西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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風の薔薇の図。ようするに全方角の風に名前をつけて召喚対象としているわけで、そこから風を猟犬に見立てる術が派生した、と。術者は風の強い日に丘の上にたたずみ、魂を風に乗せて野山を駆け抜けていくのです。野外瞑想の一種かと。
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続・ガブリエルの猟犬。コーンウォール等の伝承によれば、この霊的猟犬たちは別名をスカイ・イェルパーともいい、闇夜になると比較的低空に出現するそうです。目に見えない猟犬の群れが吠えながら空を横切るとのこと。獲物は「義務を果たさずに逃げまわる魂」とされています。
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雑。不用意に「フェアリーブーツ」を履いてしまうと靴底が擦り切れるまで踊り続けるという伝承。ネズミの奸計にはまった猫が踊っております。すべてが夜の庭園日時計の周囲で起きている点にも注目。ロングマン読本から。
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雑。1848年の8月6日、英国海軍艦船HMSディーダラスが喜望峰周辺の海域にて巨大なシー・サーペントに遭遇。200ヤードまで接近して観察を試みるも全体像は判明せず。これが海軍へ正式報告されたため、当時の科学界は騒然としております。
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想像図では巨大ウナギの雰囲気ですが、目撃者の談話によるとヘビというよりはトカゲに近く、ひれを使って一定の速度で泳いでいたとのこと。酔っ払いの水夫の話ではなく、英国海軍士官の報告ですので世人も耳を貸すのであります。
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続・シー・サーペント。19世紀初頭の時点でこの謎の生物の正体はウバザメであろうと推測されていました。図は1809年に博物学者エヴァラード・ホームが発表したウバザメ研究論文から。腐敗するとこうなるという説明図が興味深いのであります。
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雑。1850年代のロンドンで次々に靴磨き協会が発足。身寄りのない少年たちを収容して靴磨きを教えて社会参加を促したとのこと。ロンドン万博では24名の精鋭を送り込んで結構な利益を上げたそうです。協会所属の靴磨き少年は制服を着用しているので一目でわかります。街の情報網としての役割も。
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特報:英国外務省ネズミ捕獲主任のパーマストン、引退を発表。 twitter.com/DiploMog/statu…
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雑。呪われた武器でつけられた傷は普通の治療では治らない。その武器の呪いを解く必要があるという発想。いわゆる「武器軟膏」もこの範疇でありましょう。短剣で刺されたら、その短剣に軟膏を塗るのであります。薔薇十字系治療法として記録多し。さすがに各方面から反論され、18世紀には廃れた模様。
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#世界猫の日 とのこと。 猫は変わらないのであります。120年前のキャットショーの入賞者たちもこの通り。猫の国と猫の王様の物語も400年前から語り継がれ、内容もほぼ一緒。面白きかな、と。猫魔術の伝承は滅びることなし。
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天。8月10日はグリニッジ天文台の創立記念日です。1675年の同天文台の創立は、チェンバースによれば「ろくなことはしなかったチャールズ二世の数少ない善行のひとつ」だそうです。写真は19世紀末のもの。ここが近代世界と時間の基準なのであります。
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グリニッジ天文台の役割のひとつは正確な経緯度の測定であり、それは航海術のためのものでもあります。ゆえにグリニッジは気象に関する情報も収集分類しておりました。「空が赤いから明日は晴れ」(マタイ伝)といったことわざ類も重要な研究対象だったのであります。
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人形魔術。どうもお人形の様子がおかしいとなると、お医者さんの出番であります。「脈がない」。そりゃないでしょう。処方箋としては、銀ボタンをお人形の服に縫いとめるとのこと。人形がからむとなにごとも呪術的になるのは致し方ないのであります。
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壊れた人形を手に泣いていると、見るからに怪しいドール・ドクターが現れる話は多いのです。無料で修理してくれるのですが、直った人形にはなにかが宿っていたりします。あるいは奇妙な条件がついたりします。面白いのであります。
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「お人形のお名前は?」 「マチルダ・ジェインよ」 「ではこれからはジェインとしか呼べないよ。マチルダは死んだのだから」 それでもマチルダと呼んでしまうと人形が腐りはじめるという、結構なホラーもあります。
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雑。魔法の杖のなかには、実は別用途の物品であったものも存在します。図は17世紀頃のスクラッチバック、ようするに「まごのて」。ドレスアップした貴婦人の背中がかゆくなれば他の手段がありましょうか。全長12から15インチ、ひっかき部分は象牙製。それほど数は残っていないそうです。
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人形魔術。キングズリーの詩「なくした人形」は示唆に富む名作としてさまざまなアンソロジーに収録されています。牧場でなくした世界一かわいいお人形。見つかったときは塗装が剥げて足はちぎれてぼろぼろだったけれど、思い出のなかでは今でも世界一かわいいお人形、と大人が回想しておるのですーー
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無くした人形は亡くした人形であって、戻ってくるときは別物になっているとか、いろいろと。なお見つかったお人形が修理不能と判断されたなら、「人形のお葬式」が執行されるのであります。夢のなかで壊れた人形に襲われるのもお約束。たいがい怖いです。
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雑。蒸気式孵卵室に紛れ込んだコカトリス/バジリスクの卵の図。産業革命の余波で万事に蒸気が適用されて巨大化・効率化が図られる世相を風刺したもの。ぱっと見でエッグプラントに見えないこともないのであります。謎の卵を温めるのはロマンチックな愚行なのでしょう。鬼が出るか蛇が出るか。
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雑。 お盆 the festival of the dead 迎え火 welcome fire 送り火 farewell fire 精霊馬 spirit horse 精霊流し spirit boat 盆踊り bon-dance だいたいこんな感じの表記であります。「ネクロマンシーの残影」とハーンが評したのは的確なり、と。
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さて藪入り。最近あまり見かけなくなった用語ですが、昭和十五年に運輸省が出した海外向け観光案内『日本の年中行事』によれば、「各地の寺院にあるエンマ像に巡礼する日」「エンマはハデスの判事」とのこと。なんかよくわかりません。図は同書のエンドペーパー。結構おしゃれだと思います。
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8月15日は聖母被昇天の日です。人間であるマリアさまは天使たちに支えられてBGMつきで昇天されたようです。合いそうな楽曲を考えてみてもよいかもしれません。「聖母の藪入り」などと不謹慎なことを思いつくのは我が身の業の深さゆえか。
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暦。8月16日は病者の守護聖人である聖ロクスの祝祭日。疾病に罹患して森のなかで苦しんでいたとき、犬に食物を恵んでもらって命をつなぐ話が有名です。その姿を刻んだ安価な木版画が護符として大量に出回り、マルセイユ系タロットの愚者像に影響を与えたとするのが当館の持論のひとつであります。
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雑。イモージェン・ギニーの『ブラウニーとボーグル』(1888)によれば、日本のブラウニーは子供たちを見張っていて、買い食いや立ち話に興じていると顔面に「悪」の字を浮かべて懲らしめにかかるとのこと。どうも善玉悪玉のお話が妙な伝わり方をしたらしいのですが、まあこれはこれで面白いので。