西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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ーーーー蝶々に「仕事しないの? 遊んでばかりなの? それでいいの?」と呼びかけた少女が夢のなかで蝶の妖精に招待されて職業体験するお話。あちこちのお花に寄って蜜を吸うたいがいなお仕事でありました。もちろん夢落ちであります。
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雑。「幽霊馬車」phantom coach は「音はすれども姿は見えず」が基本のようです。真夜中にガラガラと馬車の音が聞こえてきて玄関先にとまるので出てみるとなにもない。だれもいない。ちょうどその頃、異国の地で家族が亡くなっていたりするのです。馬車が一般的でない時代になっても報告例はあります。
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幽霊馬車。spectral carriage といった表記もあります。図はスコットランド系の一家の前に出現したもの。ハイランドの貴婦人とおぼしき人を乗せた二頭立てが目の前でフェイドアウトし、雪道には轍の跡が残っていなかったそうです。霊視力を有するケルトの末裔には「見える」んでしょうーー
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雑。長期間火を絶やさない炉や竈にはサラマンダーが生まれるという伝承。赤ん坊のサラマンダーは七年で大人になるため、炉の火が七年以上燃え続けると図体をもてあました火蜥蜴が外に出て大災害を引き起こす場合があるとか。ゆえに製鉄所などでは七年を目安に火を一度落とすのがしきたりとかーー
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燃え続ける炉のなかでいろいろな残滓が残留/成長するのはよくある話でしょう。竈から逃げた火が大災害を引き起こすのもありがちな話。さよう、9月2日はロンドン大火の火であります。火の用心さっしゃりませ、と。
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雑。forspeaking といいまして、対象を度を越えて称賛することで不運をもたらすという呪いの一種であります。ちょっと聞くくらいではわかりにくいのが特徴。「ほめごろし」に似てなくもないかと。対処法がいまひとつ不明なのもやな感じです。
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forespeak 「予言する」とは別単語とされていますが、さて。対象が得られるであろう「死後の名声」を先取りするというコンセプトの呪詛ではないかと。「あなたの墓碑銘を考えてあげるわ、とても素敵なのを」と女学校ものの小説で読んだことがあります。とてもこわいです。
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スコットランドのゆりかご伝承 ・新品のゆりかごは不吉。古いのを借りるか、 あるいは先に鶏を入れて卵を産ませること。 ・ゆりかごを移送する際は空にしてはいけない。パンや小麦などの食物を入れておくこと。 ・家に運び込む際は決して地面につけてはならない。 魔術的に興味深いのであります。
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・空のゆりかごを揺らすとなにかがやってくる 夫にも子供にも先立たれて身寄りのないおばあさん。屋根裏でほこりをかぶっていたゆりかごを見つけて、ひさしぶりに揺らしてみました。それから二週間ほどたった頃、屋根裏から妙な音が聞こえてきます。覗いてみるとゆりかごのなかに子猫たちがーー
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ーーおばあさんは母猫を刺激しないようそっとその場を離れました。それからこっそりチーズやミルクを差し入れする日々が続き、ゆりかごの子猫たちも屋根裏で運動会を開催するようになりました。とまあ、よくあるお話ではありますが。
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雑。スコットランドも幽霊人口が過密なため、対処法も事務的にならざるを得ないんだそうです。 ・幽霊が出る部屋に円規を用いて直径5フィートほどの正確な円をチョークで描き、内側にテーブルと椅子を設置 ・卓上に聖書と蝋燭を置く ・出現する幽霊から話を聞きとり、適切な処置を約束する
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雑。スコットランドの伝承によれば、ハロウィンのおまじないで異性の心を得たとしても、結婚式でスペルブレイクを食らって逆効果倍増になるとのこと。結婚式が有する解呪効果は興味深いテーマとなりそうです。
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雑。魔法学校は昔から伝承上では存在していて、ローマ、トレド、セビリア、サラマンカといった都市にあったとされています。経営母体はさまざま。悪魔が経営している黒魔術校は全寮制で、学費がいらないかわりに卒業試験に失敗すると一生悪魔の召使にされてしまうとのことーー
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――黒魔術校では卒検の内容を事前に知ることが一番大事なのだそうで、悪魔教授を出し抜く話がいろいろ伝わっています。スコットランドの名門子弟がグランドツアーの折にイタリアの魔術学校に短期留学する話もありました。面白や、と。
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雑。ヘブル系伝承にて魔法剣を発見。ヨシュアの後継者ケナズは自分の武勇を他に示さんとアモリ人の陣営に単騎で夜襲。その際に剣から雷光が閃いてあたりを照らし、アモリ人は混乱して同士討ちを始めます。ケナズはこの剣で4万5千人を討ち取るのですが、そのためか剣が手から離れなくなってしまいーー
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雑。「賢者の杖」を求めてドルイドスタッフにたどりつくも「思ってたのとちがう」。材質はオークだそうで、実に武器としての説得力に富むのであります。剣を嫌う聖職者たちの心意気でしょうか。ダドリー・ライトのドルイド解説(1924)から。
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賢者の杖。五世紀スコットランドの聖人ニニアンの杖。もっぱら出来の悪い学生を叩くための道具だったのですが、それを嫌ったひとりが杖を持ち逃げして小舟で逃走。海上にて沈没しかけるも杖の不思議な力で対岸まで猛スピードで航行。杖は対岸で芽吹いて巨木と化したとのこと。神の御業なり、と。
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雑。ラウントリー・スミスの『フェアリーベイビーズ』(1824)に登場する「インク壺の妖精」たち。一次大戦後、この種の「新妖精」が数を増やして事実上の付喪神と化していく様子は面白いのであります。絵はドロシー・デュリン。手足が生えた黒い水滴ボディーはかわいいのでしょうか。
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さらにラウントリー・スミス。あまり裕福でない家の、しかし真面目な少女が毎日お使いで通る森のなかで靴造りの妖精に出会い、足を採寸されている図。やがて妖精から靴をプレゼントされるのですが、それを履くとフェアリー・ステップを踏めるようになるのです。お話はそこでお終いーー
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雑。妖精に会いに行く方法。 ・月光に照らした帽子をかぶり、口を閉じて両手を握りしめたまま妖精の丘に向かう。  これを行いますと、たいてい途中で人に挨拶して帽子を脱ぐ。しゃべる。なにかを拾うなどして失敗するのであります。なお「月光の帽子」は「なにも考えない」の意味でもありますからー
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雷が鳴っているので関係伝承を ・ネギが生える藁屋根には雷は落ちない ・トネリコは雷を引き寄せる ・火打石を左の肩越しに西に向かって放ると雷を呼べる ・教会の鐘を鳴らすと雷が退散する ・雷雨の際に鏡を見ると不吉 ・カミツキガメは雷が鳴るまで噛みつく 図は西洋で紹介された東洋の雷神さま。
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雑。チェンバースの記述によれば、印刷術が登場する以前の書物はとんでもない貴重品であり、裕福な貴族でせいぜい6冊、修道院で20冊程度しか所有していなかったとのこと。壁一面すべて書物といった光景は比較的近世の産物のようです。
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人形魔術関連で珍品に遭遇。「ベベ・ジュモー、生命を宿どす」(1893)。少女の願いがかなってお人形に生命が宿りますが、人形は「気がきかないわね。紅茶とサンドイッチはまだ?」「ああ、自由って甘美ね」ととうてい少女の手に負える代物ではない。ベベ・ジュモーと具体的に記述するのも珍しいーー
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雑。9月14日をもって英国ではコロナ対策として屋外屋内を問わず7人以上の集会を禁止する条例が実施されます。警察には違反集会を解散させる権限が与えられ、違反者には罰金が科せられます。これに困ったのが英国フリーメイソンリー。多数の儀式が七人以上で行われるからですーー
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ーーユナイテッド・グランドロッジでは会員に対して七人以上の集会を開かないよう指針を通達し、また儀式場でのマスク着用の徹底をはかっています。この状況が長引けば七人以下で施行する儀式を考案せざるを得ないでしょう。なにがきっかけで儀式が改変されるのか、わかったものではありません。