西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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雑。1月7日は「ディスタフデイ」。クリスマスシーズンが終わり、女性の仕事始めの日。その象徴として採用されたのがディスタフ「紡ぎ棒」であります。羊毛などの素材から糸を紡ぎ出す道具ですが、西洋では貴婦人から農民の娘までが行う作業にして趣味であったとのこと。心が落ち着くのだそうですーー
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暦。1月8日はガリレオ・ガリレイ (1564-1642) の命日です。当館的にはミルトンのガリレオ訪問(1640)が最大の関心事。すでに視力を失っていた老学者が若き詩人に望遠鏡を通して木星の衛星を見せてやったというエピソードがありまして、かの詩人の宇宙的描写の原体験とされています。
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雑。聖職者の杖にも治癒や解呪などの不思議な力が宿るわけですが、聖職杖の本体はヘッド部分とのこと。木製の柄は傷んだら取り換えます。保管する際はヘッド部分のみ。神通力を有する聖〇〇の杖のなかには独自のタイトルを持つものもあって、興味深いのであります。
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トレンドに「愚者の棺」なるものが。 タロットの愚者に関していえば、あれは放浪者でもありますので野垂れ死にが基本。屍は崖下で白骨化するか獣に食われるのであります。棺はちゃんとお葬式をあげてもらえた証拠ですので、「愚者の棺」は矛盾ワードなのでしょう。面白や、と。
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雑。1880年頃に出現し、不意に消えた感じの挿絵画家メアリー・シブリー Mary Sibree 。『パックとおしゃべり』『児童劇アリス他』くらいしか参加作品が見つからず、当然ながら伝記情報も不明。この不気味かわいい作風が当時としては早すぎたのか。好奇心を刺激されるのであります。
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猫。ご存知「猫の王様」のお話。人気があるため挿絵も多数描かれていますが、ラストの煙突上りのシーンは珍しい。暖炉の焔をものともせずに上昇していく様子から、その家の猫が即位とともに魔力を得るとの説も唱えられています。だれが唱えるのかはよくわかりません。ランシング童話集から。
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雑。教訓説話にもサイコホラーが紛れ込みます。ラウントリー・スミス『そうしてみたい物語』(1920)では、鏡のなかにしか友人がいない孤独な少女が登場。やがて会話が始まり、鏡の世界へ逍遥。「しかめっ面はだめ、ほほえんで」という教訓なのですが、かなり怖いのであります。絵はケイト・ディール。
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続、『そうしてみたい物語』。日常のさまざまな場面での児童的因果応報を描く教訓ものですが、わかりやすすぎて面白い。老人の荷物を運んでやる少年は街中の美女美少女の熱い視線を集めるのであります。ケイト・ディールの絵柄もあって、なにやら別の話がはじまりそうでいけません。
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雑。ラウントリー・スミスの教訓話はどこかロマンチック。道を渡るのに難儀している老婦人の正体はもちろん美しい妖精さん。親切にしてくれた男子がスケート好きと知ると、美少女スケーターに変身して氷の湖でいちゃいちゃと。ボーイ・ミーツ・ガールなり、と。絵はいい感じのケイト・ディール。
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暦。チェンバースによれば、英国では1月14日を一年でもっとも寒い日と位置付けていて、また実際この前後にテムズ川が氷結することが多かったとのこと。凍ったテムズ上では露店が立ち並び、いわゆるフロストフェアが開かれるのであります。この自然発生的な祝祭も1810年代を最後に終幕ーー
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ーー産業革命の過程でテムズにあらゆるゴミ、ナマゴミ、産業廃棄物が投棄されて水温が上昇した結果と思われます。19世紀のテムズは「大いなる悪臭」として悪名を馳せることに。かくして人為が汚したメトロポリスは人的悪意の化身に襲われていくのであります。切り裂きジャックしかり、ハイド氏しかり。
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写真に関する伝承 ・男の写真を枕の下に敷いて眠ると恋仲になれる ・被写体が亡くなると写真がいろあせる ・個人の写真を本人の存命中に複写するとアンラッキー ・夫の写真をさかさまに立てると早死にしてくれる 複写アンラッキー説は葬儀の際の拡大写真を連想させるからだそうです。
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先のキューカンバーサンドイッチに関して。アフタヌーンティーに出すキュウリのサンドイッチは薄ければ薄いほど偉いとのこと。極薄のパンのスライスを作るには、切り出すパン面に先にバターを塗って粘着力を確保するのがコツだとか。分厚いサンドを出すとあとでいろいろ言われる怖い世界であります。
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暦。1月16日は以前にも紹介した「瓶詰の奇術師」暴動の発生日です。ワインの瓶に全身を納めるという触れ込みの奇術師がロンドンの劇場を満員にしながらドタキャンで売り上げを持ち逃げ。怒った観客が暴徒となり劇場と周辺を破壊した事件です。瓶詰芸は一応存在したらしく、再現図だとこんな感じ。
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瓶詰の奇術師関連で再掲。この当時は帯剣している人も多かったため、剣を抜く人をまず取り押さえる、あるいは抜く前に取り上げるのが重要だったそうです。ネコを振り回すのは意味不明。 twitter.com/MuseeMagica/st…
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暦。1月17日はエジプトの聖アントニウス祝祭日。  悪魔に修行の邪魔をされた逸話が有名で、いきなり妖艶な美女に誘惑されるエピソードから入るあたり、悪魔もつかみをわかっていると申せましょうか。画家たちの絵筆にも気合が入ろうというものです。
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続・聖アントニウスの誘惑。何度も引用しておりますが、「誘惑されて、それをはねのけてはじめて聖人である」とは聖アウグスチヌスのお言葉。誘惑なしで品行方正なのはもてないだけ、なんだそうです。深く心に刻まれるのであります。
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椅子に関する伝承その2 ・だれかが椅子を倒したときは数を数える。椅子が元に戻ったときの数が結婚までの年数。 ・無人の安楽椅子が揺れるとアンラッキー 一本脚による椅子回しは基本的にアンラッキー&無作法なのですが、不運が連続しているときはカウンターチャームになるそうです。
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花嫁に関する伝承 ・ヴェイルは挙式前夜まで家族以外の人間に見られてはならない ・ヴェイルをたわむれにかぶる人間は決して結婚できない ・白と青以外の花嫁衣裳はアンラッキー ・結婚式は〇〇時30分から開始しなければならない 最後のは、時計の分針が上昇していくさまがラッキーだからとのこと。
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暦。1月20日夜は恋占いの特異日「聖アグネス前夜」です。この夜に乙女が夕食抜きで就寝すると将来の夫の夢を見るという伝承をもとに、キーツが同名の詩を書いて現在に至ります。詩のクライマックスは就寝前の乙女の脱衣シーン。髪飾り、首飾り、胴衣と視線移動も完璧な描写はさすがに詩人なり、と。
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雑。明治日本には今では見かけなくなった大道芸あるいは占術パターンがあった模様。足元の仕掛けを操って酒呑童子人形に鉦を打たせ、自分も鉦を打つ「おみくじ囃子」とでもいうのか。軽妙なリズムで人を寄せ、おみくじを売ってその場で解釈するとのこと。1884年の日本訪問記から。
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雑。1884年の日本訪問記にある「狐の影絵」。長崎で流行った遊びらしく、全身と手ぬぐいを使って狐を現出させるのであります。稲荷神社との関連があったはずなのですが、今となってはわからないのが残念なり、と。
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雑。同じく日本訪問記から「狐釣り」。お座敷遊びの一種で、輪っかのなかに首を突っ込んで三宝上のお酒を飲むと成功。飲みそこなうと紐を引っ張られて首が締まるのです。頭に扇子を載せて行い、シルエットが狐に見えるのでこの名前があるとのこと。長崎の夜はお狐さまとともに更けていくようです。
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雑。昨晩よりお狐さま関連が続いておりますが。図は明治20年発行の瓦版にみる「幼童の遊び、流行こっくり踊り」。欧米のスピリチュアリズムが日本に入り込んだものとの見解もあり、興味深いところ。もしかしたら「フォックス姉妹」の存在が示唆されているのかもしれません。はたして。
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雑。角笛は真の意味での召喚機能を有するがゆえに権威の象徴とされ、土地の権利書代わりに教会に保管される場合が多かったそうです。当然、然るべき神通力を帯びるものとされ、大音響で悪霊を祓ったりします。静かに遂行される魔術では意外に登場が少ないのであります。アンドリュー『教会伝承』から。