西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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ナーサリーマジック。手遊び歌はもっともわかりやすいエンチャントメント。英国手遊び歌の代表格「ビーン・ポリッジ・ホット」は鍋の中身に力を与えるのであります。待ち時間の有効利用なり、と。絵はアリス・アークル・ハント。
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雑。こちらは Alice Ercle Hunt が描くハンプティーダンプティー。かわいいのか不気味なのか、ともかくもいい味を出しておる、と自分などは思うのであります。こんなのが高所からダイブしてくるのですからマザーグース世界は怖いと申せましょうか。
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ナーサリーマジック。「ネイチャードール」と呼ばれる領域であります。野遊びの際に子供たちがつくる自然素材のお人形。枝、草、木の実などをうまく組み合わせるのがこつですが、もちろんその呪術性はトップクラス。貴重なり、と。図は1920年のミフリン社刊『子供のお仕事』から。
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猫。パドリック・コラムによれば、マン島の「猫の王様」はアイルランドに渡るとき、多数の船を八艘跳びしていくとのこと。足場にされた船は突然の加圧で沈みそうになるのだとか。なおアイルランドに渡るのは貢物が少ないと文句をつけにいくためだそうです。絵はポガニー。
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貢物は具体的にはその季節季節の鳥獣や魚であります。晩秋の今頃はサーモンが最高の貢物なのですが、かの魚の名産地であるスコットランドでは猫たちがマン島王から離反して独自の王を擁立。なんかいろいろと難しいようです。
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雑。トマス・フッドが描くクイーン・マブは子供の夢の守護者。良い子には妖精と戯れる楽しい夢を与え、悪い子には血まみれの包丁を持つオーガに追い回される悪夢を見せるとされています。目覚めても暗がりになにかが潜んでいると追撃してくるあたり、結構なブギーマン資質なり、と。絵はポガニー。
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雑。ブラシ部を前にする箒飛行でしかも男子というのは極めて珍しいのです。ただし少しわけあり 「ほうきがあれば、乗り方を知っていれば、 ジェインがお茶してるすきに窓から飛び出して ぼくみたいな足の悪い子がいない国へいきたい         松葉杖じゃなくてほうきがほしい」 絵はポガニー。
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ナーサリーマジック 老婦人と足のわるい少年が木陰で「かくれんぼ」をしています。ふたりがともに知る場所を決め、片方がこころのなかで「かくれる」。かたほうがそれを当てるのですがチャンスは三回まで。三度外れたら攻守交替。カイラー・バナーの詩「ワン、ツー、スリー」(1887)から。
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雑。乗馬服姿の猫レディー。どの方面の需要なのかわかりませんがとりあえず。ヴィクトリア朝後期は女性が「速度」を発見した時代とのエッセイがあり、しょせん馬任せの乗馬から自身の速度が問われる自転車へ興味が移った点が重要だったとのこと。この猫レディーは旧世代のお嬢様なのでしょう。
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眉毛に関する伝承 ・濃い眉毛は長命のしるし ・両の眉毛がえらく離れている人は故郷からも離れる ・両の眉毛が接近ないし接触している女性は一生幸運に恵まれる ・一本眉毛の男性は吸血鬼(ギリシャ)か狼男(デンマーク)である 一本眉毛に対する解釈の男女差は興味深いのであります。
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髪の毛に関する伝承 ・もつれた髪をほどくときに願いを言うとかなう ・男の帽子に自分の髪の毛を忍ばせると男は浮気しない ・死人の髪を切り取って木のうろに入れるとふさふさの化け物ができる ・死人の髪を切り取って燃やすと幽霊がはげる 髪の毛は魂を縛るのであります。無数の伝承のなかから。
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「死者の髪は燃やさずに地中に埋めよ。さもないと最後の審判の際に死者が髪をもとめてさまようであろう」という伝承があるわけです。生前の評判が悪いと埋葬までの間にいろいろと悪戯されるようです。最後は棺の裏返しまであるとのこと。
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暦。11月29日夜、ルーマニアでは吸血鬼同士が頭に棺桶を載せて十字路で大乱闘するという話は以前も紹介しました。  どうやらこれは引っ越しにまつわる狂騒のようです。新年度を迎えて新たな環境に移りたい吸血鬼たちが良好な物件をめぐってバトルを展開しておるのでしょう。世知辛い話であります。
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吸血鬼のシーズンインに関して再掲。 twitter.com/MuseeMagica/st…
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図版は吸血鬼ではなく棺桶で眠るサラ・ベルナール。もっともヘンリー・アーヴィングもそうですが、素晴らしい役者は吸血鬼に例えられることが多いのであります。それはそれは魅力的で、また不死の如き若さを保つからです。近しい人間ほど犠牲になるのも同様かと。
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雑。1882年刊行『世界の子守歌』から「ロシアの子守歌」。ララバイは魔除け歌の機能を持つものが多いなか、これは「月の光のなかで妖精のお話をしてあげるから眠りなさい」とする珍しいパターン。壁にかかるイコンも面白や。絵はウォルター・サタリー。
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前掲書では世界最初の子守歌は楽園追放後のイヴがカインを抱いて歌ったものとされています。 「眠りなさい、カイン。あなたの父は額に汗して働きます。母はかつて歩んだ楽園を夢に見ます。二度とあの甘い実は食べません。眠りなさい、カイン」 なかなか不安を感じさせるのであります。
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雑。妖精さんを「良き隣人」などと上方修正して呼称するのはよく知られた習わし。ちなみにヒューマンサイドは「汚れた足」「不細工な実」等、ひどい言われようです。妖精さんとの交流はとりあえず罵られてから、という印象であります。絵はメアリー・ハラック。
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暦。11月30日はスコットランドの守護聖人アンドルーの祝祭日。その持ち物であるX十字架はスコットランドの旗にも反映されております。世界中に散ったスコッツたちが飲んで騒ぐ日とされていて、またかの人々のスキル「セカンドサイト」が発現しやすい日とも。興味深いのであります。
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暦。「12月はヤギに乗り、あちこちで焚火をしながらやってくる」とスペンサーが歌います。酒をふるまう暖衣飽食のじじいなのであります。絵は1849年のロンドン・アルマナックにあったもの。ヴィクトリア朝の勢いそのままにどんちゃん盛り上がっております。
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雑。以前も紹介したことがある「棒型の万年暦」。これを "wand calendar" と称することもあるそうで、なにやら魔法の匂いも漂うのであります。もともとは北欧のルーン暦だったものが英国まで降りてきて庶民が用いるようになったとのこと。安価な印刷暦の普及で廃れたそうです。面白や、と。
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季節。クリスマスカードといえばヒイラギとロビンの組み合わせ。  伝承によればロビンは十字架上のキリストの額から茨の刺を抜こうとして胸を血に染めたとのこと。以来、神に愛でられる小鳥として尊重されるのであります。なおロビンを害する者は1000年の不運に見舞われるとの伝承もあり。
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季節。ヤドリギの下にいる人にはキスしていいという習わしは英国が発祥の地とのこと。  なおヤドリギを如何に戦略的に配置するかがパーティーの女主人の手腕なんだそうです。むさい中高年どもを酒や葉巻で一か所に集める一方、攻略対象の青少年を動線上に導くのだとか。いろいろ楽しそうです。
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雑。20世紀に入ると魔法衣の描写に「キモノガウンに似る」といった不気味な言葉が登場するようになるのです。調べますに袖と襟をフォールドした足首丈の簡素な寝間着を指すようです。派手な柄のやつは日本が輸出していた模様。モノクロ写真は1918年の初級服飾本から。
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雪に関する伝承 ・婚礼の日の雪は大いなる幸福の兆し ・初雪で手を洗うとその年はあかぎれしない ・月夜に犬が吠えると雪を呼ぶ ・初雪を手の甲で受けて溶けるまで眺めるとスノウ・フェアリーの夢を見る 夢のなかの雪妖精は美しいそうです。絵はいつものパジェット・フレデリクス。