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谷崎潤一郎の命日にあたり、彼の言葉をいくつか紹介しましょう。谷崎の心の奥底が垣間見られる気がします。
「たとへ神に見放されても私は私自身を信じる」
「我といふ 人の心は たゞひとり われより外に 知る人はなし」
「僕は親子兄弟と云ふ血縁の関係にある者に対しても打ち解ける事が出来ない」
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高齢の初版本コレクターがお亡くなりになって、遺言により処分を任されました。本には1冊ずつ購入した金額を書いたメモが挟まっていて、それを見た遺族の期待値はマックスまで高まり、先日は相続税の心配を。「今の売却価格の相場は買値の十分の一以下です」とはとても言い出せない雰囲気でした。
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今日は宮沢賢治の誕生日です。紫式部が亡くなってから千年近く経ちますが、千年後、もし日本や世界が滅亡していなければ、近代文学の代表とされている作家は誰なのでしょうか。漱石?谷崎?芥川?太宰?三島?もちろん正解を知ることはできませんが、賢治は最有力候補の一人だと思います。
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高校国語教師の知人によると、『羅生門』「下人の行方は、誰も知らない」の続きを考える問いに、「下人は反省して老婆に着物を返した」と答える生徒が最近増えたそうです。初出誌で「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ強盗を働きに急ぎつゝあつた」と書いた芥川龍之介が知ったらさぞ驚くでしょう。
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さいたま文学館の責任者から元ツイートの削除を求められ一蹴しました。不都合な事実なのでしょうが、言論封殺の愚行に屈する人間ではありません。誤植ではない図録奥付の1行5文字を削除するのに、修正の貼付では足らず印刷し直すのはなぜなのか。『国語教科書の闇』の次は『文学館の闇』を書こうかな。 twitter.com/signbonbon/sta…
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稀覯本や貴重本に触れる時、いまだに手袋をしている人を目にしますが、素手の方が良いです。手の汗や汚れは洗えば問題ないけれども、手袋に付着した埃は目立たず、またページを捲る時に紙を痛めるリスクがより大きくなります。手袋のメリットは「本を大切に扱っている」というアピールくらいでしょう。
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今日、さいたま文学館を訪れ、永井荷風の机に懐かしむように触れていた高齢の女性は、17歳の時、荷風と浅草の蕎麦処「尾張屋」で会ったそうです。そこの店主が教えてくれました。「いつもストリップの帰りに来るんだよ」と。ちなみに彼女は神保町に住み、なんと古本屋の娘。ドラマのような話ですね。
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太宰治の初版本に関する嬉しい新発見のお知らせをいただきました。間違いなく、この情報で日本一興奮するのは自分なのですが、太宰ファンであれば誰でも喜んでくださるでしょう。今月中に発表があると思います。どうぞお楽しみに!
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太宰ファンの方は是非どうぞ。
太宰治が親友に贈った友情の証し 親友を描いた肖像画や書簡見つかる 三鷹市ギャラリーで初公開yomiuri.co.jp/local/tokyo23/…
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読書週間が始まると、メディアは必ず「若者の読書離れが深刻」といった暗い話題を流しますが、たまには「文豪の小説を初版本で読みたいという若者が増えてきた」といった明るい話題も提供してもらいたいものです。
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知人の老人ホームで文学サークルの座談会に参加し、好きな作家は夏目漱石と話したら、ある男性が「実は、私は漱石の孫なんです」と言うのでびっくり。さらにもう一人の男性も「私も漱石の孫です」と。知人によれば、この施設には「漱石の孫」が3人いるとか。のどかな時間が流れ、大いに癒されました。
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今日は泉鏡花の誕生日です。子どもの頃に母親を亡くした鏡花は、終生母への思慕が消えませんでした。母親の愛情に飢えていたのは夏目漱石や芥川龍之介も同じで、それが彼らの文学の源泉の一つだったのかもしれません。ちなみに鏡花の母と妻の名前は共にすゞ。鏡花にふさわしいロマンチックな話ですね。
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太宰や芥川を思春期に読んで心身の調子が悪くなった人は一人も知りません。彼らの小説で生きる糧を得た若者は大勢知っていますが。 twitter.com/Q67Gi/status/1…
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明治時代に書かれた泉鏡花の新出の俳句が、令和になって大量に見つかるのだから、くどいようですが日本近代文学は眠れるお宝がまだまだ山のようにあります。発掘するのは皆さんかもしれません。
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日本の「文豪」といえば誰? 2位の「芥川龍之介」を抑えた圧倒的1位は? 【“読書好き”316人に調査】
皆さんのご意見を伺います。日本の文豪といえば最初に誰を思い浮かべますか?「その他」の方は返信でマイ文豪を教えて下さい。投票総数が「316人」を超えたら嬉しいです。
news.allabout.co.jp/articles/o/505…
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萩原朔太郎の『月に吠える』無削除版を前橋市に寄贈したことにより(前橋文学館所蔵)、紺綬褒章を受章しました。本1冊の寄贈で同章が授与された例は過去にないそうで、大変光栄です。近代文学に導いてくれた前橋女子高校出身の母も、きっとお墓の中で喜んでいると思います。 youtu.be/N0JHhgT_Qkk