西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。高さ、直径、ともに2㎝程度の金属円筒形蓋物で、振ってみるとなにか入っているのですが正体はわからない。チャームケースといいまして、お土産物屋さんでよく見かけます。危急存亡の際に開けるとその場をしのげるとのこと。いでよ〇〇。〇〇になにを入れるかで世代が分かれるのであります。
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こちらは18世紀北インドの対のチャームケース。一辺7㎝ほどの宝飾細工の箱で、おそらく花嫁道具か。新郎新婦を守護する精霊が封入されておったのでしょう。箱詰め/瓶詰精霊の類もユニヴァーサルな術式であります。
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雑。チャームの術を用いる人はチャーマーと称されまして、「対象を魅惑して自在に操る」のであります。対象は動物の場合が多く、蛇使いはスネーク・チャーマー。図はバグパイプで狼を操るウルフ・チャーマー。ハメルンの笛吹きもこの系統。
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さればキャット・チャーマーはと思いますが、これがとんと見当たらない。チャーム術に関して猫に勝てる人間などほぼ皆無なのでありまして、猫にチャームされてそれっきりの例ばかり。猫魔術おそるべし、と。
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雑。庭園日時計のシンボリズムは追求していて楽しい分野です。天文占星の基礎となり、メメントモリのきっかけとなり。密会の目印となり、おまじないの舞台となり。夜の日時計の使い道はほとんど魔法の領域であります。面白や、と。
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雑。暦本によれば、中世欧州の宿屋にはロドモントナイフと呼ばれる木製の包丁(?)が常備されていて、食堂でバカ話やほら話で騒ぎすぎる客へ渡して警告としたとのこと。ブレード部分に鈴がさがり、「木刀なれど小僧の法螺を切り詰めるに十分」的な銘文が記されています。魔法道具に流用できそうです。
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雑。夏場、英国の古い家屋の屋根裏などでカチカチカチと不気味な断続音が聞こえることがあり、death watch 「死神の時計」の音として凶兆とされました。正体はシバンムシ類の求愛音(諸説あり)なのですが、いずれにせよ心理的不安の投影でありましょう。面白や、と。
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Death Watch 伝承で興味深い点は、死神が伝統的砂時計ではなく懐中時計を所持していることでしょう。持ち物が近代化しておるのです。すなわちきょうびの死神はスマホを持っていても不思議ではないのであります。個人的にはiPhone が12から14にスキップすることを期待しておりますです。
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先ほどカーナビが「今日はオカルトの日です」などと口走りまして。調べてみると昔『エクソシスト』が公開された日なんだそうです。あれから何年たったのか。カーナビに通告されるほうがよほどオカルトでありましょう。 #オカルト記念日
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聖。7月15日は英国の聖スイジンの祝祭日。聖人には珍しい祟り系のお人で、没後の7月15日にお墓を移転しようとしたら豪雨となり、40日間降り続いたという伝説持ち。以降、天候聖人として尊崇を集めました。とんでもない大酒のみでらしたという話も。絵はスイジン伝から雨具姿の聖人。
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雑。ハーヴェイ・バトラーの『魔法の家』(1928)に登場する「海の妖精」は突っ込みどころ満載のお姉さんです。海中で紅茶を飲み、外出時には「魚を履いて」いくのであります。魚の王様とのラブストーリーが展開されていきますが、全体を覆う不可思議感がなんとも印象的。絵はフレイジー。
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雑。魔法の乗り物を入手するストーリー群は、20世紀に入ると魔法の自動車を現出させるのであります。もてないカエルもフロッグモービルに乗って彼女を誘うと「イエス!」と応じるという、アメリカ神話の新たな形でありましょう。デヴィッド・コーリーの『ジャンブル・ブック』(1920)から。
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雑。妙なものを見つけて読みふけってしまうのは悪い癖。コンウェイの短編「球根とケラ」(1880)では、春先に花咲くことを夢見て土中で眠る球根のもとにおケラの牧師がやってきて、逆さに植えられたら芽は地獄に伸びていく、悔い改めよと示唆。そして根っこを齧るのです。挿絵もなかなかの雰囲気。
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雑。魔女判別検査の方法としての「浮沈」は有名ですが、浮いたら魔女なのか沈んだら魔女なのか、そのあたりがはっきりしないのです。1825年にサフォークで起きた魔女騒動では容疑をかけられた男性が自ら「浮沈」審判を申し出て、何千という見物人のまえで10分間浮いてみせましたが群衆は納得せずーー
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ーー結局、警察や教会関係者が出動して騒ぎを鎮圧するはめになりました。この件はタイムズなどでも報道され、いまだ蒙昧の輩の多いことよと有識者の嘆くことしきり。なお19世紀半ばともなれば水泳は婦女子も嗜むべしとして、婦女子読本でも奨励されています。図も同書から。
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雑。こちらはダッキング・チェアと称される懲罰椅子。魔女のみならずコミュニティーの迷惑者を椅子に括りつけて川に沈めたり引き上げたりする装置。罪を洗い流すという発想でしょう。英国に事例多し。
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雑。生前いろいろやらかした人の葬儀の際、通りがかった人に金銭を渡して棺の上で飲食してもらうウェールズの奇習「シン・イーター」。故人の罪を背負ってもらうというコンセプトですが、これをしないと故人が幽霊化して地上をさまようんだそうです。地獄落ちしない程度の悪人は扱いが面倒であります。
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喜捨という形で罪を散らすわけです。神社仏閣の鳩に餌をやるのも、セントポール大聖堂のバード・ウーマンから一袋2ペンスの餌を買うも、発想は共通であります。面白や、と。
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雑。グランヴィルの花の擬人化シリーズをチェック中。この方面のスタンダードですが、サタイヤとカリカチュアが効きすぎて応用が難しい印象であります。
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グランヴィル。修道女に例えられるスイレン。それはともかく、悪魔の誘惑に鈍感なブルージュのウルスラ修道会修道女と、そこまで設定を詰める必要があるのか疑問であります。足元のコオロギ風悪魔が差し出しているのは「恋心の香り」。
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雑。古今東西、架橋は悪魔の仕事とされていて、世界中にデヴィルズブリッジが存在します。たいてい悪魔が「最初に橋を渡るものの魂」と引き換えに工事をしてくれるのですが、依頼者は餌を使って犬や猫を最初に渡らせるのであります。悪魔はそれを連れていって、意外とちゃんとかわいがるそうです。
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雑。以前も記しましたが、河川や峡谷は神が定めた境界であって、それに人為の橋を架けるという行為はややもすると高慢なのであります。なればこそ悪魔が施工を申し出てくるという発想でありましょう。悪魔が架けた橋の先になにが待つのか、大変興味深いです。
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渡河あるいは架橋という行為のシンボリズムを考察しますと、ヤボクの渡しにて天使とヤコブが格闘したいわゆる「天使の関節技」事件もなんとなく理由がわかるような気がしてくるのであります。境界を超えるための試練かと。
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雑。トマス・タッサによれば男子の一生は猿、獅子、狐にしてロバとのこと。  21歳までは猿の如く遊び  40歳までの獅子の如き日々はすぐに終わり  63歳までは狐の如く狡猾に過ごし  その後は驢馬の如く老いる 四種類の動物が描かれている寓意画は複数のレイヤーを有しておるようです。
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五島勉氏の訃報に接し。ノストラダムスが一次大戦中のツェッペリン飛行船によるパリ空爆を予言していたとの戦時宣伝。当の飛行船搭乗員たちが真に受けてしまい、ノストラダムスを守護聖人に採用したという話が『スーパーナチュラル・ウォー』に。予言とプロパガンダの相性の良さは抜群なのであります。