初版道(@signbonbon)さんの人気ツイート(いいね順)

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新型コロナウイルスに最高の警戒が必要なのは当然ですが、過度のストレスは免疫力を弱めるので注意してください。「恐るべき神経衰弱はペストよりも劇しき病毒を社会に植付けつつある。」夏目漱石の言葉です。
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これで印刷ミスではないのだから驚きます。内田百閒の第一創作集『冥途』の初版本(大正11年、稲門堂書店)です。この本はノンブルがないので、落丁や乱丁の確認も大変。ちなみに、本書は関東大震災で紙型が焼失し、初版限りで増刷されませんでした。あれこれ怪奇幻想文学に相応しい話ではあります。
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恋愛小説に対する批判は昔からあったようですが、泉鏡花は「恋愛小説を陳腐だと云つて攻撃する者がありますが、地球の形だつて何時も円いではありませぬか」と反論しました。さすがは鏡花小史、「地球の形」を例に挙げるとはスケールが違います。
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初版道の発案により川端康成『少年』(新潮文庫)が3月28日に発売されます。今年、没後50年を迎えた川端の少年愛に溢れる名作の初文庫化。巻末エッセイの宇能鴻一郎さんも推薦しました。ちなみに、新潮社からのお礼は当該文庫本3冊とのこと。さすがは文芸の新潮、実に太っ腹で感謝の言葉もありません。
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芥川龍之介は亡くなる2年半前、記者に一番懐かしい人物を聞かれ「それは夏目先生です」と。そして「先生が我儘な位正直な所も宜いですね。それから先生の趣味も好きですね。それから非常に親切だつたことも嬉しかつたですね」と語っています。2人の交流が僅か1年だったことが本当に残念でなりません。
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太宰治は女性にモテるイメージが強いけれど、意外にもそうでもなくて、飲み屋でやけになって「僕は太宰治という小説家だ」などと女給に威張ったことも。もっとも相手はそんな名前を知るはずもなく、一緒に行った人たちは抱腹絶倒したとのことです。今だったら間違いなくモテモテだったのに残念でした。
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炎上したLINEヘルスケアの医師は「芥川龍之介とか、太宰治とか、頭の良い人は大体自殺していますので生きている価値がないというのは正解なんでしょうね」と。しかし彼らは人が生きることの価値を否定していません。自分が生きる意味を悩んだのであり、こんなところで名前を出されたのは迷惑でしょう。
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自ら命を絶った作家はしばしばその行為を批判されます。しかし暖衣飽食の批評家が与り知らない苦悩と闘いながら、彼らは一つ一つの作品を残したのに違いありません。「文学はね、骨身を削る仕事なんだ。恥部を曝けだすわざなんだ。あくまで孤独に耐えなければならない苦業なんだ。」太宰治の言葉です。
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以下に挙げるのは、高校国語教科書によく採録される「定番小説四天王」です。一番好きな作品はどれですか?
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映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』の公開に合わせたかのように、最近ヤフオクに『人間失格』初版本の出品が増えていますが、太宰の自殺直後に刊行された本書は大量に現存し、帯がなければ相場は3,000円位(保存並の場合)です(帯付は15,000円位)。「便乗商法」にご注意ください。 twitter.com/signbonbon/sta…
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今は昔、売り出し中のIT企業経営者とラジオ番組で対談し、彼が「紙の本はあと10年もしたら絶対に消えます」と言ったので、「いや、50年後にも必ず出版されています」と応じました。それから約30年。もちろん紙の本は健在です。20年後も同じでしょう。そして皮肉にも、消えたのは彼自身だったのでした。
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今日が川端康成の命日であることを思い出し、何か初版本をアップしようかと。お問い合わせが多い『少年』(昭和26年、目黒書店)にします。BL文学の傑作として有名になりました。
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大笑いする谷崎潤一郎。文豪に恐縮ではありますが、可愛いですね。
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坂口安吾は「太宰とつきあつて、腹をたてるのは、たてるほうが馬鹿だよ。ああいふ種類の作家は遠くから見てゐればいいんだよ」と言ったそうです。全くその通りでしょう。しかし太宰の周囲の人々は、それを承知の上で彼に近づいたのだと思います。人たらしと言われようが、それもまた太宰の魅力です。
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夏目漱石とシャーロック・ホームズが殺人事件に挑む画期的な小説が、島田荘司『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』(昭和59年、集英社)です。漱石とホームズの性格が実によく描かれ(特に初対面のシーン)、文庫本で読めます。人に小説を薦めることは滅多にありませんが、2人を愛する人に読んでほしい傑作です。
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太宰治の初版本を差し上げた方が、若い頃太宰ファンだった高齢の御祖母様に見せたら、昔、自分も同じ本を持っていたと言われびっくり。本を手に取り『女生徒』を少し読んだ御祖母様は、「やっぱり太宰さんはいいね」とそっとつぶやき涙を流されたそうです。あるいは青春の思い出が蘇ったのでしょうか。
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芥川龍之介の葬儀における泉鏡花の弔辞とその下書きです。夥しい修正が、年下ながらも心から敬愛する芥川への別れの言葉に、鏡花が心血を注いだことを物語っています。「生前手を取りて親しかりし時だに、その容を見るに飽かず、その声を聞くをたらずとせし」まさに恋人の死を悼むが如しです。
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太宰治の次女の作家津島佑子さんは、昔お会いした時「父は文学史の中の人です」と語り、好きな作品は『黄金風景』と即答されました。今日、長女の園子さんも旅立たれ、今ごろ太宰は妻と子ども3人と72年ぶりに揃って、海に石の投げっこをして笑い興じているかもしれませんね。『黄金風景』のように。
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「芥川賞の季節になるといつも太宰治を思ひ出す。」(佐藤春夫)
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谷崎潤一郎は泉鏡花の文学を「しばしば異常な物や事柄が扱はれているにも拘はらず、そこには何等病的な感じがない。それは時として神秘で、怪奇で、縹渺としてはゐるけれども、本質に於いて、明るく、花やかで、優美で、天真爛漫でさへある」、そしてその世界は純粋に「日本的」だと。全く同感です。
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講演前にくつろぐ芥川龍之介と久米正雄(大正13年、早稻田第一高等学院)。芥川は「プロレタリア文芸」について講演し、その将来に期待を寄せました。彼に小林多喜二の『蟹工船』を読んでもらいたかったと思います。
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ドクロは魔除けになるとも言われるので、これらの画像が皆さんのお守りになることを願います。
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大正8年冬、友人宅で萩原朔太郎の『月に吠える』を手にした宮沢賢治は「ふしぎな詩だなあ」と言いながらページを捲り、目が異様な輝きを帯びてきたそうです。後に「心象スケッチ」の原稿を読んだ友人が「ばかに朔太郎張りじゃないか」と指摘したら「図星をさされた」と。『春と修羅』誕生の背景です。
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散歩中に麦のリードが外れ、一人で走り出しました。まだ生後5か月で家の場所はわかりません。慌てて追ったら転んで足を負傷。痛みに耐えて起き上がろうとした時、麦が振り向き駆け寄ってきて、「どうしたの?大丈夫?」という顔で飛びついてきました。どんな初版本を手に入れた時よりも嬉しかったです。
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「拡散をお願い申し上げます」 『日本古書通信』3月号に「復刻版の展示について」を寄稿しました。展覧会監修者が「美しい装丁を実物によって鑑賞し」と挨拶文に書きながら、最も重要な本ですら復刻版を展示する絶望的な現状への批判です。編集長の許可を得て全文をアップします。是非お読みください。