好きだと気づいた頃には、もう手の届かないところにいた。春の終わり。諦めたいのに、君は私にばかり恋愛相談をする。「また彼女の話?」何度目かの呼び出しで、君は首を横に振った。「今は彼女いないよ」その言葉を聞いて、押し殺していた感情が苦しいほどに溢れてきた。「私……」「妻ならいるけど」
他の子にはドライなのに、私にだけは優しい。おまけに、しょっちゅうLINEが飛んでくる。そんな毎日で意識しない訳がなかった。「ねえ、なんで私だけご飯とか誘ってくれるの?」君は考える間も無く答えた。「特別だからだよ」粉雪の舞う帰り道で君が振り向く。「恋愛対象として意識しなくていいし」