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今日は武者小路実篤の誕生日です。人道主義・理想主義に基づき人間愛を重視した白樺派の文学は、芥川龍之介をして「我々は大抵、武者小路氏が文壇の天窓を開け放つて、爽な空気を入れた事を愉快に感じてゐるものだつた」と言わしめました。白樺派を主導したのは小説の神様ではなく、彼だったのです。
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横光利一が亡くなった時、川端康成は画家荻須高徳の部屋で、空が大きく雲の多い2枚の絵を見ていました。後で横光がその時刻に死去したことを知った川端は、その絵を借りて自宅で眺め、「雲によつて私は横光君に出合ふやうにも感じた」と書いています。川端の友情に天国の横光も感謝していたでしょう。
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室生犀星は装丁に深い関心を抱いた作家で、「他人の本はあまり見ませんが芥川君・佐藤君の書物には注意深い周到さが検印の朱肉にまでその跡をみせてゐるのにいつも感心してゐるのです」と書いています。朱肉までチェックしているのは流石ですが、芥川と春夫が本当にそこまで拘ったかはよく分りません。
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今日は横光利一の誕生日です。彼の人柄について、多くの人が「誠実」という言葉を使っています。妻と子を戦災で亡くした弟子の八木義徳は、戦後横光の家を訪ねた時「きみにはすまないことをした」と言われ、感動で涙が出そうだったそうです。間違いなく横光は誠実な人でした。そして心優しい人でした。
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小林秀雄は、日本には真に詩人の名に値する者は稀だと言った武田麟太郎に、憤然として雑誌『四季』のあるページを示し、「君はこの詩人を認めないのか」と怒鳴りました。「この詩人」の名前は書く必要もないくらいでしょうね。もちろん中原中也です。
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石川啄木と萩原朔太郎は共に明治19年生まれです。朔太郎が文壇にデビューした時、既に啄木はこの世を去っていましたが、北原白秋よりも与謝野晶子よりも、朔太郎は啄木を評価しています。三好達治の言葉を借りれば、彼はまさに「啄木贔屓」でした。天才歌人と天才詩人を会わせてみたかったですね。
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悲しい時、辛い時、苦しい時ほど、傍らに本があることが救いになってきました。たとえ読むだけの精神的なゆとりがなくても、本の背表紙を見るだけで心が安らぐのです。本に囲まれた人生で本当に良かった。還暦を前にして心からそう思います。
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中国人バイヤーから芥川龍之介の代表作の自筆原稿を譲ってほしいと連絡があり、提示されたのは超高額でした。中国で人気の高い日本の近代作家と言えば、以前より芥川の名前も挙がっていたけれど、自筆原稿の需要があるとは驚きです。ちなみにお断りしました。
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近代文学の名著を読もう(再読を含む)としている方に、図書館で復刻本を借りることをお勧めします。『月に吠える』『春と修羅』『山羊の歌』など詩集は特に。中原中也と並び称される抒情詩人立原道造は「初版本で読むと詩の内容まで良くなる」と。復刻本でも十分に刊行当時の雰囲気が味わえるでしょう。
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芥川龍之介にロシヤ煙草を買い占めたと抗議された上山草人は、ほぼ全部を贈呈しましたが、芥川はそれを返送。送り状には「こんなに戴いては申しわけがない」「御好意に背かないために一本だけ頂戴する」と。他人への心遣いは命を縮める一因になったけれど、そんな彼を周囲の誰もが愛したのです。
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芥川龍之介を知らない青年と新年早々初版本の整理をしました。芥川の本も出てきたので「これ芥川だよ」と言ったら「へー、これでアクタガワなんですね」と。予想外の言葉でしたが、確かに簡単な読みではないのかもしれません。夏目漱石も初対面の芥川に献本する時、漢字でどう書くか戸惑ったそうです。
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日本の「文豪」といえば誰? 2位の「芥川龍之介」を抑えた圧倒的1位は? 【“読書好き”316人に調査】
皆さんのご意見を伺います。日本の文豪といえば最初に誰を思い浮かべますか?「その他」の方は返信でマイ文豪を教えて下さい。投票総数が「316人」を超えたら嬉しいです。
news.allabout.co.jp/articles/o/505…
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太宰治の初版本を差し上げた方が、若い頃太宰ファンだった高齢の御祖母様に見せたら、昔、自分も同じ本を持っていたと言われびっくり。本を手に取り『女生徒』を少し読んだ御祖母様は、「やっぱり太宰さんはいいね」とそっとつぶやき涙を流されたそうです。あるいは青春の思い出が蘇ったのでしょうか。
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泉鏡花は全集の出版記念会で、最初に尾崎紅葉、次に両親の名を挙げて、生きていたらどんなに喜んでくださっただろうと述べ、最後に「それからもう一人番町で、影ながら皆さんにお礼申し上げてゐる者がございます」と妻すゞにも触れました。律儀にして愛情細やか。鏡花の人柄がわかる挨拶だと思います。
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太宰や芥川を思春期に読んで心身の調子が悪くなった人は一人も知りません。彼らの小説で生きる糧を得た若者は大勢知っていますが。 twitter.com/Q67Gi/status/1…
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次に紙幣の人物が変わる時は与謝野晶子を入れてほしいです。『みだれ髪』で短歌の革新を成し遂げ、源氏物語を現代語訳し、11人の子どもを育て、教育と女性の地位向上に尽力した晶子。「君死にたまふことなかれ」が紙幣登用の逆風になってはいけないと思います。令和に相応しい平和を願う歌なのだから。
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佐藤春夫が『田園の憂鬱』の筋を谷崎潤一郎に話したら、大いに褒めて「饒舌つてばかりいないで本当に書くんだよ」と。春夫はここで自信を得なかったら、多分何も書く気になれなかったそうで、「今迄の文学的生涯の中で、一番嬉しかつた事」と大正9年に語っています。二人の奇しき縁のスタートでした。
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ある文豪の新刊書店で手に入らない「名作」の出版企画を、ダメ元で親しい編集者に持ち掛けたところ、何と来春の刊行が決まりました。ネットはもちろんのこと、全国の書店で購入できます。企画料はゼロですが、ファンの皆様には必ずや喜んでいただけるかと。情報が解禁になったらすぐにお知らせします。
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さいたま文学館特別展「永井荷風」関連イベント「対談&ビンゴ大会<初版本>」(10月16日14時、無料)のお知らせ
山中剛史さんと初版本に関するお話をします。ビンゴ大会は参加者全員に文豪の初版本(署名本も)をプレゼント。申込は電話(048-789-1515)で今日から8月31日まで。定員を超えた場合は抽選です。