西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。昔のスコットランド低地地方ではあえて右手に洗礼を施さない習慣があったとのこと。荒っぽい渡世で盗んだり殺したりする罪をまえもって魂と切り離しておくという発想でしょう。後年の「栄光の手」の背景のひとつかもしれません。
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ハッシュタグを作って集めてみてもいいかもしれません。 見てるとしあわせになれるのです(一部の人が)。 #ふとりたおした猫
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雑。埋葬関連で調べますと、面白い呪詛(?)の類も見つかります。墓穴に棺を安置して、最後のお別れをする場面。花束を投げ入れるあたりが普通なのですが、なかには「硫黄」を投じて故人の赴く先を暗示したりする例もあったそうです。酒瓶とかは思いやりのある方でしょう。
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雑。妖精や妖魔の話をしようとすると表現や内容に魔法的なリミッターがかかる現象があるわけですが、そういうときは琥珀の装身具を身に着けると解除できるとのこと。スコットランドの語り部はビーズ状の琥珀を握りしめるそうです。図は紀元前エトルリアの琥珀宝飾。
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雨傘関連の伝承 ・雨傘を家のなかで開くと家族のだれかが死ぬ ・雨傘をベッドの上に置くとアンラッキー ・雨傘を手から落とすとアンラッキー。他人に拾わせるとラッキー。 雨傘伝承は米国に多い印象。霧雨が多い英国では雨傘はあまり役に立たないというか、持ち歩いてもさしはしないのであります。
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雑。先般、スコットランド低地地方の洗礼の際に右手を除外する話をしましたが、さらに調べると面白い手続きも発見。たとえば船乗りになると決めた人は21歳になるまでに右手に海水の洗礼を施して海神の加護を得るとのこと。おそらく林業などでも同様の儀式があったものと。
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図は16世紀頃のブロンズ。「ツインテールの人魚」と解説にありましたが、実際に見ると「思ってたのとちがう」。人魚と関係した男はその後陸上に戻ってもいろいろあって、子孫もまた海に魅かれて水死する運命にあるとのこと。それを回避するためにも海水による「右手の洗礼」なんだそうです。
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雑。希少例でしょうが、魔物が魔物に追われて人間に助けてもらう話を発見。夜道を歩いていたおばあさんの懐に突然ノウサギが飛び込んで身を隠します。すると首無し騎士と魔犬の一団が出現して、しかし丁寧な口調でノウサギを見かけませんでしたか、とおばあさんに尋ねるのですーー
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おばあさんが知らないと答えると、首無し騎士はそのまま立ち去ります。しばらくすると懐のノウサギは白衣の美女に変化し、自分も魔物だがいろいろあって追われる身、助けていただいたのでお礼がしたいと言い出すという物語。このときのお礼が面白くて、以降おばあさんのメンドリは常に卵を二個産みーー
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牛の乳の出は倍増、さらに口数が二倍になるので口喧嘩では誰にも負けなくなるとのこと。ここで物語は終わるのですが、だまされた首無し騎士がそのまま引っ込むとも思われず、妙な余韻がございます。図版は雰囲気用に入れたもので具体的関係はありませんです(失礼)。
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雑。聖職者の幽霊はどこかとぼけた方が多く、妙に人間くさいのが特徴のようです。1530年7月、コーンウォールかどっかの港町に幽霊僧侶の一団が現れ、漁船を乗っ取ってバーゼル公会議(1431)に向かったという記録があるのです。100年ずれるあたりが面白やと。図は飲んだくれの幽霊修道士たち。
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さて七月。スペンサーによれば七月は「背中に大鎌、腰に小鎌をたずさえ、吠え猛る獅子に乗るおやじ」であります。しかも暑いので「すべての衣服をかなぐりすて」とのこと。絵画では若干の布をまとっておりますが。マンスの擬人化も重要なマジカルイメージなのです。好き嫌いは別として。ええ。
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#人魚の日 とのこと。 19世紀前半、英国沿岸部で「おっさん人魚が飲んだくれている」という目撃事案が多発。煙草を吸いながらビールを飲んでいたとのこと。トドの昼寝かなんかという冷静な判断は行われず、「終末は近い」「神の怒りを畏れよ」といったプロパガンダにつながったそうです。
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図のおっさん人魚がどことなくピューリタン風なのは「節制を謳いつつも放埓をきわめる偽善者」の寓意なのだとか。fishy という形容詞が「いかがわしい、うさんくさい」の意で用いられるのも覚えておきたいところ。
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補足。18世紀半ばには「ピューリタン」という言葉に揶揄的ニュアンスが加わっていたようです。19世紀になると仮装舞踏会の演目にピューリタンが出現。清楚系ファッションとしても注目を浴びました。写真は旅装のピューリタンドレス(裾短め、編み上げブーツ)。図は仮装舞踏会読本にみる例。
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雑。ウォルター・スコットの小説『ガイ・マナリングあるいは占星術師』をチェック。作中のジプシー老女「メグ・メリリーズ」がよいのであります。このキャラはキーツも気に入っていて、同名の詩を作ったほど。「読書きは墓石で覚えた」という一節にしびれます。メグの絵もいろいろ描かれています。
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雑。サルヴァトル・ローザの「妖術」を眺めていて、足元に妙な形のロウソクを発見。こういう形式の品があったのか、自作する呪物なのか、いろいろ調べるも判明せず。面白そうです。蛇蝋燭は存在するのですが、だいたいリアルにとぐろを巻いていて、これとは違いますし。
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雑。棺付添人 pallbearers といいまして、葬儀の際に棺を運び出す力持ちたちですが、あれを肩に担ぐか横取っ手で持つかで微妙なニュアンスが出るとのこと。酒が入っているときは取っ手が無難だそうです。あと、一部地域でコフィンダンスなる余興が入るとか。図はリンカーンの特注棺。
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さてフォース・オブ・ジュライ。アメリカ起源の祝祭のもっとも大なるものでありましょう。その特徴はひたすら花火のドンパチ。邪悪なるもの(英国人)を大音響と火花で追い払う象徴的行為はやがて互いを爆破しあう狂騒と化したのであります。図は18世紀中頃のボストンの独立記念風景。
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伝承。知らないうちに椅子がサークル状に並んでしまったら、最初に円内に足を踏み入れる人間はアンラッキーなことになるとのこと。何者かの話し合いを邪魔してしまうからでしょう。椅子が多数ないと不可能な状況ですが、夕暮れの教室なんかではよくありがちなーー
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夏の伝承。 ・畑にある一番大きなスイカは夜に収穫してはならない。それは悪魔の住処になっているからである。 英国では西瓜はあまりポピュラーではないので、アメリカの伝承だったと思われます。西瓜を盗みにくるワルガキどもへの警鐘でしょう。
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で、英国で作物泥棒といえばまずキャベツ。グリーナウェイが描く「デブゴブリンのワルガキ」は毎晩のように二三個盗んでいくのです。農夫に追われても逃げきってしまいます。見るからに憎たらしい顔です。誰でも知り合いに一人いるような顔です。
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雑。スマホを見れば正確な時刻がわかり、腕時計すら着用しない人が増える現在なればこそ、17世紀末の携帯日時計を正確に運用してみたい衝動に駆られるのであります。魔法の時刻はひとつではない、とよくわからない言葉をつぶやきたく思います。
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さて七夕。分厚い雨雲に遮られつつも星空に意識を向けるべき季節でありましょう。あるいは過去に発生した天文占星の故事をひもとくもよし。自分などは彗星にまつわる狂騒の話が大好きであります。図は「パリのハレー彗星」イヴリン・ポール(部分)。ガーゴイルの背中が不吉を予兆しておるのです。
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マザーグースの魅力はいろいろありますが。「めえめえ黒羊さん」という無邪気なライムも、絵のつけかたひとつでホラーと化します。児童ものにおける恐怖の取り扱いは難しく、ブギーマンは予期せぬところに出現するのであります。1877年の版から。