西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(リツイート順)

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暦。伝説は語り継がれるうちに設定が細かくなっていきます。ジェイムズ・グレイスの『青柳』(1910)にある七夕伝説の織女は身なりにかまわずひたすら作業に没頭する娘。髪の毛ぼさぼさで地味な服を着て、いつも締め切りに追われているのですーー
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雑。マザー・グースはガチョウに乗ったおばさんなのか、ガチョウのおばさんなのか。英国では乗ったおばさん説が有力で、おばさんがガチョウに乗って冒険する連作があるわけです。ガチョウ変身説もございます。なおマザーは役職名であって実体は美しいお姉さんという解釈もあります。ややこしいのです。
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暦。6月23日夜は聖ヨハネ前夜。今宵、魔女たちが大空を飛びまわるとされておるのですが、その理由がいまひとつ不明なのです。同伴者はどんなアクロバット飛行をしても落下しない黒猫たち。おかげで黒猫グッズは飛行関係ではラッキーアイテムとして大人気であります。
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暦。1905年のパーティーヒント集を点検しておりますと、春先のおすすめに「ネコヤナギパーティー」なるものがありまして。家中をネコヤナギで飾って主催者はネコヤナギのコスプレ(各人想像せよ)をして、みんなでネコヤナギゲームをするとのこと。もっていきかた次第でオカルト儀式になりそうです。
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妖精。ムーンスピナーたちが紡いだ銀糸は妖精王と妖精女王の御召し物に使われるのであります。金糸はもちろんサンライトスピナーが紡ぎます。妖精界の日常を丁寧に描くにあたり、昆虫の生態を参考にするのも近代の特徴なのであります。絵はデュリン。
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雑。スマホを見れば正確な時刻がわかり、腕時計すら着用しない人が増える現在なればこそ、17世紀末の携帯日時計を正確に運用してみたい衝動に駆られるのであります。魔法の時刻はひとつではない、とよくわからない言葉をつぶやきたく思います。
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本日は #時の記念日 ということで関連伝承。 ・古い時計のねじを巻いて動かすと忘れていた何かが動き始める ・割れた砂時計の砂はアンラッキー 割れた砂時計の砂はいろいろと呪術的応用が伝わっておるのです。
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謹賀新年。西洋魔術博物館、本年もよろしくお願い申し上げます。  絵はウィリアム・ブレイクの「虎」。この人の絵はオカルト関係者が大いに好むところであります。
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続・聖アントニウスの誘惑。何度も引用しておりますが、「誘惑されて、それをはねのけてはじめて聖人である」とは聖アウグスチヌスのお言葉。誘惑なしで品行方正なのはもてないだけ、なんだそうです。深く心に刻まれるのであります。
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雑。薔薇の茂みには一か所ぽっかり空いた空間があって、そこは守護妖精さんの詰め所なんだそうです。妖精さんはつぼみたちが開花するまで見守ったあと、他の妖精たちに誘われて遊びにいってしまい、帰ってくるとーーエメライン・S・スミス『妖精の探訪』(1847) は言葉遣いが興味深い佳作なり、と。
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ーー「こんなものを目にできるとはなんという幸運か」。こういった一連の変成を術式化して儀式に組み込む作業を19世紀のオカルティストたちは好んで行っておりましたので、後続の者たちも民話童話の類を渉猟するのであります。絵はラッカム。
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#伝説級の猫 当館からはご存知「ふとりたおした猫」を。1985年、ロンドンはノッチングヒル界隈をシメていた大物。ほとんどケットシーであります。
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雑。妖精からプレゼントされる代表的アイテム ・幸運の財布(常に金貨三枚が入っている) ・七里靴 ・暗闇の帽子(不可視効果) ・願望の帽子 ・鋭利の剣(万物を切断して刃こぼれしない) ・象牙の鏡(あらゆる場所を映し出す) ・空飛ぶ絨毯 一番恐ろしいのは言うまでもなく願望の帽子です。
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雑。魔女が箒に乗って飛行するのは魔女本人の能力か、それとも箒に備わる機能によるものなのか。『エルフィーと雲の国』(1892)では後者の解釈となっています。魔女の箒は目にみえない翼がついた馬みたいなもので、これなら魔女でなくとも飛べるわけです(上手下手はありますが)。
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金曜日は13と一緒になってはじめて不吉になるのでしょう。13番目のユダ、キリストの処刑日が金曜という組み合わせです。他の伝承たとえば「曜日の子供たち」では「金曜生まれは優しい子」なのであります。前後の木曜の「行ったっきり」土曜の「生きるのに必死」に較べるとかわいいもんです。
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雑。屋内での幽霊出現のホットスポットといえば階段周辺であります。真夜中に階段をおりていくと一番下で幽霊に会えるとか、その種のフォークロアには事欠きません。上界と下界をつなぐ装置は不意に起動して魂をとりこむのであります。面白や、と。
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ナーサリーマジック。夢のなかで目を覚まし、さんざん遊んで日没を迎えて夢のなかで眠るという子供の頃のルーチン。いろいろな妖精さんと知り合えるのです。63歳を過ぎるとふたたび始まるという説もございます。絵はラフェトラ・ラッセル。
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雑。ジレット・バージェスの現代童話『活気の街リグ』(1899)ではグランドピアノが風車に恋をします。いろいろあって結ばれた二人(?)の間にイオリアンハープと手風琴が生まれてめでたしめでたし。機械に人格を与えて恋愛させる話は結構見受けられますが、楽器と相性がいいような。絵もバージェス。
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雑。ハロウィンは占いの特異日ですから、パーティー主催者はエージェントから占い師を派遣してもらいます。1920年代のアメリカでは、魔女が開くゴーストパーティーにジプシーがやってきて手相を見るというなんとも濃い風景があちこちで見られたのであります。面白や。
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暦。11月11日は第一次世界大戦の停戦記念日。戦時中に出回った絵葉書の類が非常に興味深いのであります。当館では幸運お守り系を集めておりますが、それ以外に目につくのが「子供ミリタリー」とでも称するのか女児に軍服やナース服を着せるジャンル。どのあたりに需要があったのか?
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印象。魔女になりたい子供、あるいはウィッチ・チャイルドが登場し始めるのが19世紀末ぐらいか。定番描写である醜怪老女にまじってちらほらと子供の魔女が出現するようになるのです。最初は遠慮がちに小さなカットでしたが、だんだんとアイキャッチャーに。図はマザーグースメロディーズの扉から。
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雑。呪われた武器でつけられた傷は普通の治療では治らない。その武器の呪いを解く必要があるという発想。いわゆる「武器軟膏」もこの範疇でありましょう。短剣で刺されたら、その短剣に軟膏を塗るのであります。薔薇十字系治療法として記録多し。さすがに各方面から反論され、18世紀には廃れた模様。
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暦。12月26日はボクシングデイ。みんなで殴りあう日です。お約束ですので今年も言いました。  ボクシングデイの由来は諸説あって、使用人にプレゼントボックスを渡す日とか、教会の募金箱を開ける日とかいろいろと。とりあえず当館では「魔法を箱に入れる日」と定義しておりますーー
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「例のおまじない」。暖炉あるいは焚火の近くに男の名名前を刻んだナッツ類を置き 「わたしが好きならはじけてとんで  嫌いだったそのまま死んで」 と唱えます。ぴくりともしないナッツは火中に蹴りとばすのです。複数並べて最初にはじけた男が本命といった占い方もあります。ぴくりとも(以下略)
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雑。ホーンの暦本によれば、時折り教会墓地の土中より小さな砂時計が見つかるそうです。副葬品として棺に納められたもので「汝の時の砂は尽きたり」の意があるとのこと。きっちり死んどけということらしいです。この種の砂時計をコレクションする人もいるとか。小ネタとして。