西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。7月22日はハメルンの笛吹きの日です(諸説あり)。1376年、ドイツはブラウンシュワイクのハメルンの街でドブネズミが大発生。駆除を依頼されたものの成功報酬を貰えなかった笛吹きが7月22日に百人余の子供たちを連れ去ったという事件であります。教訓:相手がなんであれ契約は守るべし。
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続。チェンバースの暦本によれば、昔からラットすなわちドブネズミの駆除は職業として成立していたとのこと。また猫の首に鈴をつけるのはネズミを追い払うために人間が率先して行う習慣だったそうです。図は17世紀のラットキャッチャー、別名をラットチャーマー。魔法の気配が漂うのであります。
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ナーサリーマジック。夢のなかで目を覚まし、さんざん遊んで日没を迎えて夢のなかで眠るという子供の頃のルーチン。いろいろな妖精さんと知り合えるのです。63歳を過ぎるとふたたび始まるという説もございます。絵はラフェトラ・ラッセル。
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雑。 妖精花嫁 fairy bride 。人間の女性が妖精に迎えられる状況でも用いられる表現ですが、たいてい邪魔が入ります。夏の宵に蝶の大群が飛び交ったりすると、妖精の婚礼が開かれるしるしと見なされます。さらに通り雨が蜘蛛の巣に水滴を与えて花嫁のネックレスにするのだとか。詩人の出番です。
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雑。影から派生する影魔法があるはずなのですが、いまひとつ追跡がむずかしい。  無邪気な子供にも影はつきまとうのであります。自分の影を好きになる子は変わり者なのかもしれませんが、きっと将来大物になると根拠なく思います。
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雑。オカルト界では虹の七色=七惑星の配属が常識であるため忘れておりましたが、英語圏では虹は六色なのであります。レッド、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、ヴァイオレット。世界に色をもたらすレインボウ・フェアリーズの物語を読んでいて再認識した次第。絵はジョンズ・バブコック。
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参考資料。1933年にアメリカで出版された美術読本。もっとも現在では英米でも虹は七色とする傾向が主流であります。そのあたりの推移は面白そうです。
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雑。妖精砲 fairy gun なる物騒な文言を発見。その正体は海に面した洞窟に波が直撃して発生する轟音。砲声そっくりの音で、海岸線から数十キロ離れた場所にまで到達するとのこと。音響系の怪異もまた興味深いのであります。絵は妖精砲がよく聞こえるというバンドランの絵葉書。
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#幽霊の日 教会近くの花壇で遊ぶ子供たち。時折り、幽霊が混じっているのですが、ちょっと見たくらいではわからない。数十年後にまったく同じ姿の子供に会って、それと気づくのだそうです。英国の幽霊話はどこか典雅でよろしゅうございます。
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雑。妖精さんのずぼらな金銭感覚に関する記述を発見。ようするに太陽が生み出す利子だけで暮らしているようなもので、ある程度貯まったら無くなるまで使う。使いきったら貯まるまで待つ。その指標が月の満ち欠けなんだそうです。すなわち満月になるとお買い物に繰り出すのであります。
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妖精さんもお金を使いきって新月になるとしょぼんとなり、反省するのです。無駄遣いはやめようと心に誓うのですが、満月になるとぱっぱらぱーと遊んでしまう。妖精との交渉ではこのあたりのサイクルを計算に入れておけとのこと。みょうに世知辛い伝承は面白うございます。
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雑。魔女が箒に乗って飛行するのは魔女本人の能力か、それとも箒に備わる機能によるものなのか。『エルフィーと雲の国』(1892)では後者の解釈となっています。魔女の箒は目にみえない翼がついた馬みたいなもので、これなら魔女でなくとも飛べるわけです(上手下手はありますが)。
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猫魔術。猫の国へ通じるゲートは「猫の丘」にあるというのです。年に数回、霧や雲に包まれた丘が眠った猫に見えるとき、そっとそれを撫でにいくとよいとのこと。そこから先の話は伝わっていないのです。投げっぱなしがキャットロアの特徴と申せましょうか。
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猫伝承。旅人がやめておけと言われたのに幽霊屋敷に泊まり込みます。真夜中になると人間より大きな茶色猫が出現し、旅人を見ると「こいつ食っていいかな?」と言います。するとどこからともなく「マーチンが来るまで待て」との声。さらに灰色猫、黒猫と出現し、同じやりとりが繰り返されーー
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ーーさすがに危険を感じた旅人は「マーチンによろしく」と叫んで逃げていきます。お話はここまで。マーチンが何者なのかは判明しません。これも結末があるようなないようなキャットストーリーの一例であります。
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猫伝承。おばあさんが引っ越しをした際、飼い猫を置き忘れてしまったのです。そこで迎えにいくと昔の家から人声が聞こえてきます。おばあさんがドアをノックすると中から二本足で立った元飼い猫が出てきて、おばあさんを一瞥するとミルクの入った皿を玄関先に置き、扉をピシャリと閉めてしまいました。
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この話には続きがあって、おばあさんと元飼い猫は一応和解するのですが、徐々に立場が逆転していくのであります。猫の恩返しの話は面白いのですが、恩を知るということは恨みも忘れないということでしょう。気をつけたく思います。
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さて八月。八月は豪奢な黄金のガウンをまとう壮年として描かれます。エスコートされているのはおとめ座のおとめ。かつて地上に豊穣をもたらしていた女神様ですが、人間の放埓さにあきれて天界に避難されたとか(諸説あり)。八月おやじがしっかり手を握っているのも事案であります。
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雑。美女に化けて修道院長を篭絡しようとした悪魔が聖ニコラスに蹴られるの図。インゴルツビー伝説の描写ですから歴史的信憑性など皆無ですが、キッキングセイントは珍しいのであります。蹴られた悪魔は地獄まで飛ばされベルフェゴールに激突したといいますからほぼ漫画表現。楽しゅうございます。
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雑。マザーグースに登場するゴッサムの三賢者。やはり天文博士を想定している例が多く、月星印の円錐帽をかぶっています。円錐帽は夜間の天体観察の際にかぶるもので、頭部を冷感から保護する一方、望遠鏡を覗きやすいようにつばがありません。星は読めても常識はわからない博士たちの図であります。
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雑。魔法の剣の鍛造法の記述。「天上の炎にて鍛えるべし」。どうしろいうのと思いきや、落雷によって燃えた樹木から採火せよとの指示。雷雨にランプを持って走り回ることになるので、それはそれで危険でありましょう。よい子は真似しないように。
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雑。魔法武器を捜索していて面白い鉱脈に遭遇。19世紀末の煙草のおまけカード「世界の武器」シリーズ。マシンガン、日本刀はいいとして、アイルランドのブラックソーンの杖「シレイラ」が完全に武器扱いされています。携帯鈍器としては世界最優秀の類なのでしょう。なかなか。
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雑。世界の武器シリーズから両手剣、ダガー、レイピア。魔法の現場でよく見かける刀剣類です。ダガーの人はブルータスか。両手剣は強大な悪魔に対抗する際に必要との伝承多し。レイピアは刃を取ったものを儀式で用います。
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こちらは対モンスター戦で見かける武器群。ラッパ銃は銀貨や銀ボタンを詰めて至近距離で発砲。ファルシオンは英国のワームに特効という記録あり。シミターは砂漠の妖魔が嫌うとの伝承(さらにネクロノミコン系で活躍)。
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奥義。ガブリエルの猟犬、あるいはアストラル・ハウンズと呼ばれる術。東西南北に命名済みの犬を三頭ずつ配する模様。「風の薔薇」の応用編のようです。あまり見かけないので面白やと。