初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(新しい順)

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今、目の前に調査の依頼を受けた太宰治直筆の新出資料があります。80年以上前に書かれ、もちろん全集未掲載です。お酒を飲むよりもサウナに行くよりも、こういう物を見ている方が一日の疲れが飛んでいくのはおかしいでしょうか。いやきっと、このアカウントをご覧の皆様はわかってくださると思います。
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「本を読まないで語彙力がアップする方法はありますか」という質問を受けました。自分は本を読んで語彙を増やした人間なので、「谷崎も芥川も太宰もみんな読書家でした」と問いの期待に反する回答しかできません。ネットでは「会話による語彙力アップ」が出てきますが、相手を選ぶのが難しそうです。
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芥川龍之介(の文学)が好きな人の中には、太宰治(の文学)は嫌いという人も結構いますが、太宰は好きで芥川は嫌いという人は少ない気がします。太宰は芥川が好きだったけれど、芥川は太宰を知らなかった(だから好きも嫌いもない)ことが影響しているのでしょうか。ちなみに二人とも好きです。
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隣のテーブルにいたご婦人の「織田君よくやった」という言葉を小耳に挟み、太宰治の「織田君! 君は、よくやった」をお茶の席で話題にするとは、何と素敵な方だろうと思ったら、フィギュアスケートの選手の話題でした。「『織田君の死』ですね」などと、得意げに話しかけなくて本当によかったです。
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フォロワーさんから「学校の図書館に近代文学の本が少なくて」という嘆きの言葉が届いたので、「伊達直人」で送ろうかと。でも善意の押し付けは迷惑だと思い、本人の了解の下で学校に連絡したら「いりません」の一言。しかも全クラスのホームルームで「犯人探し」まで。本の寄贈の難しさを学びました。
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本日、川端康成や三島由紀夫など多くの作家が愛し、檀一雄『火宅の人』の舞台となった御茶ノ水の山の上ホテルが新装オープンしました。超絶美味しいマンゴープリンも健在。もちろん綺麗になったけれど、落ち着いた雰囲気はそのまま。オリンピックもインバウンドも無縁なところが大きな魅力なのです。
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凄い写真集が出ました。『素顔の文士たち』(田村茂、河出書房新社)です。太宰治の「最期の27枚」を初めて完全収録。鎌倉文庫前の川端と久米、猫と戯れ破顔一笑する若き三島、煙草をくゆらす春夫、実篤の絵を飾った光太郎、息子を肩車する安吾など81人が登場。本棚がたくさん写っているのも嬉しいです。
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その昔田中角栄の演説を聞いた人が、「広い会場で自分だけに話してくれている錯覚を抱いた」と言っていました。太宰治の小説も、熱狂的な読者は自分だけに語りかけていると思います。角栄と太宰。今なお絶大な人気を誇る二人は、職業こそ異なれども、人を虜にする点では相通じるものがあったようです。
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太宰治の作品中の「天国」 「私には天国よりも、地獄のほうが気にかかる。」『佐渡』 「天国へ行くか地獄へ行くか、それは神様まかせだけれども、ひょっとしたら、私は地獄へ落ちるかも知れないわ。」『貨幣』 「地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。」『人間失格』
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某スポーツ新聞社から、昨日逮捕された女優が映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」に出演していたことについて電話取材を受けました。「天国の太宰はどう思いますかね」というくだらない質問があったので、「太宰は天国にいるとは限らないでしょう」と答えておきました。記事にはならないと思います。
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谷崎潤一郎の『人魚の嘆き』は、名越国三郎の挿絵2枚の削除を条件に発禁処分を免れた大正6年版初版本が有名ですが、大正8年版『人魚の嘆き・魔術師』の水島爾保布による絵も負けないくらい怪しげです。しかもこちらは大判なので、画集のように見栄えがします。復刻はされていません(3版まで確認)。
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泉鏡花の誕生日を祝し、特に人気の高い初版極美完本をアップします。処女単行本『活人形』、『高野聖』(カバー)、『風流線』正続(袋)、『婦系図』前後編(カバー)、『日本橋』(函)です。やはり鏡花本の美しさは格別ですね。
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墓の名前を書いた人(後編) 太宰治→本人、檀一雄→草野心平、坪内逍遙→市島春城、土井晩翠→本人、徳冨蘆花→徳冨蘇峰、中野重治→原泉(妻)、中原中也→本人、夏目漱石→菅虎雄、二葉亭四迷→池辺三山、正岡子規→陸羯南、正宗白鳥→本人、三好達治→本人、森鷗外→中村不折、横光利一→川端康成
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墓の名前を書いた人(前編) 芥川龍之介→小穴隆一、石川啄木→宮崎郁雨、泉鏡花→笹川臨風、岩野泡鳴→本人、上田敏→岡田正美、尾崎紅葉→巌谷一六、梶井基次郎→中谷孝雄、川端康成→東山魁夷、国木田独歩→田山花袋、斎藤茂吉→本人、志賀直哉→上司海雲、島崎藤村→有島生馬、田山花袋→島崎藤村
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フォロワーさんにプレゼントした芥川龍之介の初版本が、台風19号により水没してしまったそうです。大切にされていたようで嘆き悲しみが深く、少しでも慰めになればと願い、後日同じ本を差し上げることにしました。改めて、天災や戦災を免れて現存している書物のありがたさを感じないではいられません。
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芥川龍之介・中原中也・太宰治も愛した「ゴールデンバット」の終焉。「1日に芥川龍之介の墓を訪れてみると、花とともにやがて姿を消してゆく、ゴールデンバットが封が切られた状態で置かれていました」という感動的な画像とともに、芥川の映像も見られます。 www3.nhk.or.jp/news/html/2019…
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芥川龍之介は与謝野晶子に「奥さん、私は平凡な女の最初の良人になるより、秀れた女の十一人目の恋人になる事を望みます」と語りました。なぜ「十一人目」なのかは不明です。『みだれ髪』の大歌人を「奥さん」と呼ぶのは違和感を覚えますが、夏目漱石も手紙で「与謝野の細君」と。そういう時代でした。
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今日は正岡子規の命日です。遠くイギリスで訃報に接した夏目漱石は、「倫敦にて子規の訃を聞きて」と題し、5句を高浜虚子に書き送りました。特に「手向くべき線香もなくて暮の秋」は秀句です。漱石は『吾輩ハ猫デアル』中編の序文で親友を追悼。誰よりも彼に『猫』を読んでもらいたかったのでしょう。
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映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の公開に合わせたかのように、最近ヤフオクに『人間失格』初版本の出品が増えていますが、太宰の自殺直後に刊行された本書は大量に現存し、帯がなければ相場は3,000円位(保存並の場合)です(帯付は15,000円位)。「便乗商法」にご注意ください。 twitter.com/signbonbon/sta…
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室生犀星の詩「本」。季節違いだけれど、美しい詩はいつ読んでも美しいです。そして「新しい頁をきりはなつ」(アンカットのこと)と書いた時、意識せずとも犀星は初版本を思い描いたに違いありません。それは、あるいは盟友・萩原朔太郎の詩集だったのでしょうか。この詩に心から共感できて幸せです。
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もう一つ想定外なことがあって、本に架空の蔵書印が捺されていました。中学校の図書館の蔵書という設定だったからです。蔵書印がテレビに映ったのは1秒足らずで、捺されたページの裏からの撮影でした。そこまで演出に拘るのは立派だと思いますが、借りた物であることだけは忘れないでほしかったです。 twitter.com/signbonbon/sta…
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昔は「あー、啄木が死んだ年齢を超えてしまった」という感慨があり、その対象が中也になり、芥川になり、太宰になったものですが、漱石を超えたあたりからは何も考えなくなって、気がつけば朔太郎も超え、鷗外すら射程内に入りました。誠に少年老い易く学成り難しであります。
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今日は谷崎潤一郎が千代夫人と離婚し、佐藤春夫が彼女と結婚することを3人の連名で発表した日です。世に「細君譲渡事件」と称され当時の新聞にも「友人春夫氏に與ふ」とありますが、物ではないのだから千代夫人の尊厳を傷つける呼び方はいかがなものかと。春夫に愛された千代は幸せだったと思います。
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母が小学校6年生の誕生日にプレゼントしてくれた手作りの「近代作家リスト」の一部です。武者小路実篤は健在でした。改めて見返すと、このリストに出ている作家の初版本を蒐めたことに気が付きます。感謝の言葉しかありません。
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菊池寛は芥川龍之介の作品の愛読者を自認し、「志賀君と谷崎潤一郎君と君のものと丈は、万難を排して読んで居る。読めば必ず報いられるからだ」と語っています。菊池が芥川を愛読したことは当然ですが、「万難を排して」志賀と谷崎を読んだことは驚きを禁じ得ません。さすがは小説の神様と大谷崎です。