西洋魔術博物館(@MuseeMagica)さんの人気ツイート(古い順)

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季節。満月に関する伝承 ・歯痛予防の願をかける ・満月に種をまくと不作 ・満月の周囲に二重円が見えると雪が降る ・満月の下で採集するハーブは薬効が倍増 歯痛との関係がいまひとつ不明。顔が腫れあがって満月状態にならないよう、ということでしょうか。「満月」限定の伝承は少ない印象です。
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斧に関する伝承 ・斧をまたぐとアンラッキー ・意味もなく家のなかに持ち込むとアンラッキー ・斧で怪我をした場合、当の斧を洋服箪笥の中に吊るしておくと怪我の治りが早い ・お産の際に妊婦の寝台の下に置くとラッキー 箪笥の件は「武器軟膏」と同じ発想のようです。
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季節。彼岸花がそこらへんに咲いているという状況が想像できないとのお声があり、参考図像として。"Pretty maids all in a row"。道沿いに整列することが多く、夕暮れ時に細いあぜ道の両端に並ばれようものならどこに連れていかれるのかという気分になります。
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なんでも東北の雪の多い地域や北海道では彼岸花は自生できないそうです。白秋の「曼珠沙華」も柳川の光景でありましょう。「地には七本、血のやうに、血のやうに」ーー
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ミクルマス近し。ということで天使に関する伝承 ・天使の夢は不吉 ・会話中に人が不意に沈黙するとき、天使が通過している ・不意の見知らぬ客は天使の仮の姿 ・眠っているときに笑う赤子は天使と会話している ・夜空の星々は天使の瞳 ・樽のなかで減るお酒は天使の取り分 絵はいつものスプーナー。
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雑。天使の武器というトピックでよく登場するのがフランベルジュ、火炎型の刃を持つ刀剣であります。創世記にエデンの園を「炎のつるぎ」で護との記述があるためでしょう。これで切られると傷口の縫合がむずかしく、結局は落命する率が高かったそうです。
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さらに天使の剣。アンデルセン「赤い靴」の天使の剣は、作中では「幅広のぎらぎらした剣」くらいの描写ですが、挿絵画家はやはりフランベルジュ風に描く傾向があります。なおパメラ・コールマン・スミスもそれは同じ。興味深い傾向です。
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ミクルマスが近づくので天使関連の話題。  昭和初期になると南蛮文化へのロマンチシズムが一般化するのか、学術文献を集めた書物の装丁もおしゃれになります。昭和三年発行の長沼賢海編『南蛮文集』はその代表格か。庭園の聖母とケルビムに注目。
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暦。「ブラックベリーの採取はミクルマスまで」という伝承が英国に多いのです。9月29日を過ぎると「悪魔がブラックベリーに小便をかける」とされていて、食用に適さないとのこと。そのまま放置されて堅くなった実は、今度は悪魔にぶつける「つぶて」に使うという伝承もあります。いろいろ忙しいです。
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先のRT。書物占いは英和辞書でやるとよいのです。えいやと指さして知ってる単語だったらラッキー。知らない単語はその場で覚える。一日10回もやれば結構なお勉強です。写真は表紙も取れてしまったコンサイス。ぼろぼろの辞書が学生の勲章だった時代の遺物であります。
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天使の祝日ミクルマス近し。  守護天使はいまひとつ頼りないのが多いらしく、守護対象が迷う、病む、グレると悲しむのであります。その分だけ描写は人間的になるため、親しみやすい感じです。行き倒れ寸前の巡礼者にがんばってと聞こえぬ声をかけ続ける天使あり、聖人を頼るように見上げる天使あり。
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雑。紅茶はちょっと肌寒い頃に庭先でいただくのが一番美味しい、と昔のエッセイにありました。ミクルマスを過ぎると一気に秋が深まる英国では、この頃から妖精の姿が減り、かわりに鬼火や変化の話が増えていきます。幽霊はシーズンレスで出没中。絵はライト・エンライト。
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さて9月29日のミクルマス当日。  この日の特定食物されるガチョウ。その由来は1588年の9月29日にエリザベス一世がガチョウを召し上がっている際に無敵艦隊撃滅の一報が届き、縁起がよいとされたとのこと。もっともミクルマス用のガチョウを注文する記録がそれ以前から残っていますからーー
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さて10月近し。「10月はサソリに乗ってやってくる」とスペンサーが記したのですが、手近にサソリがいない英国の挿絵画家たちにもそれなりの苦労があったようです。1849年版絵入りアルマナックのサソリは全体像不明。ともあれオクトーバーおやじがワインを片手に陽気に騒ぐのであります。
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雑。「草葉の陰」。草花の世話をする小妖精たちは秋になると動きが少なくなり、疲れたからちょっと休むねと言い残して体を丸め、だんだんと透明になって最後は風に乗ってどこかに運ばれていく、とカーソンが語るのであります。かくありたいと思う向きもありそうです。
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10月に関する伝承 ・結婚にラッキー ・10月の新月の夜は狩人の幽霊多し ・10月6日にダッチオーブンでケーキを焼いて食すとラッキー ・10月の黄昏時は道に迷うこと多し ・悪魔に借りがある者は10月中に清算しないと危険 ハロウィン関連の伝承は別個にまとめます。ダッチオーブンの件は米国発祥。
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暦。10月4日は日本限定の #天使の日 とのこと。 19世紀に入ると angel の従者として the angelical なるものが文芸作品等に登場するようになります。天使よりも人間に近いのですが、それほど詳しく定義されていない感じです。図はニューマン『ゲロンティアスの夢』(1865)のローズ挿絵版。
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#天使の日 足の悪い子供に自分の翼を与える天使。以前も紹介したフィールド・ヒースの「迷子の天使」はこうして自分の足で歩くことを覚え、その大変さに驚き、やがて人として老いていきます。もっとも美しい堕天使の物語、といってよいのでしょうか。絵はドタラー。
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雑。手入れされなくなった庭園はやがて周囲の緑に呑み込まれ、ロストガーデンとなるわけですが、子供の幽霊はおかまいなしに遊び続けるとのこと。時折り現世の子供がまよいこんで交流する事例もあるかと。絵はパジェット・フレデリクス。
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雑。風に乗って運ばれる黄色い葉っぱを追いかけていくとフェアリーランドにたどりつけるという伝承。別名を遭難と言いそうなので推奨できません。妖精の赤い靴はダンス用、黄色い靴は移動用との説もあり、興味深くはあります。異界転移の術式は季節別に豊富なのでいろいろ集めております。
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妖刀村正がトピックにありますが。 19世紀末、モモタローのお話が海外で紹介されるようになると、なぜかかれの刀がムラマサになっておったのです。ちなみにモモタローのステータスは「リトル・ローニン」。敵はオーガの王でありますから、いろいろ面白そうではあります。テキストは1897年韻文版から。
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雑。チャップブックに目を通すことが多いのですが、ときどき意味不明の木版があって面白うございます。図版のそれはどうやら陽気な死神の類が中高年を迎えに来ておるようです。寝る前のお祈りを忘れるとこういう目に遭うという教訓ものでしょうか。面白や、と。
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時事。たまにはコンテンポラリーな話題も。 ノーベル文学賞受賞者でオカルト関係といえばまずイエイツ(1923年受賞)の名があがりますが、他にもキプリング(1907)、メーテルリンク(1911)、タゴール(1913)は外せませんでしょう。
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なにやらプレイングカードの話題が流れているので。  白秋の抒情小曲集『おもひで』(明治42年)はカバーを外すと骨牌の女王が現れるという凝った装丁。切支丹でうすの魔法からまざあぐうすに至る途で出会う黄の花といった情景か。手に取ってじっと眺めることを前提にしているようです。
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雑。19世紀の暦本によりますと、10月の今頃から秋の夜長が実感として始まるとのこと。炉端でただ退屈するよりはと縫物や編み物に集中する人が増え、結果として不可思議な現象や呪詛を発動させてしまうのだとか。シャツ一枚を縫いあげるのに2万針を要するとの報告もあり。加護を縫いこむのであります。