本『ふらんす物語』著者秘蔵校正本(明治42年、博文館)と、私家版『腕くらべ』献呈署名入り佐藤春夫旧蔵本(大正7年、十里香館)です。署名の宛名は校正の神様と言われた神代種亮。大切にして、後世に残さなければなりません。
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今年生誕10年×α(11≦α≦16)の近代作家の例(同年は五十音順)。何かのご参考にどうぞ。 160年ー森鷗外、150年ー島崎藤村・樋口一葉、140年ー小川未明・斎藤茂吉・鈴木三重吉・野口雨情、130年ー芥川龍之介・佐藤春夫・堀口大学・吉川英治、120年ー上林暁・中野重治・久生十蘭・横溝正史、110年ー檀一雄
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隣のテーブルにいたご婦人の「織田君よくやった」という言葉を小耳に挟み、太宰治の「織田君! 君は、よくやった」をお茶の席で話題にするとは、何と素敵な方だろうと思ったら、フィギュアスケートの選手の話題でした。「『織田君の死』ですね」などと、得意げに話しかけなくて本当によかったです。
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三島由紀夫『仮面の告白』の初版本です。カバー・帯・月報が付いて完本。この傑作に出会ったのは小学校3年生の時でした。異様な世界に魅了され彼の小説を読み漁る中、4年生の時に三島事件がありました。『仮面の告白』の原稿は行方不明で、河出書房のロッカーの上に置かれていたとも。見てみたいです。
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谷崎潤一郎は「自分の作品を単行本の形にして出した時に始めてほんたうの自分のもの、真に「創作」が出来上つたと云ふ気がする」「単に内容のみならず形式と体裁、たとへば装釘、本文の紙質、活字の組み方等、すべてが渾然と融合して一つの作品を成す」と。谷崎の小説を初版本で読みたくなる所以です。
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夏目漱石は弟子の岡田(林原)耕三が奨学金を貰えるように(しかも時期を早めて)奔走しましたが、本人にはそれを伝えなかったようです。半世紀以上経って、知人に懇願する師の手紙を『漱石全集』で読み、その事実を知った岡田は目頭が熱くなったと。自分だったら間違いなく号泣していたと思います。
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芥川龍之介の自筆原稿を落札してしまいました。もう芥川の原稿は卒業したのに、つい・・・理由は3つあります。1つは全集未収録だったこと(ただし新出資料ではありません)。もう1つは中学生の芥川が書いたお茶目な文章だったこと。そして最後は気の毒なほど安かったこと。後悔は・・・しておりません!
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谷崎潤一郎が永井荷風に寄贈した私家版『細雪』上巻。雑誌連載が中止となった翌年の昭和19年に刊行された、戦前唯一の単行本です。奥付に200部とあるも、実際は248部発行。戦後、荷風は谷崎との対談で、この本を盗まれたと語っています。ちなみに谷崎も荷風の私家版『濹東綺譚』を盗まれたそうです。
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芥川龍之介は亡くなる少し前に「僕は僕の小学時代にも作文は多少上手だつた」と書いています(「本所両国」)。しかし現存するその時代の文章を読めば、「多少」が謙遜しすぎなのは自明です。芥川は小学生の頃から芥川だったのでした。
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あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。さて令和5年は卯年。近代文学では、泉鏡花が向かい干支に当たる兎の品物を蒐めたことが有名です。ちなみに鏡花が敬慕した尾崎紅葉の干支は卯でした。画像の初版本は『活人形』『風流線』『高野聖』『婦系図』『日本橋』の極美完本です。
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今日は宮沢賢治の誕生日です。紫式部が亡くなってから千年近く経ちますが、千年後、もし日本や世界が滅亡していなければ、近代文学の代表とされている作家は誰なのでしょうか。漱石?谷崎?芥川?太宰?三島?もちろん正解を知ることはできませんが、賢治は最有力候補の一人だと思います。
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川端康成は太宰治『女生徒』の批評で、「文学の青春の一つの現れは、無謀なまでに極端な潔癖であつて、それが「既成の小説の作法」や「おとなしい小説」を避けて、純粋に自分のものを求め、健全な常識からは、「変質者の独語」と受け取られる」と。川端が説く「変質者の独語」には説得力があります。
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今日のNHK「あさイチ」は「推しのいる生活」。推しのアニメの舞台となった町に移住した方など猛者ばかりでした。近代文学作家を推している代表として、桜桃忌で太宰治の墓前で知り合った男性と結婚し、三鷹で古本カフェを開業した「フォスフォレッセンス」のご主人にも登場してもらいたかったです。
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泉鏡花が夏目漱石の没後、親愛の情を込めて「夏目さん、金之助さん、失礼だが、金さん」と語ったのは有名ですが、弟への手紙に「猫夏目の処へわざわざ出かけたがネ、留守」と書いているのはあまり知られていません。「猫夏目」とはさすが鏡花。上手すぎます。
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坂口安吾によれば、織田作之助は安吾、太宰治との座談会の速記に「全然言はなかつた無駄な言葉を書き加へ」、その狙いは「読者を面白がらせる」ことだったそうです。安吾は「織田のこの徹底した戯作根性は見上げたものだ」と賞賛していますが、果たして太宰は織田の加筆に気がついたのでしょうか。
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戦後の太宰治は「芥川龍之介、芥川龍之介」とノートに記した学生時代と比べ、芥川への傾倒が薄れていたと考える人もいるようです。しかし太宰が晩年に語ったとされる「僕も四十まで生きようとは思はなかつたが、芥川のことを考へると恥かしい」という言葉からは、彼を終生敬愛していたことが窺えます。
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知人の老人ホームで文学サークルの座談会に参加し、好きな作家は夏目漱石と話したら、ある男性が「実は、私は漱石の孫なんです」と言うのでびっくり。さらにもう一人の男性も「私も漱石の孫です」と。知人によれば、この施設には「漱石の孫」が3人いるとか。のどかな時間が流れ、大いに癒されました。